寝耳に虫。

チャンプロードを買ったつもりが、カートップを買ってしまっていた。
ヤンキー姉ちゃんの写真を楽しみにしてたのに、どういう訳かみんなの笑顔が載っていた。
そんなほっこりとした時間を過ごしています。
雑誌に載ると、その時のおもひでが脳裏に浮かんで、楽しかった気分のままでぐっすり寝れそうですがそうもいかない。

日曜深夜の敵がまだ部屋に潜んでいるかも。

私の耳に入ってきた侵入者。
通称「コバエ」
ノミバエ思われます。

入った瞬間はパニックに陥ります。
耳の中で羽音と虫の息遣いを感じる。
足で動いている様子もわかる。
かなり
「痛気持ち悪五月蝿い」
うるさいを五月蝿いって書く意味がよくわかる。

深夜2時。
家族は夢の中
私は途方もない現実の中。
耳の中で虫が動く度に変なあえぎ声を上げてしまう。

とりあえずなんとかしようと考える。
耳かきや綿棒だと、さらに奥に虫を追いやってしまう。
そうだピンセットがある。

耳奥の敵と戦いながらピンセットを探す。
しかしピンセットは見当たらない。
パニック状態のまま物を探すのは至難の業。
私は助けを呼ぶことに。

119か？
いや待てくつした！
最近はそんな救急でないのに119を呼ぶ人間がいるって話だ。
私の虫は救急ほどか？

私は1.5秒ほど考えた。
でかい病院は24H営業の年中無休じゃまいか！

即座に鈴鹿総合病院を検索。
電話番号も載ってるしこれでバッチリだ。

トルゥルゥルゥ。
「はい、鈴鹿中央病院です」
「虫が耳に入ってエライコッチャなんですけど今から診てもらえる？」
と、あえぎながら言う私。
「とりあ、耳に懐中電灯当ててみて」
「了解っす！」
「どうですか？」
「出てくる気配ありません」
「そうですか〜。今先生が他の対応してますので、少し待っていただかないといけませんが、きます？」
「すぐ行くっす」

で、三交タクシーに電話した。
「ただいまの時間は営業しておりません」
の、アナウンス。
次は名鉄タクシーだ！

すぐ来てくれた。
ありがとう名鉄タクシー。

行き先を鈴鹿総合病院って伝えると、
鈴鹿中央病院ですか？って言われた。

そうです！！！！！

タクシーの運ちゃん。
行き先を聞いて急いでくれたんだと思う。
結構なスピードで病院を目指す。
しかし、路面のギャップなどで
車体は揺れる。
私の頭も揺れる。
耳の中の虫は暴れる。

運ちゃんに事情を説明しゆっくり走ってもらう。
その時だった！
虫の足がさっきより出口に近づいている！
「あぁっ！出そう！運ちゃん、ここで出しちゃったらゴメン！」
しかし、私の高揚とは裏腹に虫はまた奥にずっぽし入っていった。

そんなこんなで病院に到着。
保険証を提示し、診察を待っている。

夜の病院は賑やかである。
おそらく交通事故であろう。
ヤンキー兄ちゃんとヤンキー姉ちゃんがやんややんやとやっている。
五月蝿い。
普段なら別にどうでもいいのだが、ヤンキー会話と、虫の行動がダブルパンチで五月蝿い。

私は思う、ダブルパンチはカルビーのコンソメだけでいい。

その時だった！

耳の奥にいた虫が出口付近に居る。
そして違和感が無くなった。

私は懐中電灯を病院の職員に持たせ問いただす。
「見える？」
「いやぁ、見えんです」
その時右腕に止まっている虫が見えた。
おそらくコイツであろう。

私は頭を上下左右に振り、己の手で頭をどつき倒す。
虫は暴れない。違和感すらない。

私の腕に止まってた虫をつまみ、そのまま潰した。
診察をキャンセルし、再び名鉄タクシーを呼び家に帰る。

時計の針は3時目前だった。

今日も灯りを灯したまま寝よう。

みんなの耳が健康であるように願いを込めて・・・。