TTを購入して、そろそろ1年が経とうとしています。
走行距離も1万4千キロを超えていますが、実は未だに足回りがしっくりこないんです。
今回のテーマのマグネティックライドのメカニズムに起因した限界付近での挙動によるものでは?、と推測しています。
マグネティックライドは、実際に試乗して決定して、TT購入の一番の決め手だったのですが、見抜けなかった挙動に憂鬱な昨今です。
マグネティックライドのメカニズム
まず、マグネティックライドのメカニズムについて簡単に説明します。

通常、可変ダンパーはフルードの通過する穴の大きさを、モーター等で機械的に変化させることによって実現しているそうですが、このマグネティックライドにおいては、磁性体を混入させたフルードに磁界をかけると粘度が増加する特性を利用して、フルードの通過する穴の大きさは固定にして、電磁コイルにより磁界をダイナミックに制御することによって、瞬時に減衰力を調整するメカニズムだそうです。
機構が単純なのが魅力ですよね。
営業マン曰くFerarri599にも搭載されているメカニズムだそうです。

関連URLの記述によると、Audiではダンパーに組み込んだトラベルセンサーからサスペンションのストロークを検知して、走行状態を加味して各4輪のダンパーの減衰力を制御しているようです。
しっくりこない挙動
以前の
ブログや
整備手帳でも少し触れていますが、慣らし運転中、○80キロくらいのコーナーで、継ぎ目があると、タイヤをハンマーで叩かれたような衝撃と、一瞬、遠心力から開放されて円の接線に沿ってコーナーの外側へ流れていくような挙動をするのです。
慣らし運転中は、サスペンションが十分に馴染んでいないためだろうと、善意に解釈して、空気圧を規定ぎりぎりか、それ以下まで下げることで、タイヤにその衝撃を吸収させて対応していました。
因みにマグネティックライドの設定は、通常はコンフォートに。一般道の比較的路面のよいワインディングでスポーツに、路面状況の悪い一般道や高速道路全般ではコンフォートにして走行しています。これは今も変わりません。
慣らしが終わって、走行距離も4000キロを越えた辺りから、少しは馴染んできた感じはありますが、継ぎ目でのショックは一向に改善されていません。
走行距離も増えて、色々と遠出をして感じたことですが、
東北自動車道のように比較的路面の状態がよく、高架の少ない高速では、○10キロくらいで巡航しても、アウトに流されることもなく、至って快適なんです。
一転して、東名の中井を過ぎてルートが二手に分かれた辺りから、山の斜面に沿って高架を走らせている区間では、○80キロ近辺を境に、他の車で走るときと比べて明らかに低い速度でこの横っ飛びが始まってしまうのです。
個人的な推論
以下、個人的な推論です。
最初のころは、標準で履いていたピレリーのPZeroが硬すぎるためだろうとか、フルードに磁性体を混入することで、フルード自体の粘度が増して、結果的に急激なストロークの変化に対して想定以上の慣性力が働くためだろう、と考えていました。
これらはどれも一要因として排除はできないとは思いますが、今は、トラベルセンサーによるフィードバックの方法が一番の要因ではないかと推測しています。
個人的には、トラベルセンサー以外に、サスペンションが受け止めている圧力をセンシングする必要があるように思います。アウディのHPでは記載はされていませんでしたし、もし存在すればもっと好感の持てる挙動をするように思えます。
さて、
今、高速コーナーにグリップの90%くらいを使うように進入したとします。
ECUは外輪側のトラベルセンサーの沈み込みやヨーを検知して外側のダンパーを硬くして沈み込みを遅らせるでしょう。
この状態では、ダンパーが負荷を肩代わりして受け止めていて、スプリングは本来のストロークまで沈み込んでいない状態になるでしょう。
サーキット場や、路面状態のいい高速道路では、この一次的な負荷の印加のまま何事もなくコーナーをクリアするのでしょうが、高架の多い山国日本では、コーナー途中で高架の継ぎ目等による二次的な突き上げが存在します。
ECUは、その突き上げを路面の一時的な変化として認識することもできるでしょうし、瞬時に減衰を緩めてストロークを縮めて路面に追従させることも可能でしょう。しかしながら如何せんスプリングは均衡状態まで十分に沈み込んでいないため、突き上げに対して追従を許すと、路面が安定した後でも、スプリングには押し返すだけの力はなく、沈みこんだままになってしまうのでしょう。
ECUは、姿勢制御を維持するために、これ以上急激に沈みこませないために、よりダンパーを硬くする方向に動作させるのでしょう。
これによって、路面からは、まるでハンマーで叩かれたかのようなショックとともに、いとも簡単ににグリップを失ってしまうように思えるのです。
目いっぱい硬くなったダンパーは、サスに加わっている圧力がフリーになっていることを検出できないまま、スプリングが伸びようとすることを阻止し続けてしまうのでしょう。いわゆる飽和状態、”サチる”ってやつですよね。
この辺りが、アクティブに反発力を増加できるアクティブサスとの大きな違いだと思います。
このマグネティックライドの飽和状態が、意外と低い速度域で発生してしまい、私の憂鬱の原因になっているのではと思います。
因みに補足ですが、上記の仕組みを念頭におくと、直線走行から定常円走行に入り、それを何周も継続していくと、多分徐々にロールが大きくなっていくのでしょう。マグネティックライドをスポーツモードにしているとゆっくりと、コンフォートモードだと早めにその状態に推移していくのかな?
マグネティックライドとSLine
残念ながら、SLineのオプションを付けた車両に試乗していません。
推測するに、サーキット場のような路面状態のよい場所ではマグネティックライド、高速道路ではSLineのほうが走破性がよいのかも。
TTS
TTSはマグネティックライド標準です。
試乗車検討中とのことですが、改善されているのか是非試乗してみたいところです。
R8についても同様です。こちらについては営業所で試乗車を予約してくれていて、近々チャンスがありそう。
【追記2009/02/06】
TTSのマグネティックライドのインプレッションについては、「
TTS試乗」のほうで記載しています。明らかに乗りやすくなっています。
こちらもご参照ください。
試乗時に
マグネティックライド装着車は丸一日借り出して試乗をしました。
いつもの横横、横浜新道、湾岸のコース。
直線では継ぎ目はあるのですが、コーナーはうねりはあるものの、問題を発生させるような継ぎ目も少なく判らず仕舞い。逆にうねりの収束のよさにプラス採点。
夜には問題の中井~御殿場間も走行しているのですが、稟議申請のため、家内を横に乗せていたため、現象のでるような走りをしておらず、判らず仕舞い。
少々言い訳ですが。。。(^^;
長文失礼しました。m( 。。)m