「ボボボボボボボ・・・」
『ボボボーボ ボーボボ』のことではない
野太い排気音が男のお腹に響き渡る
男の目の前には…
いかついインスツルメントパネルが…
センターにタコメーターがある。
ステアリングのセンターには『Z』の文字が光っている
そう このクルマ
FAIRLADY Z Version NISMO である。
でんすけ父さんのご厚意で、運転席に収まる
傍から見てるとかなり窮屈そうであるが、本人はいっこうに気にする気配はない。
それどころか、インパネをなめるような視線で凝視していた
ステアリングを握り、シフトレバーを「D」にいれる。
アクセルペダルに少し力をいれると
「ぶろろろろろぉ~ん」
と控え目は排気音をだしながら、「Z」はゆっくり動き出した。
駐車場から一般道へ
アクセルペダルはオルガン式である。
吊り下げタイプとは違い、ペダルにキチンと足を乗せて、意思表示をしないと走らない。
男の足に一瞬力が入る その動きに忠実に「Z」は軽く唸りながら加速する
最初の交差点を右折
男は自分が中心にいるような旋回感覚にある種のよろこびを感じる
男は軽くステアリングを左右に振る
センターの座りがいい
40キロ前後のスピードであるが、固められた足回りで多少の揺すられ感はある。
エンジンは静かである が、
さすがにフロント245/40R19 リヤ275/35R19のワイド&ロープロタイヤである
ロードノイズは大きめだ。
一般道を50キロ前後で流す。
途中、シフトレバーを右側に引き寄せ、ステアリングコラムのパドルシフトを操作する
シフトアップはきれいに行われていたが、シフトダウンがほんの一瞬であるが、感覚とのズレがある様に思えた。
そうこうしているうちにインター入口に到着
しかし、ETCゲートが赤信号に…
先行車がなにかやらかしたのであろう
男は逸る気持ちを抑え、ゆっくりとETCゲートに「Z」を進める。
ゲートを抜けたあと、さらにゆっくりと「Z」を進める。
そう 先行車との距離を開けるためだ
合流車線に入る
男は右足に力をいれる!
「ぐぅを~~~!」
「Z」は指で弾かれたビー玉のように加速する
男の大きなお腹にも加速Gがかかる!
たぶん人一倍Gを感じていることだろう
タコメータの針は一瞬でレッドゾーンへ!
オーバーレブの赤いREDが点滅!
すかさず男はパドルでシフトアップ!
サイドミラーを確認し、追い越し車線にでる!
さらにアクセルを踏む男!
その動きに敏感に反応し、最高出力261kw(355PS) 最大トルク374N・m(38.1kg)のVQ37VHR(Version NISMO)がさらなる雄叫びを上げる!
スピードメーターは一気に1○0キロに!
そのまま男はパドルをシフトアップ操作して巡航に入る
「Z」は何事もなかったように静かに、そしてまっすぐにすすんでいく…
だが、
そのスピードメーターの針は非日常的な速度を指していた。
全長4405、全幅1870
ホイールベース2550mmに対しトレッドが1555mm
典型的なショートホイールベース、ワイドトレッドである
しかし、フロント:独立懸架ダブルウィッシュボーン、リヤ:独立懸架マルチリンク式のサスペンションは、まるでレールの上を走っているかのような直進安定性である。
そして、この速度域だと空力パーツも効いているのであろう
しばらくして、男の携帯が鳴る
「だれだよぉ お楽しみの最中に」と 心の中でつぶやく
九州のマネージャーからだ
何かあったのか?
本来なら電話に出るべきではないが、相手が相手だけに気になる
「Z」を左端の車線に移動させ、遅い流れに乗せる
「もしもし"ピー"です」「ご苦労様です」「どうされました?」
矢継ぎ早に話す男…
『いやぁ 30分ほど前にあんたからの着信があったとね』
『そっちこそどないしたんね』
この携帯、
また勝手に
イタ電をしていたのであった
いっきにテンションが下がる
しかし、その時、
追い越し車線をかっとんでいくプレサージュが!
そう明日香のパパさんである
どう見てもスイッチが入った走り方だ
とっさに追いかける男
「Z」は鬼のような加速で一気に差を詰める。
そして抜き去るのであった。
しばらくそのまま巡航していると、前方の同じ型式のホワイト「Z」が走っていた。
男はあまり車間を詰めないように後ろにつく
するとホワイト「Z」は進路を譲ってくれた。
スルスルと加速し、「Z]をパス
合図にハザードを点灯しようとする男…
ハザードスイッチの場所がわからない・・・
「ホワイト「Z」さんありがとう!ごめんなさい!」と心の中でつぶやく
もうすぐ出口である。この至福の時も終わりなのか・・・
と 思った時、でんすけ父さんの携帯がなる
男は再度左側車線にクルマを寄せゆっくり巡航させる
詳細はよくわからないが、電話の向こうで
一大事が発生している様子である。
男に緊張が走る
すると助手席のでんすけの父さんのポケットから
「スリーポインテッドスター」の電子キーが
やはり一大事である
元に戻ることに・・・
男にとってはラッキーだったのか?
しかし、戻るときはおとなしい運転を心掛けた
スピードはそれなりに出していたが
やはりスーパースポーツカーをギンギンに走らせていると、「Z」のオーナーが偏見の目で見られるかもしれない
それは長い目で見てあまりいい話しではない
無事にキーを届け、目的地を目指す
その頃には平常心を取り戻し、「Z」の安定性を堪能していた
一般道に降りても「Z」の素性の良さは発揮されていた
そして ついた先が・・・
「佐野ラーメン 万里」である。
駐車場の段差を気にしながらゆっくりと「Z」を進める
駐車場の枠にバックでいれる男・・・
うっ うしろが見えない
やはりこのクルマ、前に進むことしか考えられていないのだろう
やっとのことで枠にいれる
ドアを開け、運転席から・・・
出られない
はやりスポーツカーである
バケットシートの落とし込みが深く、サイドサポートも張り出している
大きいお腹と太ももが邪魔をしてバケットシートからすんなり起き上がれないのである。
顔を真っ赤にしてなんとか脱出した
と そこに先にラーメンを食べ終えていた明日香のパパさんと越中ライダーさんが
越中ライダーさんに感想を聞かれ「
えがったぁ~」
そう 心からそう思った。
しかし、顔が紅潮していたのは「Z」から必至で這い出てきたからだったのだ。
「佐野ラーメン万里」ここは元プロ野球選手 小関竜也の実家である。
そしてここはでんすけの父さんの御推奨のお店でもある。
店内に入る、こあがりのテーブルは家族連れで埋まっていた。
カウンターが空いている。
並んでカウンターに・・・
そして男が注文したのが・・・
チャーシューメン大盛りである。
麺はいかにも「手打ち!」って感じの平打ち麺である。
平打ち麺ではあるが、麺の厚さが不ぞろいであり、薄いところはゆるゆるである。
しかし、厚いところは歯ごたえもあり、つるつるの麺は喉越しがいい
やはり青竹で打つという佐野ラーメンの麺の特徴なのだろう
スープは鶏ガラと豚がベースである
すっきりとしているが、スープ表面に浮いた脂が味の深みをだしている
少し甘めのスープであるが男はいたく気に入ったようでだ
ラーメンを食べていると、徐々にお客さんが入ってくる・・・
ラーメンを食べ終えるころには、店内に行列ができていた。
いつも行列ができているという話は本当なのであろう
そして 帰りはU31「高速道の☆」である。
そう 明日香のパパさんの愛車である。
ラーメンに満足して、写メルのを忘れた
車内は平和な空気で満たされていた
男は満足感に浸りながら、日常的な速度で帰路につくのであった。
オフ会の帰り道・・・
男のプレサージュの助手席には・・・
佐野ラーメン 万里の箱が鎮座していた・・・
続く
長文を読破していただき、ありがとうございます(苦笑
でんすけの父さん 貴重な体験をさせていただき、ありがとうございました<(_ _)>
越後のご隠居さん お土産をいただき、ありがとうございました<(_ _)>
遅くなりましたが、この場にてお礼を申し上げます(笑