<お読みになる前に>
これは老いた夫婦と老犬の心温まるお話です
この手の話がキライな方はスルーしてください
今日も名古屋は30度を越える夏日となり梅雨だという事を忘れてしまう程 暑い一日だ
私は近所の公園に散歩に出かけてみた...
よほど暑いのか公園には子供達の姿はない
私はベンチに腰掛 途中で買っておいた缶コーヒーを飲みながらタバコに火をつけた
つる草で木陰がつくられ じっとしていれば風が心地良い♪
すると夫婦とみられる老人が一匹の犬を抱えながらが私のいるベンチに向かって歩いて来た
「こんにちは ココよろしいですか?」
老夫婦は会釈をしながら私に話しかけてきた
「あっ どうぞ.......今日は一段と暑いですね....」
老夫婦は抱えていた犬を自分達の横におろし いたわる様に撫でている
私も動物が好きなので小動物から爬虫類まで よく子供の頃から飼っていた
その為 犬猫なら毛艶と目を見ればだいたいの年齢と健康状態ぐらいはわかるのだ
老夫婦が連れてきた犬はいわゆる雑種の小型犬で およそ12~13歳といったところだろう
私はハッとした!
なんと この犬には後ろ足が二本とも無いのだ
思い切って 私は足の事を紳士に尋ねてみた
「この子の足はどうされたんですか...事故か何かですか?」
すると犬を愛しそうに撫でている婦人が
「...............はぃ」
とだけ返事をし 紳士が当時の事故の事を話はじめた
話を聞けば この老夫婦の息子さん達はそれぞれ独立し 今はこの犬と
3人で暮らしているらしい
そして外出する時は犬を外に鎖でつなぎ 2人が家に居る時だけ鎖を解いて敷地で
放し飼いにしているようなのだ
一年程前 ある日いつもの様に庭に放していたら姿が見えなくなり 不審に思い
表の通りに探しに出てみると
そこには 無残にも車にはねられ血まみれに横たわる愛犬の姿があったという
すぐさま病院に駆けつけ 一命はとり止めたものの両足は骨が粉々に砕け散り
切断を余儀なくされたと そう話す紳士の目はすでに赤く腫れていた
その後 その犬は前足だけで這って歩くまで順調に回復し 家の中ではお腹が擦れない様
タオルを下半身に巻きつけてもらい元気に駈けずり回っているらしい
しかし どうしても外に出たがる為 外に散歩に行く時はこうして抱きかかえて
気分だけでも外に散歩に来た気にさせるのだという
そして紳士はこう言葉を続けた
「もし...もしあの時 私達が目を離さなければこんな事にはならなかった...
全部私が悪いんです...私が...ウッウッ...」
婦人は 犬を抱き寄せるようにその場に泣き崩れ
紳士は 肩を震わせながらポタポタと大粒の涙を落としていた
私は居た堪れなくなり
「それは違いますよ...........」
老夫婦「.............................」
「犬はね いいエサが貰えるとか そんなんじゃないんです
大好きな主人と どれだけ一緒の時を過ごせるかで犬の幸せが決まるんです」
「たしかにこの子は後ろ足を失ったかもしれない..
そのかわり いつもあなた達と一緒に過ごす時間を手に入れたではありませんか...
この子は今 とても幸せですよ」
私の言葉に紳士もその場に泣き崩れてしまった
わかっていたのだ.......
私などに言われなくても そんな事ぐらいこの老夫婦はわかっていたのだ!
それでも この老夫婦は自分達を責め続ける事で己自身を傷つけ
それがこの子に対しての償いと考えたのだろう....
きっと墓の中まで業を背負う気だったに違いない
たかが犬だろ.......そう思う人もいるかもしれない
しかし 我が子を想う親の心に 【種族の違い】 という隔たりなどないのだ
それが親心だと私は思う!
「じゃあね♪」 と犬の頭を撫でるとシッポを振って悦んでくれた..
「では 失礼します」 と2人に挨拶をしてベンチを立ち上がった私を
老夫婦は 何度も何度もおじぎをしながら見送っていた...
私の推定では12~13歳になろうかというあの老犬....
身体にメスも入れているのだ
長生きは出来ないだろう......
たとえ 明日死ぬ事になろうともあの老犬はきっと幸せだったに違いない
だって お前の主人はあんなにも優しいじゃないか......
そう思うと涙があふれた...
Posted at 2007/06/16 22:13:50 | |
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