先月末以来の久々の星撮りブログです。
6月3日が新月で、その前後1週間が天体撮影の好機なのですが、曇りや
雨の夜が多く、前半はホタル撮影で【地上の星】ばかりを撮っていました。
天気が安定して晴れていれば出動して天の川でも撮るつもりでしたが、天気に
恵まれないまま10日の上弦の月を迎えることになりました。
タイトル画像はその上弦の月を撮ったものです。
ドームから焦点距離2000mmの反射鏡にD850で撮りました。
6月に入ってからホタル撮りが終わって天候が悪い夜に、久しぶりにその
反射鏡をバラして、主鏡と副鏡を掃除しました。その様子を写真で撮るの
を忘れたのですが、六角レンチとドライバーで分解できる単純な構造を
しています。ホコリをブロワで吹いて、その後、カメラのイメージセンサー
の清掃で使うシルボン紙と無水アルコールで拭き上げます。
組み立てた後に光軸調整をします。
調整用のレーザーを使って大凡合わせておいて、赤道儀に載せて明るい星を導入し、
カメラのライブビューを見ながら微調整します。
星を画面中央付近にしておいて、ピントを外して星像がドーナツ状になるようにします。中心の黒い部分は副鏡の影です。
下の写真の1段目が微調整前で綺麗な同心円になっていません。主鏡の傾きをネジで調整して3段目くらいに調整します。
その次に、星を画像の隅に置いて、副鏡の傾きを調整し同心円になるようにします。
この夜は風が強くシーイングが悪くて、像が揺れて追い込むのに難儀しましたが、この程度であれば画像全体で星像が
丸くなります。
その調整後に月を80枚撮りました。像がユラユラしていて1枚だとシャープでないので、80枚撮って合成しました。
よくよく見ると、月面X、V、Lが写っています。わかりますか?
分からない時は、
去年11月のブログをご覧ください。そちらに種明かしがあります。
月を撮るには時間がかからないので、この後、カメラをD5300に付け替えて撮影用のソフトを起動し東の空で輝いていたベガの
近く(こと座)のリング星雲(M57)を導入します。
月明かりの下で、今回初めて使うバンド幅が狭いフィルタ(IDAS NB1)のテストを兼ねて、ターゲットを鮮やかな星雲にしました。
鏡筒は焦点距離2000mm、F8で、フィルタを使うのでISO800、SS=420sにして50枚セットしましたが、途中で曇って39枚で終了。
この星雲は「惑星状星雲」に分類されるもので、太陽程度の質量の恒星の終末期の様子です。
恒星は核融合を燃料としていて、それによる圧力(高温の電離ガスの圧力)と重力が釣り合って星の形を保っています。
燃料が尽きかけるとこのバランスが崩れて、周りのガスを吹き飛ばし、芯に原子がギュッと詰まった白色矮星が残ります。
その周りに広がったガスが惑星状星雲を形成しています。太陽も最後はこのような星雲と白色矮星になると考えられています。
写真の出来としては、画面の隅でも星像が丸くなっていることと、フィルタの効果で月明かりと街の光害が抑えられていて、
良い感じです。薄雲がかかっていたので明るい星と星雲が少し滲んでいるのが惜しいです。
この夜は空がそれほどクリアではなかったし、一杯引っ掛けながら撮影しようと思っていたので出動せずに玄関先に
小型赤道儀を設置しました。200mmレンズにD810Aを付けて電線の上に昇ってきたアンタレス周辺を狙います。
時間が経つとお隣の杉の木にかかるので、2時間ほどしか撮影できませんが、アンタレスの横の球状星団M4や色とりどりの
ガスが写せました。
こちらは光害の少ない山中で撮り直したいと思います。
翌日の11日も風が強く山には雲がかかっていましたが、前日よりは空がクリアな感じでした。
3月から銀河を撮るために長焦点の反射鏡を使ってきましたが、この時は長い屈折鏡にしました。さらに1.5倍エクステンダーを付けて、
焦点距離1350mm(F11.25)にします。光害カットフィルタを付けたマウントアダプタにD850を付けて比較的明るい天体に向けます。
ヘルクレス座の球状星団(M13)です。
この星団は北天最大の球状星団で、中心部が大変明るいので、ISO400にして、SS=30sと60sを各10枚ずつ、
360sを40枚撮りました。4時間以上の撮影なので、パソコンに任せて就寝しました。撮影終了まで雲が広がることなく
久しぶりに完走できました。
中心部が白トビしないようにHDR合成しました。
このM13や上のアンタレスの横のM4の球状星団は、1億から10億のオーダーの数の古い星からできていて、天の川銀河の外周を
公転しています。(因みに天の川銀河のような銀河は1000億から1兆のオーダーの星の数です。)
アマチュアが望遠鏡で撮影できる星雲や星団は大抵、銀河面内かそれに近いところにあり、銀河が形成される時かその後に
生まれたと考えられますが、球状星団は銀河の近くにあった別の小さな銀河が大きな銀河の重力で星が剥がされ、残った星が
凝集してあの形になったという説があります。
12日以降は月も明るくなり、曇り空でしたので撮影を諦めて画像処理をしていました。
13日も帰宅時は曇っていましたが、夜半前に晴れ間が現れて木星が見えたので、急遽カメラを惑星撮影用のCMOS
カメラに変えて、4倍拡大レンズを入れて木星を動画撮影しました。1.5倍エクステンダーも使っていたので
焦点距離は900mmの6倍、5400mm相当でカメラのセンサーも小さいのでかなりの拡大率になります。
30,000フレームを撮る間、下の部屋で一杯やっていました。30fpsとしても1000秒、つまり17分はかかります。
ソフトでベターな15,000フレームを選択して合成しました。
週明けの満月以降しばらくは星雲などの撮影はお休みで(晴れれば木星は撮るかも)、次回の本格的な撮影は
7月の梅雨明けの後になりそうです。気温も高くなるので涼しい山の中で撮影したいですね。