
IS-Fに試乗してきました。
土曜に一般道のディーラー指定のコースを試乗し、日を改めて、本日、高速道路を試乗させていただきました。
高速からディーラーへの帰り道は、私のほうで適当にコースを選ばせてもらい、カーブやクランク、坂道などを存分に含んだコースをメリハリもって走らせていただきました。
まずIS-Fのスペックを抜粋すると、
engine V8/4968cc
mission 8-speed SPDS(SPort Direct Shift)
power 423ps/6600rpm
torque 51.5kgm/5200rpm
weight 1690kg
0-100km/h 4.9sec
price 766万
価格的にはGT-R相当ですが、引き合いではGT-Rと比較検討されるお客様はほとんどなく、M3と比較される場合が多いとのことでした。
V8エンジンは、LS600hのものをパワーアップして搭載しています。
CVTの代わりに新開発の8-speed SPDSなるトルコンATを搭載しています。
パワーはM3と同等程度ですが、トルクはM3より10kgm近く太くなっています。
0-100km/hの加速では4.9secと、M3の4.8secといい勝負です。
他のISと比べて、Fスポイラー周りが異なるのと、Fタイヤ後ろのダクトが存在すること、フロントバンパーが全体的に盛り上がっていることでしょうか。白だと結構もっこりした感じに見えてしまいます。
シートは深いという印象は無いですが、ホールド感はいいです。
天井が低く、シートポジションがハンドルに近い人だと、頭が天井に干渉しやすいです。
エンジンをかけると、住宅地ではちょっと顰蹙を買いそうな大きな音。音だけで生活パターンがご近所様にばれてしまいそう。
高回転域では音が変わり、こちらも官能的。
結構なエキゾーストですので、高速の追い越し車線でバドルでシフトダウンしながら追いつけば、音で気付いてくれて道を譲ってくれるかも。
エンジン、ミッション系。
新開発の8速トルコンATの8-speed SPDS、カタログには、MTモードで2~8速は、ロックアップ状態になると記載されています。
この記載からすると、ATモードではトルコンを使って滑らかな変速ができるように行間を読んでしまいがちですが、体感的にはMTモードとの違いは見受けられないように感じました。
変速の感じは他のISのような滑らかさはなく、かなり荒めです。
ATモードで流れに乗って緩やかな加速や減速時は、変速ショックはほとんど気にはなりませんが、加速のためアクセルを踏み込むと、他のISと比べて変速ショックは大きいです。
また、この変速ショックを極力感じさせないための苦肉のセッティングなのか、多少の踏み込みでは簡単にはシフトダウンしてくれません。(他のISは素直に反応してシフトダウンしてくれるのですが。)
このため、加速したいときに、シフトせずに踏ん張った挙句に2段シフトダウンしてしまうことがあり、結果的に変速ショックを助長しているように見受けられます。
また、8段と多段であるが故に、高速道路等で、例えば8速で走行している状態から最大加速を必要とする場合、一気に4速近くシフトダウンしてしまい、そのときの変速の感覚はあまり好ましいものではありません。
ATモードにおいては、折角多段の8速まで持たせたトルコンATなのですから、もっとトルコンを介入させて、他のISのように、アクセルに対する変速レスポンスを上げて、滑らかなフィーリングに仕上げて欲しかったところです。
MTモードにおいては、ATで感じた変速ショックはダイレクト感に変わり、DSGほどではないが、SMGより速い変速をしてくれます。
8速ある割には、1速の守備範囲を広く取ってあるみたいで、発進時の2速へのシフトアップには6速同様の余裕度はあります。(ハンドルを半周も回した状態で、アクセルワークが少し荒いと簡単に後ろに電子制御が介入してしまいます。トルクは太いですね。)
MTモードでは、AT時に不快に感じる加速時の変速の複数段飛びはパドル操作のタイミングで回避できるため、結果的にアクセルのオーバーアクションをしなくて済みます。
高速と一般道を走ってみて、MTモードのほうがATモードのようなもたつきも無く、意のままに変速できて、はっきりいって楽しいです。
私の場合、今のATモードのフィーリングのままでは、MTモードしか使わないだろうと思いました。
しかし、8速もある分、変速の回数は多く、助手席からは忙しなく感じることでしょう。
パドルはハンドル側に固定のため、変速回数が多くてもハンドルから手を離す必要がないのは救いです。
MTモードでの自動変速についてですが、まず、レブにあたるとシフトアップします。
これはサーキット場などにおいて、MTモードで最適なシフトアップをしたいときには変速は車に任せればよく便利な一面はありますが、レブ近辺やレブにあてながらコーナを抜けたい人には邪魔な機能なのでしょう。
997や987のTipは、996や986からの移行時に、レブにあたる以外にキックダウンの条件を付け加えてシフトアップするように改善されています。裏返せば、キックダウンしなければ、レブにあたってもシフトアップしないということです。
TTはIS-Fと同じ動作です。
次に、MTモードでキックダウンしたときの動作ですが、レブに対して介入してくるのとは対象的に、シフトチェンジはしない設計になっています。
この機能については、好みの分かれるところだと思います。
TTはシフトダウンします。
997,987がどうだったかは覚えていません。
997,987もシフトダウンします。[2008/10/15修正]
IS-Fの場合、特に8速もギアがあるので、追い越し等の加速時に、咄嗟にパドルで最適なギアポジションまで落とせるかは疑問なところです。
8速もギアがある分、キックダウンという最大限の加速をしたいという意思表示に対しては、個人的にはTTと同様、最適なギアにシフトダウンしてくれるとありがたいと思っています。
次にサスペンション。
IS350Ver.Sよりも硬いかもしれませんが、嫌味な硬さではありません。
しかしながら、160キロ辺りを過ぎると、路面のうねりに弱く、跳ねてしまいます。
跳ねてしまうだけならまだ許せるのですが、1回で吸収しきれずに2回目のおつりのバウンドがきてしまいます。
以前、IS350Ver.Sで高速道路での試乗をしたことがありますが、まさにそのときの症状のままです。
あのときは、陸運局から登録を済ませて戻ってきたばかりの車だったため、サスが馴染んでいないためだろうと善意に捉えていましが、4,500キロ近く走って十分あたりがついている車両においても挙動が同じだったため、潜在的に持っている挙動のようです。
サルーン的な味付けのVer.Lではしっかりと吸収していたと記憶しています。
Ver.Sと同じ日に、550iで同じコースを試乗しているのですが、より高速域でもそのような挙動はでないんです。(AMGも同様。)
このあたりの挙動の差が欧州車にはまだまだ太刀打ちできないなあと痛感させられるところです。
予約を入れた人には、FSWで試乗走行できるようですが、サーキットのような路面状況のよい場所では、上記の挙動に気付くことはないでしょう。
現在のデリバリの状況ですが、
一時期、2年待ちまで生産枠が埋まってしまったようですが、生産枠を拡大したみたいで、今予約を入れると2009年の2~3月の生産に乗るようです。
マイナチェンジではないですが、改良を加えた改良版の投入が決まっています。
8月6日辺りの生産から改良版に切り替わるみたいです。
改良前、後で納期調整が行なわれているようで、改良前の車両であれば割り込みで購入できる可能性もあるようです。
M-DKG搭載のM3が2009年の3月ころ出てくることを考えると思案のしどころですね。
個人的には、エキゾーストや変速ショックに対して、スポーツカーはこうあるべき、みたいなコンセプトを持って設計されているのでしょうが、演出しすぎに感じてしまい、どうも好きになれません。
サスの挙動ももっと研究してほしいところです。
ちょっと辛口になってしまいましたが、あくまでも私の趣味趣向に基づく書き込みということでご容赦下さいませ。