本日10時、下取り店にレガシィを引き渡しました。手続きは1分も掛からず終わり、早々に店を後にしました。
家を出る時はさすがに、これが最後だなと思いましたが、店から帰る時はさほどの感慨も無く、レンタカーを返すような感覚でした。
まあ、心から欲しくて買った車ではなく購入にあたってはどうしても渋々さ嫌々さがついて回ったので、そうなったと思います。
これでスバル車とは完全に縁が切れました。
大学を卒業して就職するに当たり、通勤車両はスバル車を奨励するという実に日本的慣行極まりない当時の会社の社内規則の一文にのっとり、まだ車も持ってなかったものでちょうどいいと言えばちょうどよかったのですが、中古車屋を当たり、ディーラー系の中古車店で、5年落ちの初代インプレッサのリトナという2ドアクーペの1.5L・FF・5MT(GC1)を親に買ってもらいました。

軽でもよかったのですがとにかくMT車が欲しくて、でもなかなかなく、最後に行った店で買えそうな価格帯であったのはヴィヴィオとこの車だけでした。恐らくそこに並んでいた車の中で2番目に安かったと思います。車両価格36万でした。
この車を買って手放すまでの間はデジカメの類を持っていなかったため、写真はすべて紙しかなく、ここに載せられないのですが、ボディーカラーは赤でした。
100馬力も無いしょぼいスペックでしたが、高校生の頃から三本和彦信者で、「パワーは麻薬」「非力な車をギアを駆使してだましだまし乗るのが面白い」の理念に反しないクルマ選びをしたつもりでした。
初めてのクルマで、それなりに満足していたものの、やはりホントに欲しい車を買いたいとの思いは捨てきれず、FRが欲しいと思い始めたころ、NBをレンタカーで借りてこの世にこんな車があるのかと衝撃を受け、2005年10月にNCのオーナーになるわけですが、どうしても通勤車両の縛りがあることから、平日はGC1・土日はNCという二重生活になりました。
2008年3月の車検切れを機にGC1を手放した後は、父のフォレスター(SG5)を通勤車両とし、2017年1月の父の退職後はレガシィ(BM9)を購入し通勤してましたが、2018年末をもってその会社を退職し、新たな職場では通勤車両の縛りが無いことから、この9月の車検切れを前に手離した次第です。
BM9の車検を継続させるか否かは、余り迷いませんでした。
乗せた人すべてから、この車はいい、広いし力もあるし直進安定性もあるし、とおっしゃっていただきました。それは嬉しかったのですが、重すぎるクラッチと、5ナンバー枠を遥かに超えた車体寸法、取り回しの悪さには、2年半の歳月を費やしても全く慣れることはありませんでした。
やはり、もはや日本を市場とした車ではないのだと思います。
思えば、自分が子供の頃のスバルは、小型車1車種(レオーネ)・軽自動車1車種(レックス)軽貨物車1車種(サンバー)、たったこれっぽっちのラインアップでした。
まさに知る人ぞ知る存在で、一般受けは低く、父も長年太田に住みながらスバル車を購入したことは一度も無く、いすゞとスバルだけは買わないなと言っていたのを聞いたことがあります(その理由は話せば長いのでここでは割愛します)
そこから考えれば、現代でも依然車種数が少な目であることは変わらずとも、
年間生産台数は100万台を超え、隔世の感が否めません。
私がスバル車に携わったこの17年の間だけでも、くしくも、インプレッサ・フォレスター・レガシィとスバルの主力3車種全てに乗ることが出来ました。
近くて遠い存在だったスバルを、自らの純粋な意志からではないにせよある程度体験出来たのは、それはある意味一ドライバーとして、良かったことなのではと、これを書きながらたった今思いました(書くまでは、全然そんなこと考えてもいませんでした、ホントに)
昔では考えられないほど、多くのユーザーに認知され、愛されるようになったスバル。
さして意義のあるように思えなかったサッシュレスドアや軽の4気筒エンジンに固執したり、使用頻度の多さに反比例し何故か装備が軽んぜられることの多い商用車(レオーネバン)に当時としては贅沢な独立懸架システムをおごったり、いい意味悪い意味で、作り手の良心的こだわりを感じられる装置も多かったと思います。その1つにアイサイトもあったと思います。
先進的な装備で、長い歳月をかけて実用化にこぎつけた技術者のたゆまぬ努力に
は頭が下がります。
これ以外にも、CVT(私は非力な車以外にはその意義を認めませんが(笑))・ジャスティ・ドミンゴなど1.3L以下の排気量の小型車、ヴィヴィオビストロのレトロカー的なスタイル等、このメーカーからは商業的成功は別としても他に先駆けて誕生した技術・流行が結構あることに気付かされます。
ご存知のように、2012年をもって軽自動車の自社開発・生産を終了し、得意の4WD・水平対向エンジンを有する小型車に特化する方針に切り替えたわけですが、奇しくも特化する前の方が面白いものが次から次へと飛び出してきたように思えます。
売れないものはもうやらないということなのかもしれませんが、つまらないけど売れるものを作るより、売れないけど面白いものを作り続ける方を応援したいと私は思います。
個性が薄まったという言い方をする人もいるけど、面白いものを世に問う、そんなメーカーであってほしいと思います。
そうでなかったら、この国に8つも乗用車メーカーは要らないと思います。
では、クルマ選びに何の縛りも無くなった今の私が、今後スバルを選ぶことはあるか?
絶対無いとは言えないです。ですが、現時点のラインアップで心から欲しいと思える車は無いです。
とにかくボディサイズを劇的に、5ナンバーサイズにしろとは言わずとも車幅1750mm前後に落としてほしい。例えばインプレッサ、ゴルフやマツダ3がそうだからという理由だけで、車幅1800mmに安直にしないでほしい。
それとやはりトルコンATも有しておいたほうが絶対いいと思う。CVTと両方開発できないのであれば外製化したっていいではないか。
少なくとも300馬力のクルマ(そもそもそれが要るかという問題があるが)に積むべきではないと思う。
この駄文を終わるにあたってもう1つ、蛇足とは承知で最初に触れた前の会社の社内規則にも触れておきたい。
紹介する意味で記しますが、私が辞める数年前から、スバル以外のメーカーで通勤する人からは駐車料金を徴収するという一文が社内規則に加わりました。また、これは明文化されていませんが、人事考課・昇進に関しても、スバル以外の車に乗っている人はスバルに乗っている人より低く評価されるという慣行が行われてます。
その中にいた時は、いやその時ですら、何てくだらないバカらしい規則だと思ってましたが、そこから離れてみて、改めてその異常さに愕然とします。
誰も公の場に訴え出ないから、こんな愚行がまかり通るのだと思います。
自分も訴え出ず嫌々ながらも従っていたから、今従っている人たちを責めることは出来ないししないけど、こういう前近代的愚行が次々と社会的に糾弾され、淘汰されている時代だから、いずれこれらも過去のバカ話として歴史の闇に葬られる日が来るのでしょうか。
いろいろ話が飛びましたがこの辺で。