
愛車レビューに書けよ…って思われそうですが…
あの枠に収めようとすると、レビューが物凄く難しい車なのです。
『何を基準に評価するか?』で、内容がまるっきり変わるし、かと言ってスポーツカーとして見たとき、乗用車として見たとき…双方とも注意してほしいことがあるので、どちらかを省くのも気が引けます。
…とはいえ?この車を乗用車として検討する方なんて果たして…だと思いますので、今回はざっくりスポーツカー基準でレビューします。
…前置きが長くなりましたが、それくらい独特な世界観を持つ車です。
表現が下手で長文駄文になりますが、まだ在庫車、中古車が狙える状況下、少しでも検討される方の参考になれば幸いです。
初期レビューから少し変わったところもあります。
ちなみにワインディングメインで、サーキットはまだ走っていません。
車レビューの書式に則って書いていきます。
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◎総評
速さと楽しさとロマンの総取りで考えるなら、ピカイチだと思います。
走り系の豪華装備が満載なのですが、『低速で跳ねる』だとか『アンダーが』とか考えずに、ただひたすら運転に没頭できます。
生まれからレースカーベース(S1の話ですが)、造りはアルミ製フレームに複合素材の外板と、名実共にロードゴーイングレーサーです。
◎満足しているところ
S3エキシージは旧NSXと同じく一目惚れした車ですので、デザインを推します。
乗らないときは縮尺して部屋に飾っておきたいぐらい…愛車に対するこの気持ちは分かる方もいらっしゃるはず。
初期レビューではレーシングプロトなんて書きましたが、なんとなく60〜70年代のGTプロトっぽくも見えます。盛り上がった前後フェンダーとか、後端のコーダトロンカ状の処理+ダックテールとか、小ぶりの丸形テールランプとか…
(pinterest、autoc-one、webcg、carsensorより)
◎不満な点
色んな所からの又聞きなのですが、ミッションが弱いとのこと。万が一ブローさせれば3桁万円コース。
ここまで振り切った仕様、それもテクニカルセクションが得意な車なので、ミッションは強くあってほしかったです。
しかし、エンジンと同じくあり物なので仕方ありませんし、専用設計なんかにしたらこの値段で買えないのも理解できます…
幸いにもエンジンはトルクバンド広めなので、長持ちさせるならトルクに頼った運転も必要ですね。
あと、ミッションに関わるところでマウントの硬さ。もともと6気筒は振動少なめですが、ちょっと柔らかい気がします。
車のキャラクターから考えても、マウントが歪んだ状態でのシフト操作っていう観点でも、もっと硬くても良かったのでは?と思います。(ジュラコン製でも大歓迎です…)
◎デザイン
運転前についグルっと、未だに一周歩いて眺めてしまいます。
同じ駐車場のおっちゃんからは『ランボルギーニみたいなもんじゃないの?』と言われ、私よりはライトな車好きの親父からは『エリーゼとの違いがわからん。』と言われ、すなわち一般目線ではエリーゼもランボルギーニも同じに見えるようです(笑)
ただ正直、目立ちたいわけではないのに話しかけられて、ちょいとしんどいこともあります。(ロータスご存知なら全く別ですよ!)
目立ちたくば、中古のフェラーリなりランボルギーニなり買っていますから…
◎走行性能
コーナーはグイグイ曲がるし、いざストレートではグングン加速するし、どんなコースも得意なオールラウンダーだと思います。
『コーナーは速いけど直線が退屈』とか『重くて曲がらないから直線で稼ぐ』なんてことも無く、さらには車重も軽いので、『ヘビー級マシンをハイテク装備でゴリゴリ曲げてタイヤとブレーキが音を上げる』なんてことも無さそうです。
一発のタイムは早く無いようですが、連続周回におけるスタミナはあるんじゃないかなと勝手に思っています。あって欲しいです(笑)
高速道路では、ほんの少しでも舵が入っているとそっちに曲がろうと車線内をちょこまかする感じです。
極端に言えば、JCTのカーブを旋回している時の方が安定している感じさえします。
◎乗り心地
ノーマル状態にして既にチューンドカーなスパルタンさで、なかなか気合が入ります。
マフラーバルブスイッチを後付けしましたが、開けるとすんごい音です。最初はブリッピングで耳が少し痛かったくらい。
あとは硬めのマウントを入れてもうちょい振動があれば、私的には満足です。
イカれてますね(笑)
遮音性の無さゆえ相応の速度感があるので、意図的に飛ばさない限り、知らぬ間に速度超過していたなんてことは起きません。
◎積載性
ヘルメットやレーシングスーツなどのギア類、工具類は十分に載るかと思います。宿泊を伴う遠征なら、数泊分の着替えプラス食料と携行缶もオッケーでしょう。
ルーフがあるので、雨で荷物が濡れる心配もありません。
サンデーレーサー的な使い方をするには優秀だと思います。
◎燃費
いつもランプが点いてからの給油ですが、街乗りで概ね9〜11km/hと、なかなか良いです。
ただタンク容量が40Lなので、航続距離の面では少々辛いです。意外と、あっという間に無くなります。
スポーツカーで燃費が良いと、それだけ同じお金で走る時間を長く楽しむことができるので、私は大事なことだと思います。
◎価格
ある程度の品質を持ち、アフターサービスが受けられるナンバー付きレーシングカーを買うと考えれば、良い選択だったと思います。
初期レビューの通り、安くて速い車はあとから作れますが、エキシージは元から仕上がっているので、弄ってバランスがおかしくなり、沼にハマるってこともありません。
そもそもモノコック構造には真似できないメリットが詰まっており、数ある不便さは漏れなく走りに効く構造に繋がっています。
◎故障経験
納車ちょうど一年でエンジンチェックランプが点灯し、その日のうちに消灯。
多分、あるある事例のO2センサー系です。
乗り方次第で避けられるようなので、ロータス初心者の私がまだまだ勉強中。
低負荷と高負荷のメリハリを付けていましたが、どちらかといえば3〜4000rpmの中回転を積極的に使ったほうがいいのかも?
またランプが付けば、備忘録的にブログ書きます。
その他、細かいパーツの外れやタンク類からの液漏れは要注意なので、せめて月一くらいで確認してあげたほうがいいと思います。
〜番外編〜
◎注意点
いくら趣味車とはいえ、ロードカーである以上注意してほしいことも…
エンジン始動時の空ぶかしが超爆音です。マフラーバルブは負圧式かつ常開なので、始動直後は開いています。
実は納車日に初めて自分でエンジンをかけまして、その時になって『え?これ帰れなくね?』と不安になったほど。
営業さんがその後も車の扱いとかを説明してくれていたのですが、全く覚えていません(笑)
ですので、駐車場の理想は三方と上を囲む車庫式。青空駐車なら、民家とある程度離れている、もしくはコンクリート壁等の遮蔽物があるか、最悪、マフラーを民家の方に向けないなど工夫して停める必要があります。
私はご近所さんの理解もあり、青空駐車ながらまだクレームは貰っていませんが…
夜中〜早朝始動は絶対アウトな環境なので、出発時間次第では前もってコインパーキングに移動させておくなどで対応しています。
◎小ネタ
・運転席には運転席側のウインドウスイッチしかなく両側開けたいときに不便かと思いきや、助手席側のスイッチに手が届く。(フルハーネスでは✕)
・助手席アウト側のトランクオープナーにも手が届く。
・助手席側ミラーも頑張れば手が届く。
・サイドシル前側に小物入れがありますが、強めに加速すると中の物が飛び出ます。
・リアハッチ側のトランクロック機構が鋭利かつ剥き出し。スキンヘッドでぶつけると出血すること請け合い。毛髪があってもグリス付着。
・ボディーとリアハッチのチリはヒンジに切りっぱなしのスペーサーを入れて合わせている。素晴らしい(笑)
・車高の低さゆえか、恐らくネコの寝床、兼、厠と化している。やめてくれ。
・後輪前にプロテクションフィルムが貼ってあるのですが、汚れ吸着効果に優れます。洗車しても落ちません。(飛び石の欠け防止には有効です。)
・水溜りの踏み方によっては、ドアの指掛けに泥水が入ります。
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もう少し書きたいことはあるのですが、いくらレビューを書けども話せども、結局乗るのが一番早い部分もあります。
“エリーゼオンライン中学校”さんのS1エリーゼ試乗動画にて『感覚を言語化すると劣化する』『喋る気が起きない』なんて感想があり、私がレビューしにくい車だなと感じていたのはこういうことなのかもと思いました。
https://youtu.be/g4kcOwo0Bz4
改めて、どんな車も先入観偏見なく、かつ簡潔明瞭にインプレできるプロのモータージャーナリストって凄いですね…
この価格帯の車になると案外、『大金払った割には…』なんて話も聞きますが、コイツは違うと思います。
『興味本位じゃなく真剣に欲しい』と思う人のことは裏切りません。
過激なスポーツカーが好きだという方には、ぜひ試してほしい車です。
…ただ、もし試乗されるならば覚悟してください。
…理性がヤラれます(笑)