7月24日に北部九州もようやく梅雨が明けました。
まだ湿度が高く、明け方前には分厚い雲で空が覆われて、日が昇ってから
晴れ間が見え始めるという天気が続いています。
8月1日が新月ですので、今の時期が星雲などの天体を撮るのには適しています。
ここ2回の星撮りブログは月や惑星の撮影ばかりでしたが、ようやく星雲を
ターゲットにできるようになりました。
梅雨明け翌日の25日は、雲が出ていて北の山の上は隠れていましたが、
南の空は晴れ間が見えて、木星が輝いていました。
まずは、これまで雲に邪魔されていて良い写真が撮れなかった木星から撮り
始めます。
小型CMOSカメラを取り付け、10000フレームの動画にして、前のブログで
紹介したワークフローに従って画像処理します。
良い方の3000フレームほどを使って合成しました。
大赤斑が隠れているのは残念ですが、前回より表面の細かい模様が写っています。
次に、同じ機材で土星を導入します。
同じように10000フレーム撮って3000フレームを合成しました。
前回より、画像がシャープです。やはり、高倍率だと空のコンディションの影響が大きいですね。
2つの惑星を撮影した後、エクステンダーや拡大レンズをレデューサーに入れ替えて、焦点距離を635mm (F5.3)と
短くして、カメラをD810に付け替えます。
2つの惑星より東の方角、白鳥座の方に望遠鏡を向けて、パソコンのソフトでは網状星雲をターゲットに設定します。
過去に、450mmの屈折鏡で撮影したことがありますが、この望遠鏡では1枚に収まらないので2枚のモザイク撮影をします。
この星雲は天の川の星がたくさん見える領域にあるので、周りの星が邪魔です。
そこで透過する波長域が狭いフィルタを付け、さらに対象を大きく撮ることで星の大きさを相対的に小さくします。
そのためのモザイク撮影です。
この夜はタイトル画像の西側の部分を中央に入れて、ISO800、SS=360で50枚をセットしましたが、3時頃から曇ってきて
40枚で終了。
残りの東側は雲が少ない夜に恵まれずに28日の撮影となりました。
同じ露出設定で、こちらも完走前に曇ってきましたが50枚は撮れたので良しとします。
それぞれを合成した後、貼り合わせてずれた部分をトリミングして出来上がった画像です。
流石に解像度が高く、細かい網目が写っています。
この星雲ははくちょう座のハクチョウの羽の部分にあり、太陽系から1500光年前後の距離があります。
太陽の20倍程度の星が8000年前に超新星爆発をした時の残骸で、現在でも秒速100kmでガスが広がっています。
この高速で広がっているガスが、網目のような複雑な模様として現れています。
超新星とはこのような太陽より重い星が終末期に爆発する現象ですが、質量によりその様子が違います。
網状星雲のように中心部に重い星を残さない型もあれば、かに星雲のように中心部に中性子星を残すパターンもあります。
さらに重いとブラックホールが残ります。
オリオン座のオリオン大星雲や馬頭星雲を取り囲むバーナード・ループと呼ばれる淡い星雲も網状星雲と同じタイプです。
中心部に重い星を残しませんが、水素ガスなどの星の原材料を残して、星が生まれ出る領域を作ります。それがオリオン大星雲です。
太陽も超新星爆発を起こした後にできた天体で、私たちの太陽系の存在がその証拠になっています。
ビッグバンの後には水素とヘリウム、ごくわずかなリチウムしか元素は存在しませんでしたが、星の中の核融合で鉄までの元素が
合成されます。鉄より重く中性子が過剰な元素は、超新星爆発でしか生成できないので、地球にウランなどの重い元素が
存在することが、超新星爆発があったことの証拠となります。
つまり、私たちは燃えかすからできているのです。
地球上で生物が生まれて文明が発達するには多様な元素が必要だったので、燃えかすであることが重要だったのです。
生命が生まれて文明が発達するまで何億年とかかるので、超新星爆発の後に太陽のような超寿命の恒星ができて、その周りに
地球のような適温・適圧の惑星ができたことが人類が生まれ発展したことには不可欠でした。
かなり脱線しましたが、超新星残骸を見ると、太陽系、そして地球が余りにも恵まれていることの偶然をいつも感じます。
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Posted at
2019/07/30 21:32:38