
「知る」シリーズ第四弾
第一弾 ロードスターを知る
第二弾 マツダのハッチバックの歴史を知る
第三弾 マツダデザインの挑戦を知る
今回は2018年11月、ついに発表されたNew Mazda3について。
今までの「知る」シリーズで、簡単に言えばマツダの人馬一体の原点、マツダの歴代ハッチバックについて、そして次世代のデザインの考え方について、と順を追って勉強?してきたわけだが、ついにマツダ次世代の市販車第一弾となるMazda3について…日本国内ではまだ未発表ではあるが、2019オートサロンにて北米仕様が展示され、開発者のトークショーも行われたのでそのときの内容を記録しておきたいと思う。
僕が行ったのは金曜午後。事前にスペシャルトークショーに応募していたが落選…でも少しでも早く見たかった為午後半休を取り幕張メッセへ。そして速攻でマツダブースへ。落選した人にささやかなプレゼントということでBe a driver.ボールペンをもらった。

正直な気持ちを言うと、最初LAで発表されたMazda3の外観写真を見た時の印象はあまりいいものではなかった。なんか前と後ろがアンバランス?ホイールはまぁ…市販版はこうなるだろうと思っていたものの立体感が無くなってしまってホイールも18インチでは迫力に欠ける気がしてしまった。どうしてもKAI CONCEPTの印象が強すぎて…
新色のポリメタルグレー?もうちょっと鮮やかな色が出てきてほしかったなぁ…なんて少し期待を裏切られたような気持ちになっていた。でもその後じっくり見るたびになんか…いいような気がしてきた笑 ただ見慣れただけなのか、とにかく実物を見て判断するしかないという結論に至った。
で、実際見たわけだが…やっぱり実物を見たら感動した。圧倒的な存在感、特にハッチバックはこれ、市販車なのかと思うぐらい。

そしてなにより、Mazda3のCUSTOM STYLEがめちゃくちゃカッコイイ。ポリメタルグレーについてはグレーというよりうすーい青、という感じのが最初の印象。よく見るとメタリックが入っているのでその輝きもあるが、影のある暗いところを見てみるとグレーに見える。いいとか悪いとか、そういうのは非常に評価しづらい…とにかく不思議な感じだな…という感想が頭の中に浮かんだ。でも、青とグレーの変化ってかなりおもしろそうだ。あとで撮った写真を見てみても、青く写ってたり、グレーだったり、街中で撮ればもっと色々な変化を見せてくれることだろう。

ケツ…ぼってりと感じていたリアが車高を下げた事によりどっしりとした感じに変わっている…これはまさにKAI CONCEPTそのままだ!

テールは凹凸がついていた、造形ヤバい、めっちゃイイ…

内装もめっちゃ質感高い。このバーガンディ、良いよなぁ…

人はやはり多くて見るのは大変だった。15時からは開発者によるトークショーが行われるとのことで待機。
ということでここからはトークショーの内容を抜粋してザーッと書き記しておく。
トークショーは30分程度行われた。
登壇者は進行役としてもはやお馴染みのデザイン本部田中 秀昭氏、Mazda3開発主査別府耕太氏、Mazda3チーフデザイナー土田康剛氏の3名。

田中さん:あちらでは哀川翔さんや美しい女性の方がやっている中、おじさん3人で申し訳ないのですがMazda3についての思いを感じていただき、楽しんでいっていただければと思います。
まず国内で発表やアナウンスをしていない中、発表前にオートサロンに持ってきたという思いについて…
別府さん:私も土田さんもまずこの車が大好き、そして一番に国内でやりたかったのが我々自らの口からマツダについて関心を持っている方々に直接この車の魅力とか思いを伝えたかった。なので敢えて発表前のこの場所を選んで直に話をしたかったというのが思いです。
田中さん:発表前のこの車を持ってくるのに、しかも左ハンドルの…通常社内的には許されないだろうなという所がありながらOKしてもらったというのは。
別府さん:なかなか色々なハードルはありましたが…この車は特に沢山のお客様に愛していただいてファンの皆さんが多いので、まず報告すべきはファンの皆様だろうということでなんとか押し切ってきました。
田中さん:マツダの世界シェアは1.5%、なので100人のうち1、2人しかお客さんがいらっしゃらないので、その方々にはできるだけ濃密にコミュニケーションを取りたいので、会いにゆける開発者ということで、AKBみたいな感じでやりたいなと思っています。(笑)
別府さん:車しか売ってないですけどね。CDは売ってないですけどね(笑)
田中さん:ではMazda3の具体的な話をしていきたいと思いますが、まず皆さんも思われたと思いますが、一つの車名で二つのボディタイプがあり、そのデザインが違う。普通だったらかなり共通化されていますが、これだけ違うものにした理由、思いについてお伝えください。

別府さん:まず開発をスタートする時に土田さんと色々話し合って、まず世界のMazda3のお客様に二人で会いに行ってその中で達した一つの結論がありました。Mazda3という一つの車があって、その中でたまたまハッチバックとセダンがある、と思っていたのが、お客さんと話をしていくと実はハッチバックとセダン、全く別々の車として認識されていたんです。ということは別々の車を作るしかないんじゃないのか?というのが二人の結論でした。
田中さん:そうは簡単に言いますけど、社内ではコストが限られていてこれだけ作り分けるというのは並大抵の事ではないと思うんですが…
土田さん:実は主査の別府と私は同期入社なんです。入社した頃から仲が良くて今回たまたま同じ車種でチーフデザイナーと主査という立場で仕事させていただきまして…先程別府が言いましたように、二つ違う車を作ろう!という結論に至ってそのまま作った、というだけです。それは別府が主査だったからこの二台はデザインできている、世の中に出せていると言えます。一般的な主査…例えば私の知らない主査だったら多分こうはなっていなかったと思います。私の事を昔から知っていて、信頼して自由にやらせてくれたというのが一番大きかったと思います。
別府さん:今、土田さんは“信頼”という言葉を使いましたが、言い出したら聞かないというところがわかっていたので、もう二つ作るしかないと言ったので仕方ないというのもあって…(笑)でも、あとこの二つに分ける事でどういう価値を作ろうかという所だけだったと思ったし、その方向でブレずに進めていきました。
田中さん:そのへん苦労されたんじゃないですか、主査として。
別府さん:車を作っていく中で、ボディは大きな金型が必要で、少し形を変えるだけですごくお金がかかるんですよね。現行車よりも変えていくという事はそれだけ沢山お金をかけて作るということなので、当然経営陣からは「ビジネスは成立させろよ」という最低条件は言われて…最初周りの方々からアドバイスをいただく中で貫き通したのが、マツダが今の世代(第6世代群)から大きく車作りを変えてお客様に寄り添っていくブランドになろうよと標榜しています。その中で自分たちの車作りの効率だとかメーカーの都合でお客様の求めていないものを作っても意味がないじゃないですか。『お客様はセダンとハッチバック別々の車だと思ってますよ、なら別の車を作りませんか?』と訴えて、あとお金の話はなんとかするから作らせてください、ということをお願いしてなんとか…認めてもらいました。
田中さん:なんか、その苦労が髪の毛に出てますよね。二人本当に同期なんですよね?

土田さん:このプロジェクトが始まった時はもう少し黒かったんですけど、年を追うごとに白髪になって…私はまだ黒いんですけど。(笑)
別府さん:これね、家の中で自分の子どもと奥さんにはマツダの財前部長と呼ばしてます(笑)この肩の張り具合からして吉川晃司…(笑)
田中さん:ちょっと話が脱線してしまいましたが…(笑)要は我々デザイナー側としてはできるだけ表現の自由度が高い方がいいじゃないですか。通常なかなかそれができない。ただ今回この二台の車が例の次の時代のデザインということでちょっとそのへんのお話を…
土田さん:我々今の世代から魂動デザインというのを表現しています。魂動って魂の動きと書いて魂動と言って、我々作り手が動きに対して魂を込めることと、皆様がマツダの車を見て魂が動かされるようなそんな感動を作りたいというのが魂動なんですね。で、この新しい世代ではこの魂動デザインは変えません。ですがこの表現の方法を一個進化させたいと考えまして、今回やったのが日本の美意識を表現するということです。日本の美意識の中でも、引き算の美学、要素を引くことで見えてくる控えめなんだけど豊かな美しさ、というのを表現しています。その中でハッチバックなんですけど、プレスライン、シャープなラインを使っていません。そのラインを引くことで見えてくるリフレクションによる美しさ、強さというのを表現している。これが新しい世代の魂動デザインの表現としてやっています。

田中さん:要は生命感の表現が、今の世代はチーターの動き、野生の動きを車で表現するそれによった生命感。次世代は“光の移ろい”ということですかね。
土田さん:もう一つトライしているのが、2015年に出したRX-VISIONと2017年に出したVISION COUPEで二つの方向性の幅を広げようとしています。RX-VISIONはエモーショナルな艶っぽさ、我々“艶(えん)”と呼んでますけど艶寄り。
VISION COUPEは凛とした緊張感、品格を表現していて“凛(りん)”寄り。

それをVISIONモデルからそのまま量産モデルに落として今回一気に二つの幅の表現を出していくというのが今回の新しい挑戦でした。
田中さん:先程の別府さんが言われた、お客様に会いに行ったら“艶”を求める方と“凛”を求める方と、キャラクターが出て…ちょうどお二人のキャラクターみたいな感じで(笑)
別府さん:お客さんとお話していく中で僕の中でイメージが湧いてきたのは…土田さんはデザイナーでクリエイティブな人なんですけど結構自由人なんですよ。で「あ、ハッチバック土田さん!」ていうイメージがパーン!と来て、なので開発を進める時のコンセプトが、ハッチバックは常識や制約にとらわれない自由人、ていう人をイメージしながら作っていきました。対してセダンの方は、僕っていうとあれなんですが…世の中で自由じゃなくて逆に言うとこう…エレガント、自分自身の立ち振る舞いだとか所作が難しいエレガントな生活をしている、またはその姿になりたいと願っている人を念頭に置きながら作り込んでいきました。だから全く別人格、別性格を持たせました、というところが今回皆さんに一番お伝えしたかったところになります。
田中さん:最近デザインいいね!とマツダに対して言ってもらっているんですが、実はデザインだけがすごいんじゃなくて、それを開発生産してくれる後工程がすごく協力的なんですよね。
土田さん:実はこのボディ、ボディサイドは簡単にできないんです。ショーカーってすごく簡単にできるんです。あれは樹脂で一品物なので削ればできる。市販車はプレスで、金型でやらなくてはいけない。それでこの表現ができるっていうのはマツダのエンジニアと生産技術の協力がないとできていないです。何故これができるかと言いますと、我々マツダには“共創”という文化があるからこれができる。まずデザインができた時に、生産の人達やエンジニアにそれを見せるんです。それでまず感動していただいて、彼ら自身がこれを実現する為にどうやったらできると試行錯誤するプロセスがあって、そういうことがあってできています。

田中さん:鉄板って思いっきり曲げれば塑性域っていう部分に入って形が固まるんですけど、ちょっとしか曲げないと元に戻っちゃうんです。スプリングバックって言って。今回のデザインはまさにその領域の話で…
土田さん:特にハッチバックは難しくてですね…皆さん紙をイメージしていただくとわかると思うんですけど、紙って折り曲げないと保持できませんよね。鉄板って0.7mm〜0.8mmなんですけど、それを一回プレスしても戻ってしまう。そこに我々の生産技術の知恵だとか、そういうのが入ってできているんです。

別府さん:忘れられない出来事があって、モデルが出来上がっていくと関係部署の方に見ていただくんですけど、大体の部署は見せたら「すごくいい車できたねー!」「ワーッ!!」っていう歓声が上がったんですけど、生産に携わっている方々に見せる時に悲鳴が上がったんです。「エーッ!?」って(笑)そういうぐらいハッチバックの難易度が高い。だからこそこの美しさができているんです。
土田さん:やる気になってもらう為の工夫を二人でしまして…普通工場ではモデルをレビューしないんですが、わざわざ工場にデザインのモデルを持っていってプレゼンテーションして、アンベールもしてやる気になってもらう。エンジニアの心に火をつけるというやり方をやりました。
田中さん:デザインがやっと固まったものっていうのは、役員でも見たことがないっていうような時間軸の中で工場の人に見せるっていうのは、昔は絶対あり得なかったですよね。データだけ渡して作ってくれ、ということがあったが、それだと思いが伝わらない。今はお互い信頼、リスペクトしている状態ですね。
別府さん:土田さんは歴代のデザイナーの中で一番生産現場に足を運んだと断言できます。
田中さん:でもそれが今のマツダ…実はNDロードスターなんかもフェンダーはあんな深絞りは絶対できないっていうのをエンジニア、開発、生産の方々がやってくださってできている。うちは本当デザインを好きにさせてくれる為に周りがやってくれる。でもちょっと前までは違いましたよね?

土田さん:ちょっと前までは一般的な企業と一緒で、デザイナーとエンジニア、デザイナーと生産技術っていうのが敵同士だったんですね。我々こういうのがやりたい、って言ったら「できません。」って返ってくるだけだったんですけど(笑)今我々の会社いいなぁって思っているのが、あるものを見せると彼らがトライして、その後「土田さんできたよ!工場来てよ!」って見せてくれるんです。で行くとデザイナーですから「ここ、ちょっと違うよね…こう変えたい」っていうと彼らはまた喜んで作ってくれて、数ヶ月後にまた来てくれ、っていう、そういうやりとりをして今いい“共創”ができている。彼らも達成感、これを作れたっていう金型屋さんのプライドみたいな、そこがね…一人金型職人がいるんですが、その人に「まだできてないね。」っていうと笑うんですよ。ニヤって。(笑)
別府さん:いやいや、土田さん…いい話ばっかりしますけど、僕がこの白髪になったうちの三割ぐらいを占める、彼のわがままがあるんですよ。
これ後ろにある車、実は最初こうじゃなかったんです。もう少しプロポーションが良くなかったんですね。しばらく前の状態で開発が進んでいたんですけど、何故か急に土田さんが「いやぁ…これじゃ俺の狙ってる表現ができない!」って突如僕に言い出しまして…(苦笑)で、そっから開発のトップを呼んだり各部署の人を呼んでですね、彼の作りたい造形に持っていくには何をしなければならないのか、作戦会議が毎夜毎夜続くようになって…あの時は大変でした。
田中さん:具体的にどこを変えたんですか?
土田さん:具体的にはボンネットを30mm下げてもらいました。
ただエンジンの搭載位置は変わっていません。逆に衝突、歩行者保護の要件は厳しくなっているので、現行車よりも数十ミリ高い状態だったんですね。そうなると特にセダンの伸びやかさが表現できない、これじゃ困る、っていうことを当時の開発のトップに言って…彼は「鼻血が出そうなくらい高い目標だけど、今は具体的な施策がないけれどそれを目標としてやっていきましょう。」って言ってくれてこれが出来上がっている。だからその時は開発のトップと別府にはすごく助けてもらいました。

別府さん:あれで僕、この車出来上がらないんじゃないかっていう覚悟をしたぐらい大変だったんですけど、出来上がった車を見た時に「あ、彼の言うこと聞いてよかったな。あの時そのまま続けていたらこの感動は生まれてなかったな。」ってそう思いました。そしてこの二人でよかったなと感じた瞬間でした。
土田さん:初めて聞いたよ。(笑)ありがとうこざいます。
田中さん:じゃあ…インテリアの話もしたいと思うんですけど、マツダって外観はいいんだけど、乗り込むとガッカリするっていうぐらいインテリア遅れていたじゃないですか。今回かなり良くなりましたよね。そのへんのお話を。
土田さん:今回は内装のクオリティーを格段に上げました。上げるとなるとやっぱりお金がかかるんですよね…そこはまた別府に助けてもらってるんですけど…是非そちらにあるポリメタの内装、乗っていただけるので見てもらいたんですけど、まず乗ってみて人が中心にきているということを感じていただけるかと思います。すべての要素が左右対称となるように空間づくりをしていますので。あと触ってみてください。叩いてみてください。手が触るところはすべてソフトになっています。これも人間中心っていう所で人が触るところは優しくあるべきだという、そういう作り方をしています。

別府さん:あとせっかく触っていただけるので触ってほしいところがありまして、各スイッチ、ドアを開けるスイッチだとか、エアコンを調整するスイッチ、色々押し比べて、触り比べてみてください。今回我々が狙ったのが、すべてのスイッチがマツダらしいフィードバックで反応が返ってくるというようにリアクション調整しています。押しながらスーッと指が入っていってスイッチが押されたことがわかる、カチッという感触が伝わってきてそれが自然に返ってくる。それがすべての触るスイッチで統一感を持たせているので、見栄えだけでなくて触った時の質感を含めて大きく向上しているのがわかると思います。

田中さん:このトークの前に、お客さんの中で後席に家族を乗せる、特に子どもさんを乗せるときにもこの車は使えるんでしょうかっていう質問があったんですが、今回そこらへんもこだわっているんですよね。
別府さん:マツダは当然走り、デザインっていう所はこれまでもこだわってきたところなんですけど、もう一つお客様に喜んでもらいたい、期待を越えたいと思ったところが室内空間の質、なんですね。快適であること、自分自身がその空間の中でいきいきとすることを目指してやっています。その為に取り組んだのが静粛性と乗り心地という所で、例えば家族連れのお客様だと通常ミニバンのような大きな車、あれはあれで室内空間の量という観点で価値を作り上げています。でも我々同じ方法は取りたくなかった。では何に取り組んだかというとクオリティーを格段に上げてやろうと。家族の皆さんにとって車の室内空間の質って何かというと、目的地があってそこで何かの活動をする。そこでフルに、元気に楽しめる、そんな状態で乗員が移動できるような快適性を狙って今回は作りました。

田中さん:今回は実際走らせての試乗はできないのでわからないかと思うんですが、今新しくやろうとしているSKYACTIV-VEHICLE ARCHITECTUREについてドライバーが本来持っている能力っていうのを活かしながら一緒に車の人馬一体を作っていくっていう、そこらへんのお話を。
別府さん:皆さん歩いたり走ったりする時って絶対酔わないですよね。でも車に乗ると疲れたり酔ったりする方がいる。それって何故かっていうと、人間って元々揺れを補正する能力を持っています。足とか腰とか背中の脊柱を使いながら。実際歩いたり走ったりする時っていうのはそれらをうまく使って頭の揺れをすごくスムーズに動かします。スムーズに動くので脳は自然な動きだな、と反応して気持ち悪くならない。だけど車とかジェットコースターとか元々生き物が体験した事がないような動きが加わると三半規管が反応して気持ち悪くなったり酔いにつながってしまいます。今回狙ったのはとにかく車をなめらかに動かすという事。例えばTVがアナログからデジタルに変わった時、同じ映像だけどキレイになってビックリしましたよね。今の世代でもなめらかに動かそうとしていますが、その解像度がアナログ、次世代ではデジタルの解像度に飛躍したというようなイメージです。本当にきめ細かくなめらかに車が思い通りに動いていく、これが伝えたいところです。
田中さん:今、思い通りにと言ったところがすごく大事で、先程左右対称と言ったことも、何故左右対称にしなければいかないのかというと、人間が運転している時に無意識のうちに軸感っていうのを、進行方向を感じるようにする為。意識しないで今真っ直ぐ走っている、そういうのがすべて無意識の中でつながっていくと一体化した気持ちになれる。

別府さん:また例えて言うと、目の前にペットボトルがある時にそれを取ってくださいと言われたら空振りする人いないですよね。手に届くところにあれば絶対そこに手を置くし、持ち上げる時も大体見れば重さがわかるのでスーッと持ち上げられます。でももしここにクレーンゲームがあって、これで取ってくださいって言われたら、途端に考え出しますよね。この距離どれくらいだろう、ボタンを押しすぎて行き過ぎた、とか。今すごく極端な事を言ってるんですが、車っていうのはクレーンゲームのクレーンと一緒で、人間の入力に対して色々なノイズがあってそれが実際に動きになる。なので我々目指しているのはその人間が操作したいと思っている動きを車の機械のズレというノイズを無くしてしまうというところです。そのノイズ、メッシュというのが限りなくゼロに近づいてきたというところが今回の自慢のポイントです。
田中さん:車を纏う、みたいな一体化した生命感を感じていただけるのではないでしょうか。
土田さん:デザインでも車に集中する以外の所はノイズを徹底的に削いでいます。これも引き算の考え方で。室内からワイパーが見えない位置まで下げていたり、Aピラーの視界も収束視界と言って見やすくなっていて、すべて人間が中心で気持ち良く、人馬一体の空間作りというのもエンジニアと一緒にやっていますので非常に気持ち良い視界にできたと思っています。

田中さん:早く出して、皆さんに試乗していただく機会を…
別府さん:僕らももどかしいんですけど…乗ってもらうとそこは一瞬で分かっていただけると思います。
田中さん:最後に別府さんからこの車に込めた思いを言っていただいて締めたいと思います。
別府さん:このMazda3という車はマツダにとって特別な車だと思っています。お客様の視点から見るとマツダのブランドの入り口みたいになっていく車だなと。この車がこうなったらいいなと思っているのが、皆さんの日常、毎日が少しでも明るくなったり彩られたりする車になればいいなという事です。今回ご紹介した機能の一つ一つは、ドライバー、その他の乗員の方々が元気になる、自分の持っている能力を引き出すという所です。話が変わりますが、人生って選択の連続ですよね。どっちにしようかなって思って、でもこうすればよかったというようなシーンがあると思うんですけど、もしその時に自分のコンディションがもっと良ければ、もっといい選択が取れたかも…そういった時に変化を与えられる車にしたいと思って進めてきました。是非この車に興味を持っていただけたならば、乗ってみていただいて、自分のちょっとした変化が見つけられたら毎日がすごく色鮮やかな素晴らしい日々になるんじゃないかな、と思っています。
トークショーが終わり、にこやかに颯爽と去る土田氏、カッコいい。

…ということで、文字に起こすとなかなかのボリュームだった。
この後はせっかくオートサロンにきたので一時間半程他を回ってみた。写真⬇︎
2019.1.11 東京オートサロン
…が、しかし、結局はMazda3をとにかく見たくてマツダブースへ戻ってきてしまった。笑
もう少し見てみた上で自分の印象や気になった点などについて記載しておく。
・運転席に乗ってみたが、左ハンドル車なのでどうしても違和感が…その上での感想にはなるが、トークショーの中でも言っていた左右対称、それが気持ちいい。しっくりくる感じ。(あとで自分のアクセラに乗ってみたが、エアコンの吹き出し口がドライバーに対して左右対称になっていないので違和感を持つようになってしまった…)
包まれ感が更に増した。

・後部座席の広さは、現行と同じぐらいと感じた。窓は後端が上に跳ね上がっているものの、乗車して横を見てみると視界は確保されている。

・窓が小さいから室内が暗い、というよりは内装が黒いから暗く感じる。

・前に座っていた方がマツコネを色々いじっていて米津玄師のLemonが流れていたのでご一緒に試聴。
うん…めっちゃイイ笑 ウーファーがドアにないから音量を大きくしてもドアが振動することもないだろうし、低音と高音がクリアに聞こえる。室内の静粛性と相まって「走るオーディオルーム」と言うだけのことはある。

・BOSEのCenterpointとAUDIOPILOTは3段階に調節できることが判明。CenterpointのレベルをMAXにするとさすがに過剰なぐらいのサラウンド感だった。

・ウーファーはこちらに。スペアタイヤも一緒に収まっていた。

・下を覗けば、やっぱりトーションビーム。と言ってもやたらしっかりしている印象。

・フェンダー部上部、爪折りされているのを確認。これでホイール外へ出してもタイヤが当たらない。(カローラスポーツもそうらしいが。)

・トランクはちょっと狭い?(あとで改めて自分のアクセラ見てみたらそんなに変わらない印象だった。)
…と簡単ではあるがMazda3をじっくりと見て、開発者のトークも聞いてほんの一部ではあるが知ることができた。
結局終わりの19時まで入り浸ってしまった笑(係員の人に変な人だな…と思われたかもしれない)人が少なくなってようやくいい写真が撮れた。
“3”という数字は安定と調和を生み出す数字と言われている。“Mazda3”が今までも、そしてこれからもマツダに安定と調和を生み出す車であることを強く感じた今回のイベントだった。

しばらくはミニMazda3を眺めて楽しむことにします…

最後まで読んでくださりありがとうございました。
Mazda3 写真⬇︎
2019.1.11 東京オートサロンMazda3
Mazda3以外のMazdaブース写真⬇︎
2019.1.11 東京オートサロン Mazdaブース