今夜は新月というのに、こちらでは雨が降っています。
ここ2ヶ月では新月期に天候が優れず、月が明るい時にフィルタを使って
撮影することが続いています。
前回の星撮りブログは、月が明るい時にHαという赤い光を透過するフィルタ
を用いたために赤い星雲ばかりでしたが、今回は20日の下弦の月以降に
撮った写真をご紹介します。
タイトル画像は21日の夜に自宅からケフェウス座辺りを135mmレンズを
付けたD810Aで撮影しているところを、背後から25mmレンズ+D850で
撮った1ショットです。
この週の後半から今週にかけて、今の時期としては気温と湿度が高い日が
続いていて、夜間は1時間もすると機材がびしょ濡れになります。
レンズを拭くために中断を入れて、ISO800、F2.8、SS=360sで20枚撮りました。
前に撮ったガーネットスターと象の鼻星雲が左の方に入っています。
この夜とその前夜は二日かけてすばる(プレアデス星団)を撮りました。
短い屈折鏡(焦点距離450mm)とAPS-Cサイズの冷却CMOSカメラを使いました。
SS=420sで70枚ほど撮れたので露光時間は十分で、明るい星が纏う星雲と背景のガスも写りました。
「すばる」は今の時期は北東の空に肉眼でも見えるので誰でも知っている星団ですね。
車好きはもちろん、私たちの世代は「昴」という歌も耳に馴染んでいます。
この星団は太陽系から443光年という比較的近い距離にある若く明るい星の集団で、その星々にガスが照らされる
反射星雲で囲まれています。上の画像に天体のカタログ名を入れてみます。
Alcyone(アルキオネ、アルシオーネ)はスバリストならご存知のフラット6エンジンの車名に使われていますね。
IC349はMeropeを囲んでいる反射星雲、それを含む広い領域は「メローペ星雲」NGC1435です。
上の図には載っていませんが、Maiaを囲む反射星雲は「マイア星雲」NGC1432と呼ばれています。
次は22日と23日の連夜の撮影で、2年ぶりに「かに星雲」を撮影しました。
位置はおうし座で、今の時期は19時過ぎに東北東の空から昇り、ほぼ一晩中観測できます。
太陽系から6500光年の距離にある超新星残骸で、メシエ・カタログのM1で1番目になるほど、比較的明るい星雲です。
かに星雲を生み出した超新星爆発は1054年に地球で観測され、世界中のあちこちに記録が残されています。
藤原定家の「明月記」がその1つですね。昼間でも見えるほどの明るさだったそうです。
撮影は22日の20時頃から始めたのですが、日付が変わった1時頃に酷い夜露にドームの雨センサーが反応し、
途中で終了していました。それで翌日はセンサーの回路を遮断して撮影を始めました。
久しぶりに使う長焦点の反射鏡(RC鏡筒)に0.75倍のレデューサを付けて焦点距離1500mm、F6として、APS-Cセンサー
のカメラでSS=420sで、トータル100枚ほどを撮りました。
ただ、コンディションが悪く、オートガイドが不調で赤経方向に星が流れてしまい、まともな60枚を合成しました。
超新星残骸に見られる赤いフィラメントに囲まれたコンパクトな星雲です。
35mm換算で焦点距離2250mmの画角でこの大きさなです。
この星雲の中心には超新星爆発で作られた中性子星があり、現在も強いX線を放射しているパルサーと呼ばれる天体です。
超新星残骸と言えば、7月に撮った網状星雲もですが、それは芯が残らず吹き飛んだケースになります。
また、オリオン座のバーナード・ループもそうなのですが、こちらは芯にオリオン大星雲のような活動的に星を生み出す
領域ができました。太陽系もこのパターンであると考えられています。
かに星雲は6500光年で今から1000年近く前に光が届いたので、実際の爆発は7500年ほど前です。
ベテルギウスはその1/10ほどの距離しかないし、太陽質量の11倍の重さなので、超新星爆発をすることは確実で、
その後、芯に中性子星が残ると考えられています。
もしかしたら既に爆発しているかもしれませんね。生きているうちに肉眼で見たいものです。