天上の青のブログ一覧

　
　
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　　散るという飛翔のかたち　
　
　　　　花びらはふと微笑んで枝を離れる

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（　俵万智　「かぜのてのひら」　）



今年はちょうど入学式に咲いてくれました。


私の中学校の入学式は ずいぶん前のことです。

陽光うららかな朝、母と初めて中学校に行きました。
校門の横に桜の若木が一本、満開に花を咲かせていて、
こども心にも何やら晴れがましく、見上げていました。

新入生の男子は学生服。
しかし、私だけが詰襟ではありませんでした。
たぶん、家が貧しくて買えなかったのでしょう。
ですが、私は何も気にしていませんでした。
まわりの生徒たちも特に変な目で見たりしませんでした。

式のあと、保護者に説明があったそうで、
「制服は皆さん、今日のとおりで結構です」
と担任の先生から話があったよ
と帰宅したあとに母から聞かされました。

私は、私だけが学生服ではなかったことを全く気にしていませんでした。
ですが、母は不憫に思ったのでしょう。
私を連れて、学生服を買いに行ってくれました。
私は申し訳ないような気持ちと うれしい気持ちで 複雑な心もちでした。

桜の花を見るたびに思い出す、遠い昔のことです。