中川区のとある下町
昭和というより、大正の面影を残す建物もいくつか残っているその町は、昔は漁師町と言う事もありたいそう栄えていたらしく、幼少の頃にも活気があった町並を今でも思い浮かべられる。
なぜか銭湯が沢山あり、ネットで調べると最大7件も営業をしていた頃もあるというが、今は1件のみ。俺の時代でも4件は連れて行ってもらった記憶があるので、当時から大分衰退が進んできた町だ。
おばーちゃんの自宅兼乾物屋は、その下町の寂れた商店街の中にある。
細道を挟んで向かい合わせになった二軒の建屋は、北側が店舗兼居間、仏間、食堂?、台所、トイレがある母屋。二階も二室あり、開かずの間ともう一間の先は物干し場。
そして、土間と釜戸がある古い日本家屋だ。
店舗にはショーケースとその脇には所狭しと、かつお節を削る機械が並んでいる。
こちらは、太古には食堂(聞いた話では洋食屋)をしていたと言うので、その名残がある間取になっているのかも知れない。
昔はかつお節の機械が忙しなく動いて、機械から削られたかつお節が出てくる様子を眺めているのが好きだった。
出てきたかつお節は木でできた一畳程のトレーに入れられ、日の当たらない所に交互に積み重ねられていた、遠い過去の記憶も昨日の様によみがえってくる。
南側は作業場兼倉庫、風呂、トイレ、洗面と二階に客間が3部屋ある離れ。
風呂と洗面は別々だが、それぞれ一畳もないユニットを、無理やり作業場に入れたものなので、風呂は周辺にある銭湯を利用する事がほとんどだった。ホントに小さい風呂だ。
昔は遊びに行ったら離れの二階で寝泊まりして、おじーちゃんの怖い話を聞くのが楽しみだった。
(毎回ほとんど同じ内容だったが…)
部屋が狭く、三人兄弟なので布団を四人分敷けなかったため、誰がおじーちゃんの隣に寝るか、良くケンカをしたのも懐かしい思い出だ。
家の周辺に近づくにつれ、かつお節のいい匂いがしてくる。遠く離れたこの地に居ても、どこかでかつお節の匂いを感じると、おばーちゃんの事を思い出す。
それに、おばーちゃんとこのかつお節ご飯は大好きだ!醤油を少し垂らして食べるやつね。
(猫まんまじゃないで!贅沢めしやで!)
さて、おばーちゃんのいる施設は車で10分もかからない所にある。
お店を任されている人に挨拶を済ませ、仏壇に手を合わせてから施設に向かった。
おばーちゃんに会えたのは夕方17時くらいだった。
施設内を探し回り、ようやく見つけたおばーちゃんは結局1Fにいた。
いつも会いに行く時のローカルルールで「何も言わず突然顔を見せに来る」ようにしているので、すごく驚いて、そして手を合わせて喜んでくれた!
おばーちゃんに車椅子は似合わへんけど、元気で良かった!
今度はひ孫を連れてくるからね!
名残惜しかったけど、施設の夕飯時と言う事もあり早めにバイバイをして、いざ味噌煮込みうどんのお店へ!
(ドライブの話より思い出話に花が咲いてもた。おばーちゃんとこのかつお節は“花かつお”と呼ばれるフッワフワのめちゃめちゃ美味いかつお節で、削りたては本当に美味くて今でもご飯三杯いけます!)
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Posted at 2013/03/15 12:38:06 | |
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