カネの話は卑しいか

今日、隣から同僚の話し声が聞こえてきた。「卑しい話で申し訳ないんですけど、この前出願が決まった特許の賞金はいつ振り込まれるんでしょうか？」と特許申請担当者に聞いてるのだった。普通、特許を一本書くと社員には賞金がもらえる。金額は会社によって様々だろうが、大抵は数万円～数10万円くらいを、その内容に応じて受け取ると思う。

自分が驚いたのは「卑しい話で…」と同僚が切り出した部分だ。ちょうど「日本の司法は腐ってる」と言い放った中村教授のノーベル賞受賞が決まったばかりだったから何とタイムリーな内容だろう。もしかしたら、同僚には中村教授のことが頭にあったからこそ、そのように切り出したのかもしれないが。

お金の話を人前では話さないことが美徳という考えが、日本にはあるように思える。「カネ」には何とも生々しい響きを感じる。さらに、研究者のステレオタイプとして「自分の世界に没頭していて他の事には何も関心がない」というのがあるだろうから（実際にそういう人もたくさんいる）、中村教授の場合には余計ギャップがあってああいう親しみを持てないキャラになっているのだろう。

そうは言っても、本当に収益を出せる発明を考えるのはものすごく難しい。一本でも特大ホームランを打った人はスーパーヒーローだ。会社が儲かった分から幾ばくかのカネをもらうのは当然という気持ちも分からないでもない。

（画像出典：http://techon.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20050112/100482/nakamura.jpg）