TTSに試乗してきました。
ディーラーより閉店前に借り出して、開店時に返すパターン。
今回の試乗コースは富士山周遊と箱根温泉の2つのルート。
TTSを借り出して、その日のうちに富士山周遊コースを。
自宅で睡眠を取ったあと、朝方箱根温泉コースを。
走行距離は360と270の合わせて630キロ。
結構走ってしまいました。(^^;
【エンジン、シフト】
発進時のアクセルは少し固めで、もたついた感じ。
燃費対策のためのセッティングだと思われますが、もたついた分ぐっと踏み足すと、固かった分、逆に吹け過ぎてしまう傾向にあるようです。
レッドゾーンは6800rpmからで、シフトアップタイミングも6800rpmでした。
それでも、試乗後半では、ほぼ7000rpmまで回っているようでした。
2000rpmを過ぎた辺りから実用的なトルクは備わっていて、4000rpmからターボがドッカンと効き始める感じがあります。
3.2Qのレッドゾーンの始まりが6500rpmなのに対して、300rpmほどですが、より高回転域まで回せるようになった分、パワーバンドも広くなって扱いやすくなっており、明らかに速くなっています。
ただ、中間的な発進加速を得ようとすると、アクセルのセッティングと、ターボが効き始めたときに、それによってシフトアップポイントが高回転域にずれる感じがあって、アクセルワークはかなりセンシティブで、慣れが必要に感じました。
3速7000rpmでシフトアップするとき、125キロ前後出ています。
平坦な道路では、4速にシフトアップしても十分な加速は得られますが、ターンパイクのような坂道だと3.2Q同様飽和に近い状態になってしまいます。
それでも3.2Qよりはトップスピードで20キロは速く走ってくれていました。
あと、3.2Qでは、5000rpmを少し下回った回転域からのシフトダウンが、AT,MTのモードに係わらず行なえません。
シフトダウンしてもレッドゾーンには入らない回転域のはずなのですが、たとえシフトダウンしてもレブまでの間隔が十分にとれないため、再びシフトアップすることになることを回避するための保護だと思いますが、この回転域で結構もたついてしまうのですが、TTSの場合、レブまでの余裕が3.2Qよりあるためか、6000rpm辺りにシフトダウンしてくれるタイミングがありました。
また、マニュアルでのシフトダウン時、シフトダウンできるほど十分に回転が落ちていないとき、シフトダウン操作がキャンセルされますが、TTSの場合、0.数秒くらいのごく短い時間ですが、遅れてシフトダウンする場合があるようです。
ごく短い時間の間だけ、シフトダウン操作を記憶しているのかもしれません。
【マグネティックライド】
試乗車の走行距離は1700キロを越えたくらいで、私の08Y3.2Qの場合、まだまだ固さが残る走行距離なのですが、予想に反してしっかりと路面のノイズを吸収してくれています。
MRをスポーツモードにしても、08Y3.2Qのノーマル時よりも路面からのつきあげも少なく、08Y3.2Qでは○60キロを越えるような走行ではOFFにしないと危険さえ感じる状態なのに対して、ONのままで全スピード領域走れます。
ON/OFFによる差分は08Y3.2Qと比べると、随分と少なくなっているように感じましたが、ワインディングを攻める場面では、明らかにMRがロールを抑えているのが判ります。
社内資料によると、MRに対しては、サスペンションマウントの改良や軽量なアルミパーツの使用、10mmの低重心化が行なわれていると記述されています。
マグネティックライドの憂鬱でも記述している、東名秦野を過ぎてからのコーナー最中でのサチりについては随分と改善されています。
今回の試乗では、08Y3.2Qの挙動が頭の片隅にあるので、おっかなびっくりで走っていることもあって、現象が出るまで攻めきれなかっただけかもしれません。
MRについては、下りのコーナー侵入前にかなり強めのブレーキングをしているときに、路面に凹凸があると、MR非装着車以上に制動距離が伸びてしまうように感じました。これについては、ブレーキの能力不足も一因だと思います。
いずれにしても、ようやくMRの装着のプラスの効果が出せるまでに進化したようです。
09Y3.2QのMRがTTS同様に改善されているか試乗して確認してみたいところです。
【4WD】
何人かのブログでも取り上げられていますが、TTSより、第4世代のハルデックスが装着されています。
基本は90:10でFFに近い状態と言われていますが、試乗した感じ、FFらしさは微塵も感じることはなく、純粋なQuattroと全く遜色は感じられませんでした。
多分、90:10の配分状態は、かなりおとなしく走っているときだけで、いわゆるスポーツしているときは、50:50を中心に変動しているのでしょう。
3.2Qの4WDが、ESPが作動すると4WDに移行するような、”遅ればせながら4WD”なのに対して、"いつでも4WD"の、本来の4WDらしさがようやく備わった感じです。
因みに、東名の青葉~御殿場間の08Y3.2Qの区間タイムをあっさりと3分ほど短縮していました。
平均速度で17キロの差になります。
08Y3.2Qがあまりに遅すぎた、ともいえないでもないですが。。。
パワーの増加も要因の一部ではありますが、トップスピードは同程度で走っていますので、MRの改善と第4世代のハルデックスによって、高速コーナーでの安定性が格段に上がったことが大きいです。
08Y3.2Qでは、”なんでこんなスピードで挙動をみだし始めるの?”といった、おっかなさが常にありましたが、ようやくTTSで本来あるべき安定感ある走りを得られるようになった感じです。
スタイルが優先して走りが二の次になっていたのが、ようやくスポーツカーと呼んでも恥ずかしくないところまできた感じです。
低中速域のワインディングでも、非常にホールディングがいいです。
試しにコーナーの立上りで、少し早めにアクセルをベタ踏みしてみましたが、前後のタイヤが同等に軽く鳴いて、ESPがパワーを落としきることなく適度に作動して、若干膨らみながらハンドルの方向にしっかりと加速しながらトレースしてくれていました。
このときは、50:50に近い配分で駆動しているものと思います。
あと、上りで5000から7000rpmのフル加速途中に、後ろのシート付近全体から、”シャー”という音が聞こえてくることがありました。
最初はターボの排気音かな?、とも思ったのですが、トラクションがリアのほうに多目にかかっているときの機械音のようにも思えました。
これについては定かではありません。
【ブレーキ】
ブレーキのロータについては、08Y3.2Qと同等程度だと思います。
社内資料によると、プレーキパッドがTTS専用に開発されているようですが、下りでのフルブレーキングでは制動不足を強く感じてしまいます。
ボクスターやケイマンと比べると明らかに貧弱です。
増えたパワー分を十分に補いきれるだけの能力をもったブレーキを装着して欲しいところです。
【ハザード】
試乗中、100キロを越える速度差の、結構ハードなブレーキを2回していますが、ハザードの点滅はありませんでした。08Y3.2Qだと、確実に点滅するブレーキングなんですが。。。
推測ですが、ESPのアップグレードにより、ハザードの点滅から、ブレーキランプの点滅に変更されて、ドライバーには認識できないようになったのかもしれません。
【まとめ】
パワー、トルクとも、3.2Qから10%に満たない増加ですが、パワーバンドが広くなった分、乗りやすく、確実に速くなっています。
MRも3.2Qとは全く別物で、走りやすくなっています。
4WDも全く別物で、不満はありません。
0-100km/hが5.2sec。CaymanS-MTが5.4secなので、この数値だけを見るといい勝負をしそうに思えます。
評論家の方々のインプレッションだと、ケイマンには敵わないように記載されています。
試乗した感じ、1~3速で走るようなワインディングでは、意外とケイマンに付いていけそうに思えたのですが。。。
100キロ近く軽いケイマンは、コーナリング中ではアドバンテージありますが、コーナー立上りでTTSは4WDによって早めのアクセル操作と、DSGの変速、加速で補ってくれそうに思えました。
ただ、4速以上では置いていかれそう。
機会があれば試してみたいですね。(^^;
TTSは、3.2Qより90万円のアップの675万円。
オプションの差としては、20万のMRと10万のクルーズドコントロールが標準装備。
オプションの金額を差し引くと60万円の差額です。
22PSのパワーアップだけだと割高の感じがしますが、MRや第4世代のハルデックスの出来を考えるとうなずけるものがあります。
しかしながら、あと100万だせばGT-Rが買えてしまいますから、微妙なところですよね。

大観山にて。
前からの一枚。
まだ朝日が昇っていません。
車も一台もいません。

後ろから。

今回の車両は標準のアルカンタラシート。

いつもの箱根湯本の岡田屋で朝風呂。

3.2QとTTS。
駐車スペースがご覧の通りの縦列で、通路と兼用。
3台入るのですが、左ハンドル車を置くと、人はジグザクに移動しなければなりません。

メーター周り。
と、さりげなく。