
ロードスターの記憶があるうちに記しておく(ちょっと長い)。
ジムニーとロードスターは似ている。
極めてパーソナル、用途が高度に限定、豊富なアフターマーケット、幅広い購買層、モデルの息が長い、中古や旧型も人気、改造改悪思いのまま、などなど。
オーナーはひたすら車が好き、純粋に運転が好き、何としても上手になりたい、とい感じで、買うときにはその車に惚れ込み、あまり他の車と迷ったり売るときのことなど考えたりしなかったヒトが多いのではないだろうか。
しかし、見た目はもちろん乗り比べてみるとこれが自動車という同じジャンルの乗り物か、というくらい違う。
ロードスターは、人馬一体を掲げるように、その一体感を重視する。腕の角度=前輪の角度、右足首の角度=スロットル開度、後輪が流れれば尻がズルッと感じる。踏んだ石の硬さまで伝わってくるよう。車の挙動がダイレクトに運転者に伝わり、運転者の意図が車にダイレクトに伝わる。そしてその世界は水平に広がっている。すなわち、加速すれば前、ブレーキで後ろ、コーナーを曲がれば左右。水平面に楽しさが広がり、見上げれば無限の空。これは楽しい。
ジムニーは道を選ばないことを旨とする。圧倒的な走破性が武器だ。ロードスターのような繊細なステアリングインフォメーションを求めてはいけない。強力なキックバックに手を持っていかれるだろう。過敏なスロットルではタイヤのグリップをじわじわと岩に効かせることができない。トラクションの意味すら異なる。そしてその世界は垂直方向に伸びる。すなわち、Z軸の挙動はロードバイカーが初めてモトクロスで飛んだ時のごとく、全く新しい感覚を呼び起こす。視野はロードスターとは違い、高い車高を活かして水平に広がっている。
このように、ロードスターとジムニーは、楽しむ方向が直交しているように感じる。X軸やY軸方向に楽しいロードスター、Z軸方向に楽しいジムニー。逆に視野の広がりはロードスターはZ軸、ジムニーはX、Y軸方向だ。でも、楽しいという一点においてこの2台は全く同じ価値観を持つんだろう。どちらか一方を否定するなんて出来ない。片方だけでは勿体無い。
追記:ロードスターを降りてはや3ヶ月。まさか手を離すとは思ってもいなかったが、これもいい経験と考えている。感触として今でも残っているのはやはり一体感。自分がロードスターという箱根細工の部品のひとつのようにぴったりハマり込んでいる感覚はジムニーではまだ感じられない。手や足が部品と直結しているかのようなダイレクト感もまだまだ得られまい。だけど後悔はない。楽しみの方向が全く違うことを知ったので、そっちの楽しみを追求すればいいのだ。
追記2:ロードスターでよく勘違いされている方を見かけるが、あれは屋根を開けることが出来るクルマではなく、屋根を上げることができるクルマなのだ。屋根がないのが通常の姿で、雨などで一時的に屋根をのせているだけなのだな。
追記3:ジムニーシエラ、特にJB系ならではのことだろうが、操作のすべてが軽い。リアクションも軽い。JAはこんなに軽かった記憶はない(約20年前)。これが進化というものであろう。上にも書いたがインフォメーションの質が違うんだろうなと今の時点では感じる。そのうちアクセルペダルからタイヤが泥を掻く様子が伝わってくると信じる。
Posted at 2015/01/21 23:08:37 | |
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ジムニー | 日記