2018年02月12日
ジェットエンジン「ドカーン」
今は退役したロッキードマーティンSR-71ブラックバード戦略偵察機
この映像は多分、米本土にあるビール空軍基地だと思われます。ただし、ビール空軍基地はSR-71のパイロット訓練基地でしたので、実質の偵察行動はイギリス・ミルデンホール空軍基地に日本の嘉手納空軍基地でした。その中でミッション占有率は嘉手納空軍基地が圧倒だったようです。
そのSR-71戦略偵察機がマック3.2を維持する為にはジェットエンジンがそれに対応する事が重要。そこでPW社J58が選ばれたというよりは、それしかなかったと言って良いでしょう。そのJ58エンジンは当初はラムジェット型エンジンと推測されましたが、実際はターボファンエンジンに近いターボジェットエンジンと言えるかと思います。そのJ58エンジンスタートですが、なぜ映像のような「ドカーン」となるかと言うと、通常のジェット燃料に比べ60℃という高い引火点を持つJP-7を使用し、そのため、始動時およびアフターバーナー点火時には点火剤としてトリエチルボラン 化合する必要があったわけです。これはJP-7の引火点が60℃を考えれば、ちょっとやそっとじゃ引火しない燃料ですので、敢えてトリエチルボランを化合する必要があったわけです。また、高圧縮した空気で無いとダメだったようです。冒頭の映像で機体から燃料がポタポタと落ちていましたが、それが正常なんです。
SR-71はマック3.2で飛行するため、機体全体が高温となるので、熱により機体形状が歪むからです。つまり、常温ではインテグラルタンクに隙間が出来て燃料が漏れ、これが飛行中だと熱でインテグラルタンクの隙間が無くなるから燃料が漏れないという訳です。
それに空中給油機はKC-135QというSR-71専用タンカーがあるくらいでしたから、ミッションでは二機のKC-135Qが必要だったようです。
未だに謎が多いSR-71ですが、これを設計した、ロッキードスカンクワークスチームであるケリー・ジョンソンは天才だと思います。鬼才と言われる由縁がありますね。
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Posted at
2018/02/13 00:15:55
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