2014年07月17日
なぜ、F-15は負けたのか
米空軍と航空自衛隊との日米共同訓練に於いて、空自F-104Jが米空軍F-15Aに対し「キルコール」されたのは世界的に有名な話。
そのF-104Jのエレメントリーダーだったのが、故ロック岩崎氏。では、なぜF-104JがF-15Aに勝ったのか。ある文献に書いていたことで、ある程度分かった気がします。
ドッグファイト(空中戦)に於いてのF-15Aの有利さは誰もが承知の通り。余剰推力を当初から設計段階に取り入れ、格闘戦におけるBWR、BVR戦闘においてのタクティクスはヴェトナム戦争時の教訓を生かし、当時は敵機は居ないとまで言われた戦闘機でした。
そのF-15Aに対しロック岩崎氏が操縦するF-104Jはどうしたらドッグファイト時に有利に持って行けるかを考えた結果が映像にもあった「ハイ・ヨーヨー」という戦法。これはWWⅡから生み出された戦法ですが、文献によると岩崎氏が操縦するF-104J編隊は低空から空域に侵攻し、F-15Aをビジュアルインサイト。そしてF-104J得意のズームアップ上昇でインメルマンターン(上昇反転)に入り、そこから1/3捻って「頭上の敵機」の如く、F-15Aの後方上方から突入し一気にF-15Aをキルコール。
この戦法は一回しか使えなかったと思いますが、当時のF-15AのレーダーはAN/APG-63でしたが、ルックダウンがちょっと苦手。そこを睨んだ岩崎氏は低空から侵攻し、F-15Aのレーダーに映らない事を知っていたかと思います。今ではF-15CになるとAN/APG-63レーダーはPSP(プログラムシグナルプロセッサー)が追加され、ルックダウンに於いても捜索可能となりました。
それにF-104Jは機体投影面積が小さいし、RCS(レーダー反射断面積)も小さいのでF-15Aのレーダーに反映されなかったと推測されます。また、ハイヨーヨーで突入したF-104JにはF-15A搭載のRWR(レーダー警戒装置)も反応できなかったと思われます。これは推測ですが当時のF-15AのRWRの覆域角度が狭かったかと思います。
ただ、この時は2VS2でしたので、この戦法が出来た訳ですが、これがF-15AにAWACSがサポートしていれば、結果はF-15Aが圧倒的有利になっていたと思います。
現代戦はネットワークの構築がカギとまで言われる時代です。いかにハードウェアやデバイス等が充実し有利であっても、それらをサポートする体制が構築が出来て居ないと意味はありません。
LINK16やJTIDSというネットワーク構築システムはこれからのスタンダードになるかと思います。
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Posted at
2014/07/17 21:59:31
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