1月下旬の新月の前後は雨が多い天気で天体撮影ができないまま、2月2日の
上弦の月を迎えました。
その日は山歩き、前日はサイクリングとずっと外にいましたが、両日とも
スッキリ晴れない雲が多い天気でした。
月も明るいし天候もそんな調子なので出動する気になれず、自宅のドーム
で月の反対側、北側の空にある銀河を撮ることにしました。
今の太陽が低い時期は月は高くなり、正中するときは天頂近くにまで
昇ります。
2月2日の夜は、まず上弦の月から撮ることにしました。
屈折鏡にエクステンダーを付けて焦点距離1350mmにして、APS-Cサイズのセンサーがついたカメラを使いました。
80枚撮って合成していますので、ノイズは無くて滑らかですが、今ひとつシャープさに欠けますね。
その夜と翌晩の二日かけて、北の空の銀河、おおぐま座にあるボーデの銀河を撮りました。
月を撮った屈折鏡にエクステンダーの代わりにフラットナを付けて、月明かりを抑えるためにフィルタ(LPS-V4)も入れました。
二晩とも途中で雲がかかって中断しましたが、トータル80枚を合成しました。
太陽系から約1200万光年離れていて、アンドロメダ銀河やさんかく座銀河(M33)よりは遠いですが、春の銀河の代表格の
M51、M101、M106などの5000万光年ほど離れた銀河よりはかなり近い天体です。
右の綺麗な渦巻銀河がM81、左の細い銀河がM82で互いの距離は15万光年しかありません。天の川銀河の最もご近所さんが
アンドロメダ銀河で230万光年ほど離れているのから比べると、1/20くらいの距離しかないため、M82はM81の重力の
影響を受けて中心部から赤い水素ガスを噴出しています。電離した水素から成る星間ガスが圧縮されて星が急速に
形成されているために「スターバースト」と呼ばれる現象が起こっていて、そのガスが吹き出す様子です。
翌日の4日の晩は、そのスターバーストの様子がもう少し分かるように、焦点距離2000mmの反射鏡に0.75倍のレデューサ
を入れて焦点距離1500mm(F6)として同じカメラとフィルタでM82を撮りました。
この夜はさらに天気が悪く、何度か中断してトータルで40枚しか使えませんでした。
赤いガスが噴き出しているのが分かりますでしょうか?
さらに5日も晴れていたので、同じ機材で春の銀河であるM106かM51辺りを狙ったのですが、まだ21時頃は高度が低く、
低空の霞に隠れていたので、ボーデの銀河のM81の方をアップで撮ることに。
この時は1度の中断で56枚撮ることができました。
この前夜も何度か中断したようなので、どんなものかと観測室の床に小さな三脚を置いてGoPro Hero 7を使って
撮影の様子は最初から最後までタイムラプスで撮ることにしました。
トータルで8時間強の様子を2分ほどの動画にしました。
実際には暗くて懐中電灯がないと作業ができませんが、中の様子が写るようにSS=20sで撮っています。
ちょうど中間の1分くらいで対象が子午線越えをしたので、赤道儀が反転します。
その後にスリットの外を雲が流れるのが写っていて、この前後で撮影を中断していました。(ガイド星をロストすると
ソフトが中断し、5分おきにリトライして90分続けて失敗すると終わる設定です。)
スリットから射し込む月灯りが移動する様子もわかります。
赤道儀を使う天体の追尾撮影に興味のある方に、普段どのように撮影しているのか伝われば幸いです。
車で移動する時は、これらの機材の準備と撤収があり、途中で風や雲が出るとオートガイドの設定を変えたりします。
就寝中にこの動画の作業をしてくれるので随分楽になりました。
これから春の銀河のシーズンで長焦点の鏡筒を使いたいので、クリアな星空で撮影したいですね。
Posted at 2020/02/07 21:46:15 | |
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