2012年12月24日...
今日俺は、大事な奴にこの事を伝えなくてはならない...
そう...
「別れ」なのだ...
3ヶ月前から予約をし、店は決めていたが、まさかそこで俺がこの話をしなくてはいけなくなるとは...
俺は鈴木隼人(31歳)
大手アパレル系のデザイナーをしている。
愛車は、スズキスイフトスポーツ(蒼のZC32S)
みんなからは、苗字が鈴木だから合わせたろ?とか、ネタだろ!?とか言われるが、ホントに気に入って買った車だから文句は言わせないっ!
予約した店に向かう前に、プレゼントは用意していた。
別れる理由は、俺の転勤が決まり、その配属先が、イタリアのフィレンツェなのだ。
遠距離恋愛なんて出来るような柄でもない...
ましてや、転勤が決まって、すぐに一緒に来てくれ!なんて言えない...
それでも用意したプレゼントは、彼女が大好きなクリスチャンディオールのリング
これを俺と思って...いや違うな...一緒に来て...これも違うな...
店に向かう車内で、いろんな事を考えた...
出逢って3年
最初の出逢いは...
2009年5月23日(土曜日)
いつも走りなれたホームコースを、ただただひたすら走り、コンビニで一服していた時のこと…
『すみません…もしかして、○○に勤めてる鈴木さんじゃないですか?』
そう声をかけてきたキレイ女性がいた
こんなキレイな女性は、俺の記憶の中にはいない…一体誰なんだろう…そして何故俺の名前を…
『は…はい…そうですけど…』
そう言うと彼女は…
『やっぱりそうだぁ!!w同じ会社のフロア違いの総務課、佐久間ですぅ!!佐久間詩織です!!』
その名前を聞いてピン!!と来た!!
この年、会社でも噂になる位美人な娘が入ってきた!!と言われていた娘、まさしくその娘だった!!
言われてみたら、美人でカワイイな…とちょっと俺の顔を赤くした位にして…w
でもでも…何故こんな所に?
そう疑問が出て、そう口にしようとしたら
『兄が走り屋なもんだから、ついてきたんですよ…w』と…
その車を見てすぐに分かった!!
赤いS15シルビアスペックR…
VERTEXのフルエアロ…
AVS MODEL T5のアルミ…
某誌で有名な佐久間健市!!
その妹が、詩織だった!!
『そうだったのか!!』と驚いていたら、兄が声をかけてきた
『君のワンエイティ、かなり気合入ってるスタイルだね!!さっきいい走りしてたなぁ!!w』と
そりゃあそうだ!!
気合い入れて外装も中身も仕上げた仕様だから、見た目に負けない走りに心掛ける為、相当走り込んでいる
それからしばらく3人で話をし、お互いの番号交換をするまでに!!
別れ際、兄から
『今度、一緒に茂原に走りにいこうよ!!』というお誘いを受けた!!
俺としてはかなり嬉しいお誘いだ!!
だが俺としては気になったのが、詩織の存在…
あれだけ美人だと彼氏いるんだろうな…
そんな事を思いつつ帰宅し、車を洗車していたら、一通のメールが…
題名:詩織です^^
し…詩織ちゃんっ!?
飛び上がる気持ちを抑えつつ、本文を…
今日は突然声かけてごめんなさい…
先日雑誌に出てた車で、カッコいいなぁ~と見ていた車が、まさか隼人さんの車だったとは思いませんでしたw
今度、良かったら助手席に乗せてください!!
あっ!!もちろん、彼女さんがいるのでしたら申し訳ないので、無理にとは言いません!!(アセアセ)
兄が『彼の走りは俺に似てる気がする!!』って言っていたので、私も凄く気になってるんです!!
私は仕事が終わったらいつでも時間があるので、いつでも声をかけてください!!^^
お誘いお待ちしておりまぁす^^
ではまた月曜日に!!
おやすみなさい
詩織
確かに先日、雑誌取材を受けた…
まさかそれを見てくれていただなんて…嬉しい…w
ん!?最後の文面!!
『私は仕事が終わったらいつでも時間があるので、いつでも声をかけてください!!^^』?
もしや、彼氏がいないのか?
こればっかりはすぐには聞けないが、何度か遊びや飯食いに誘ってみるか!!
数日後、初めて晩飯に誘った
その場所こそ、今回クリスマスに予約した『イル・コローレ』
詩織ちゃんはこの店が相当気になっていたらしく、連れてきて良かったと思ったw
この店に何時間いたのだろう…
二人して話が止まらない勢いだった!!
AM0:00
あっ!!詩織ちゃん!!お姫様はそろそろ帰らないといけない時間だよ?w
そう言うと、淋しそうな表情をしつつも、ウン、そうだね…と
家の前に着いた時、詩織ちゃんは
『隼人さん…今度はもっと時間作って、一緒に遠くに行きたい!!』と言ってきた
それが俺にはどういう意味か分からなかったが
『詩織ちゃんがそうしたいなら、いいよ?^^いつでも連れてってあげる!!』
そう言っていた…
照れながらも嬉しそうに『やった!!=^^=じゃあ、今度の日曜日っ!!w』って何故か早い展開に対応しきれないで、ショート寸前の俺の頭!!w
いつでもいいよ?と言ってしまった以上、引けないし、断る理由なんて一つもないので、即OKしたのは言うまでもない!!w
俺も照れながら玄関横のガレージに目をやると、シャッターの隙間から光が漏れていた
よく耳を澄ますと、電動ルーターの廻る音…
何をしているのか気になったが、今は詩織ちゃんとの日曜日のドライブプランで頭がいっぱいだった…
そして日曜日!!
俺は榛名湖へ向けてドライブに出た!!
前の日、詩織ちゃんには『朝早くに出るから寝坊しないようにね?w』とメールしておいたからか、迎えに行ったら、まだ眠そうな表情の詩織ちゃん…w
それもまたかわいいなwと思いつつ…
『詩織ちゃんおはよ^^』
『隼人さんおはよぉ~=^^=』
そんな爽やかな挨拶をしてくれた
朝から顔が赤くなってしまうではないかっ!!w
助手席に乗った詩織ちゃんに、今日のドライブコースの説明をすると…
『あっ!!一度行ってみたかったんだよ!!某マンガに出て来る山でしょ?wじゃあ、お昼は横川の釜飯だぁ!!w』
見破られていた…まさにそうなのであるw
『でも、攻めないからね?側溝走りなんてしないからね?w』
そう言うと
『きゃはははっ!!(爆)隼人さんも見てるのぉ!?(爆)あれ、ちょっとハマっちゃうよね!?w』と子どものようにはしゃぐ彼女の表情が愛おしく見えた
昼飯を食い、榛名山で一服をし、降りてきて…
やっぱりココで撮影でしょう!!w
そんな楽しかった時間は過ぎ…
帰りの車内は、楽しかったのであろう、笑顔でシートにもたれかかる詩織の姿が…
起こさないように慎重に運転を…
夜、詩織の自宅に到着する10分前に、俺は詩織を優しく起こして、目が覚めた彼女に
『詩織ちゃん?もし嫌じゃなかったら、その今座ってる助手席、詩織ちゃん専用シートにしたいな…俺、自分の気持ちに嘘つけなくてさ…w』そう言うと彼女は
『こんな私でもいいかな?=^^=今日思った!!助手席って言わないで、本当に隼人さんの隣にずっといたい!!私も、自分の気持ちに嘘つけない人だからさ…w』と思いもよらない答えが返ってきて、その後の記憶が無くなる位に喜んだ!!w
それからいろんな所に一緒に行き、何度もケンカもし、俺が行くトコには必ず詩織の姿が!!と言われた事もあり、兄の健市氏とサーキットでツインドリしてみたり、2012年1月には俺が独りで運転してて、交差点でもらい事故に遭い、大事にしていたワンエイティが廃車に…俺は病院に運ばれたが、大したケガでは無いにも関わらず、泣きながら病院に駆けつけた詩織を見て、本当にカワイイ彼女だなぁ~とまた惚れてしまったよ・・・w
そして何よりも一番は…
二人でいるときの笑顔の数は、数え切れないほど…
こんな幸せな事は無い…
そして2012年12月24日…
今回予約した店…
詩織と初めて来た店『イル・コローレ』
駐車場に着いたら、既に予約して来たであろう白いミニと、淡いブルーのフィアット500が!!
『オシャレな車だなぁ~…でも、これもあと数日したら、沢山見る事になるんだろうな…』
そう思いつつ、先に店内に…
テーブルに着いた俺の目先では、駐車場に停まっていたミニとフィアット500の同じ形の置物を見ながら笑顔で幸せそうに会話をしている二人が…
幸せそうだな…よし!!俺もあの笑顔に元気をもらおう!!
そう気持ちを整理してたら、詩織が店内に入ってきた
『隼人ぉ!ゴメンねぇ!!(泣)こんな時に限ってちょこっと残業入っちゃうんだもぉん(泣)』
残業で遅れるなんて全く気にならない俺
美味しい料理に二人で笑顔になり、最後のデザートを食し…
コーヒーを飲みながら、詩織に…
『なぁ詩織…クリスマスプレゼントなんだけど…さ…』
『待って!!私から先に渡す!!いつも隼人が先にやってくれるから、今日位は私から!!^^』
そう言うので、詩織から…
『メリー…クリスマス=^^=開けてみて?=^^=』
渡されたのは、一枚の封筒…
中には2枚の航空券…
しかも記入されている日時、到着空港が…
2013年1月5日 羽田空港~ローマ空港
『えっ!?詩織!!なぜ?何故コレを!?』
『私を…独りに…しないで…よ…隼人…』
そう言うと詩織は、さっきまでの笑顔が、まるで作り笑顔だったような大粒の涙を…
そんな詩織の顔を見て、彼女の涙をぬぐう俺…
『詩織=^^=メリークリスマス=^^=』
手渡すときに考えてた言葉と悩んでいた事が、今の出来事で全て飛んでいった!!
まさか詩織も俺からこんなプレゼントを送ってもらえるとも思っていなかったらしく、さらに号泣!!w
し…詩織…f(^_^;大丈夫か?w
どうやら俺が泣かせてしまったように周りから見られたけど…ん~…間違いないっちゃあ間違いないけど…w
先に来ていたミニとフィアット500の置物を持っていた彼氏の方に、俺の耳元で『大丈夫かい?ちょっとだけ聞こえてたけど彼女、大事にな?^^』と言ってもらう程、周りに迷惑をかけてしまった感が…w
『詩織付いてくるか?^^』
『ウン!!…じゃない…wはい!!隼人さん!!私、隼人さんと離れないっ!!ずっと一緒にずっと隣にいるから!!=^^=』
でも、何故転勤の話を知っていたのだろう…
それは、後から聞いたら…
11月末に行われた上層部の幹部会に、偶然にも詩織が居合わせた時で、どうやら俺はイタリア支店長から、幹部としての任務を命ぜられた事を、そこで知ったらしい…
俺よりも先に転勤話を知ってたのかよ…w
で、クリスマスまでに気持ちが固まったらしく、詩織本人が自分の両親、そして兄に俺と一緒にイタリアに行く事を伝えたら、父親から『一緒に行って、隼人君を助けてきてあげなさい!!^^』と嬉しい事を言ってくれたそうで、俺も安心して連れて行ける!!
『詩織…ありがとう…(;;)』
何故か俺も涙が溢れて…
落ち着いて笑顔になった二人に、イル・コローレのオーナーが…
『お二人のフライトを祝して、こちらを特別にご用意致しましたので、ご賞味下さい^^』
と、目の前に出されたのが…
イル・コローレで今まで見た事の無いティラミスが!!
今日の思い出は、ずっと忘れないであろう…
2012年12月25日、詩織の両親にご挨拶をし、26日には俺の両親に挨拶を、27日にはお互いの両親の顔を合わせるという、なんともバタバタした年末に…w
そんな事も今じゃないと出来ない事!!そして、それも思い出になる!!
2013年1月5日…
俺と詩織は、みんなに見守られながら、羽田から旅立った…
期待と不安を抱き、それでも二人で乗り切れると信じて…