2006年10月23日
鈴鹿でのエンジンブロー、そしてブラジル最終予選の燃料系トラブル。
神はなんと言う試練を与えるのだろう。
さすがのシューミも諦めムードなコメントを残していた。
だが、彼にはクォリファイのファステストラップという勝算も残されていた。
本戦…
皇帝、そしてターミネーターと呼ばれた男の走りには何のためらいも感じなかった。
皇帝のアクセルという鞭に何度も愛馬が悲鳴をあげ、挙動を乱しても尚怯むことなく
皇帝は攻め続ける。
序盤…
愛馬のタイヤバーストにより、よろよろとピットへ向かう。
「終った・・・」誰もがそう思ったに違いない。
これにより、トップの戦友マッサに約70秒と言うほぼ周回遅れまで落ち込んだ。
だが、ここで皇帝は戦士へと変身を遂げた。
これがまさに怒涛の追い上げというにふさわしい走りを展開するきっかけとなった。
次々と前車をパスしていく。
まるでトップが周回遅れをパスするかのような澱みのない全盛の抜きっぷり。
フィジコに対し心理作戦でブレーキミスを誘発させる。あのシューミらしい技。
そして…
約60秒差の4位を走行していたフライングフィン(ラリーではないが)、
ライコネンを皇帝の正に「ブレー キ・ン・グ」でとどめを刺す。
「この赤い馬はキングの為にある。お前もキングになれ」
そうライコネンに諭すようにノーズをネジ入れる。
ライコネンも従うかの様に一車身ラインを開け、フェアな戦いを見せる。
愛馬の命のある限りあきらめない。闘志がヒシヒシと伝わる。
そして、上位3台と一瞬同じ画面に映った…
しかし…
もう、表彰台にはその姿はなかった。
決して引退を驕らず、周りの人間に感謝の念を表し静かに幕を下ろしたようだ。
だが、決勝時上位12回のファステストラップを記録していた。
それは皇帝の最後の意志表示であった。
赤き皇帝は、最後まで炎の戦士であり続け、伝説と化し去っていった・・・。
引退?いったい誰の為だったのであろう。
しかし、世代交代は確実に行われた。
今回の表彰台は正に未来予想図であった。
シューミにはこれからも何らかの形でモータースポーツに関わっていて欲しい。
下手な監督にはならないことを祈る。
Posted at 2006/10/25 21:41:41 |
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モータースポーツ | 日記