「パリでの惨事 1」から続く
シテ島にそびえるノートルダム大聖堂横にある病院(Hotel Dieu)の救急に到着。
救急隊員に病院の移動用ベッドに寝かされ、お礼を言って別れを告げ、頭と顔面の激痛、吐き気に耐えながら、病院の廊下で待つこと一時間。
やっと自分の番が回ってきたようだ。看護婦さんに指先から血液を採取される。
看護婦:「ちくっとするわよ」
MUSS:「痛っ」
看護婦:「男性は皆こうね。痛い痛いって何の役にも立たないわ。で、どうしたの?」
MUSS:「救急隊員の方々から聞かれたと思いますが、夕食を取ろうとしたところ気分が急に悪くなって・・・(説明)」
看護婦:「分かったわ、またしばらく待ってください。」
また廊下のベッドで待つこと30分程度。
看護師A:「おい、これ誰だ!?」
看護師B:「頭蓋外傷性傷害だよ。検査してやって。」
看護師C:「MUSSさん、病院へようこそ。今から脳に何らかの影響があるか検査します。」
小さな部屋に移され体中にセンサーを付けられるようです。
そして測定中に隣室から聞こえてくるのは、
女性患者:「絶対にここからは出て行かないわよ! 絶対にーっ!!!」
ガラガラガッシャン! 女性患者が暴れているようです。
看護師らしき人々:「こういうのは慣れているね。仕事の一部だよ。」
といった叫び声や話し声等。
しばらくすると、ずいぶん若くて美しい女性が傍らに立っていました。
その女性の話しぶり、話す内容から経験は浅いけども看護婦ではなく医者だと思ってしまいました。
ですので、今までの病気・生活習慣等について聞かれる中、学生時代から胃腸が弱かったことについて、
MUSS:「学生の頃から昼食後夕刻にかけて、お腹がよく張るんです。ガスが溜まっているようで。なんていうのでしょうか、つまり「おなら」がよくでるのです。」恥ずかしいなんて言っているいられる場合ではありませんでしたので。
某女性:「そうですか」メモを取っている風。
するとインド系の別なチャーミングな看護婦が入ってきて、
看護婦:「じゃMUSSさん、今から瞼の傷を縫いましょう。一針かな、二針かな?」
MUSS:「一針でやめてください」
看護婦:「普通この程度の傷なら、私は三から四針はしちゃうけど、ま、今回は一針でやめておきましょうかしら。今回は私の同僚に縫ってもらうわ。ジュリエット(だったかな?)、手術手袋したことある?」
其女性(ジュリエット?):「良く覚えてないの」
MUSS:(うわっ、彼女、医者どころか、手袋のはめ方すら知らないじゃねぇーか!)
看護婦が其女性に手袋のはめ方を教示している模様。
手術準備も整ったようで、顔に目の部分だけ穴の開いた布をかぶせられます。
看護婦:「ここに針を当てて。そうそう。」
其女性:「これでいい?」
看護婦:「もっとこうやって」
MUSS:「あの・・・、大丈夫ですか・・・?」
看護婦:「心配されないでください。私の同僚が今すばらしい(料理の)コース(”Super Menu”:今の若い女性の言い回し)をしていますので。」
しかし、まだ手術は続くようです。
其女性:「こう?」
看護婦:「ま、そうね。次は結び目を作って。覚えている?」
其女性:「・・・」
MUSS:(・・・)
あれこれあって、手術も無事終えた(後残らないかな?)頃、別の女性が入って来ました。美人だけでもちょっときつそうな雰囲気(結局最後に出てきたこの方が医者)。
医者:「検査の結果を見ました。典型的頭蓋外傷性傷害のようです。しかし傷害直前に意識を失ったこともなさそうです。ですので大したことないですね。」
MUSS:「意識を失わなかったって、エレベーターのドアが開いたことも気づかなかったですよ。しかもですね・・・」
医者:「私がそう判断しました。」
MUSS:「では仕事の復帰は?(フランスでは病欠するには医者の許可書が必要)」
医者:「明日からでも大丈夫でしょう!」
MUSS:「明日って、ちょっと待ってくださいよ。」
その医者は、聞こえなかったふりをして部屋から出て行ってしまいます。
例の其女性及び看護婦が必要書類、薬の処方箋を準備してくれ、後はロビーでタクシーを待つしかありません。
タクシーを座って待つ間、目にしたのは、両腕及び両足を鎖でつながれ、両脇を警察官に挟まれて出て行った男性。午前1時半。
たのんだタクシーが到着したようです。
タクシー女性運転手:「大丈夫?若者さん。」
MUSS:「いまいち」
タクシー女性運転手:「そう、しかたないわね。」
口数少ないものの、親しみが伝わってくる感じがした。
「パリでの惨事 3」に続く。
写真は、連日世界中の観光客で賑わう、セーヌ川のシテ等にそびえるノートルダム大聖堂。
その横にある病院Hotel Dieuでは、皆の知ることのない、いろんなドラマが毎日渦巻いているのでしょう。
Posted at 2009/03/05 19:14:37 | |
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