ケン奥山の熱情 〈ラ・ミニミニエラ 1/43 マセラティ バードケージ75th 2005〉

カロッツェリア・ピニンファリーナ。
みんカラだから説明不要ですよね。

以前ブログにしたイタルデザイン・ジウジアーロのインダストリアルデザイン的なアプローチとは違って、より情緒に訴えかけるアーティスティックなカーデザインで人々を魅了しています。


既視感を覚えた方。
安心してください。同じですよ。
いつも人と羊（ひととよう）のブログを読んでいただいていてありがとうございます。


前回のブログで「ショーカーのミニカーというのは人気がないのか、あまりモデル化されない」と書きましたが、よく見ればそんなことはないですね。各メーカーから各車種が発売されています。
私がそう思ってしまった理由は、これ↓がなかなか発売されなかったからなのです。


そう、美しいコンセプトカーがもう一台入庫しておりますよ(^o^)／

ラ・ミニミニエラ 1/43 マセラティ バードケージ75th 2005


ピニンファリーナが2005年のジュネーブショーで公開した、マセラティMC12をベースにしたデザインコンセプトカーで、デザインディレクター奥山清行氏の作品としても知られるものです。


人と羊（ひととよう）個人的には、この10年～15年のうちで最も美しいコンセプトカーだと思っています。



名前の由来は、マセラティのかつてのレーシングカー・ティーポ61の通称“バードケージ”と、ピニンファリーナ75周年を掛け合わせたもの。

マセラティティーポ61“バードケージ”はコクピット前のトラスフレームが特徴的です。
バードケージ75thにもコクピット前方にトラスフレームが見えていますね。


当時のクライアントであるマセラティに縁のあるモチーフとネーミングを用いていますが、私はこれはあくまでも表向きで、奥山氏はもっと違うところを見据えてこの車をデザインしていたのではないかと思っています。



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このバードケージ75thの開発の様子が、以前NHKのドキュメンタリーで放送されていました。
若いデザイナー（ジェイソン・カストリオラ）のスケッチが奥山氏に選ばれ、担当デザイナーに抜擢されるわけですが、その彼がモデラーと協業してモデルを作成している際に、あまりにも低すぎるショルダーラインにビビって、一旦そのラインを数ミリほど上にあげてしまいます。

自分のデザインながら、常識的なカーデザインの文法から突き抜けたそのプロポーションに、ピニンファリーナに入れるほど優秀なデザイナーでも、「本当にこれが正しいデザインなのか…」と自信が持てずに苦悩するさまが驚きでした。

さらに驚きだったのはそのあとモデリングルームに訪れた奥山氏が「ショルダーラインを上げたな？」と一瞬でそれを見抜いたことです。
そして「お前のデザインは間違ってないから元に戻せ」とビビる若手に激（と後ろ盾）を与えていました。

そんなミリ単位の美への攻防の中から生み出されたサイドビュー。

不安に負けてショルダーラインを上げてしまったままだったら、もっと凡庸な、数多あるショーカーの1台に終わってしまったかもしれません。


奥山氏は前回ブログにしたピニンファリーナのフェラーリモデューロを大阪万博で見て、感銘を受けたとも言っています。


人と羊（ひととよう）にはバードケージ75thはモデューロの正当な後継車のように感じられます。

奥山氏が子供の頃見たモデューロへの返歌としてのデザインが、このバードケージ75thなのだと思っているのです。





LA MINI MINIERA 1/43 Maserati Birdcage 75th 2005 MMEPF004