
今日は休日出勤のついでに、会社の近所にあるテスラモーターズのショールームに行って、あのモデルSに試乗してみました。
まずは、800万円オーバーのクルマなど全く買うあての無いわたしなどでも、なぜテスラは気前よく試乗させるのか、という疑問が湧きます。これは、テスラの電気自動車普及に向けた遠大な計画の一環であると思われます。
現状では電気自動車はどうしても高価になる。それならいっそのこと、超富裕層に乗り回させて電気自動車が庶民の憧れの対象となるように仕向け、同時に庶民にも試乗でその魅力を体験させ「おれもいつかは…」と思わせておく。そして近い将来、こなれた値段で売ることが出来るようになった時、「いつかは」層が飛びつく…といったところでしょうか。さて問題は、電気自動車が果たして「いつかは!」と思わせるような魅力に富んだクルマなのかという点に尽きます。太っ腹なテスラのご好意に甘えて、さっそく試してみましょう。
ショールームのお姉さんに丁寧な説明を受けます。天井は低いですが車内は広々。センターコンソールには13インチの巨大液晶が埋め込まれ、これで走りから窓の開け閉めまで、全てのセッティングをすることが可能です。ただ、今のところナビは無くてグーグルマップ頼みです。これは近い将来アップデートされるそうです。ナビだけでなく、車体の制御までソフトのアップデートで実現するというのがすごいではありませんか。
ATセレクタはステアリングコラム右側の小さなレバーで切り替える方式です。そうです。最近のベンツと全く同じです。ハンドルがちょっとデカいところも何だかベンツっぽいかな。ドラポジも全て電動調整でメモリー機能付き。このへんも最近の高級車と同じですね。さすがに内装の仕上げは綺麗です。
巨大な総アルミボデーの超高額車ということで、「ぶつけたらどうしよう」とかドキドキしながら夜の246に走り出します。当然ながら音はザーッというタイヤノイズだけ。走り出しは下り坂を転がるような不安感を感じますが、踏めばすぐに力強い駆動力が伝わってきます。幅が1.9mオーバー、長さは5m近い巨大車ですが、交差点や小さめのS字の切り返しでも軽快です。
ちょっとした直線で多目に踏んでみました。いやはや、ものすごい加速力。前触れもなく忽然と強力なトルクが現れます。0→100kmは4秒というのも納得です。わたしの表現力ではうまく印象を伝えられません。こればかりは乗ってみてくださいという他ありませんね。とにかく素晴らしいパワーです。
楽しい試乗を終えて、わたしも「いつかは」と思うようになったか、と問われれば、正直言って「いいえ」です。確かに上質で、乗り心地も性能も最高なのですが、スタイルこそアストンのラピードみたいな超高級車なのに、それがラジコンカーみたいなシャシーの上に乗っかっているということで何となく必然性のないものに感じられ、有り難みが失せるのです。また、でっかいタブレットみたいな液晶も、運転中はとても目障りで高級感を損ねるのではと思いました。これまた必然性の乏しい、強いて言えば単なる先進感の誇示としか思えませんでした。
とは言え、こんな言いがかりみたいな難癖が出てくるのも、わたしの無意味な保守性ゆえの拒否反応なのかもしれません。恐らくわたしは、大昔に「すでに馬という便利で素敵な乗り物があるのに、自動車なんて怪しげなものに飛びつくなんて!」とか嘲笑っていたカウボーイみたいな人間なのだろうな、と思いました。
Posted at 2015/01/19 01:28:43 | |
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