トレジャーハンター その2 初めてのお使い 1/7
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一旦成功と報じられて世間が沸き立ったが,内情は担当者がプログラムの中身を確認してみると,本番仕様の「打ち上げモード」になってなっていなく,いわば「空撃ち」だった。訂正が遅れたのは担当者の葛藤があり,このまま墓場まで秘密を持っていくのには,耐えられなかったとのこと。周りが成功に沸き立つ中で「あのぅ~,実は・・・」と言い出すには勇気が要る。
担当者がこの事実に何時気づいたかまでは分からないが,以下は私がでっち上げた担当者の心情。
「姿勢制御のジャイロも,エンジンもタンクも壊れているし,バッテリーはいかれ,通信も途絶えている。とても帰って来られまい」
「このまま黙っていても,未帰還なら発覚しない・・・」
「まわりの連中は四苦八苦して突拍子もない方法で打開策を講じている」
「もしかしたら帰還できるかも・・・何をしでかすか分からない連中だ」
「でも,ハヤブサ本体は大気圏突入で燃え尽きるので,採取機構は検証できないから大丈夫だ」
「いざ開けてカプセルの中身が空っぽだったら騒ぎになる・・・」
「カプセルと採取機構とは別なので,火薬反応がなくても言い逃れできるかも・・・」
「業者を呼びつけて火工品の不良でケリを付けるか・・・」
「それも悪どいな・・・。墓まで持っていくのも気が重い」
「・・・やっぱ,今のうちに言っておこう。帰還後のほうが騒ぎが大きくなる」
・・・てな具合で布団の中での葛藤があったのではと妄想を膨らませてみる。
以下は私の歪んだ憶測だが,衛星の開発段階で行ったテスト仕様のまま打ち上げてしまった・・・早い話がデバッグ・モードのままで「やっちゃった」ということだ。
報道資料では金属球は,バネかガスかなんかの力で打ち出されるようなイメージを醸し出しているが,実際には火薬の爆発に頼っている。
そこで地上でのテストでは実際にバンバンとやるわけにはいかないので,プログラム内のフラッグか何かで,本番とテスト(デバッグ)のモードを切り替える構造にしていたのではと思われる。後で直そうと思っていたが,忙しさにかまけてたら,宇宙空間に行っちゃった。
・・・で,1年半経って本番後に中身を確認したら「アチャー」・・・てな次第では?
あるいは打ち上げ後,何度もプログラムの修正・変更のアップロードを行っているので,まさかとは思うが,修羅場ではよくあることでバージョン管理がグチャグチャで,どれが本物か判らなくなり,古いバージョンをリンクとかアップロードとか・・・?
さらなる内部情報では,安全装置である「セーフモード」自体にもバグ(欠陥)があり,一概に不発ともいえず,点火している可能性もなきにしもあらず・・・というややこしい状況だそうだ。
早い話がハリウッド映画でよくあるFBIの突入シーンで,銃の安全装置を掛けたままで突入したが,元々安全装置に欠陥があったため発砲できてしまい,メデタシ・メデタシということだ。現場のドタバタ具合が推し量れる。
またやはり不発だったとしても,逆噴射で舞上がった埃が紛れ込む可能性もあり,それに一縷の望みを繋いでいる。多いに越したことはないが,最小1mg程度でも分析できる。
なお伝送速度は使えるアンテナの都合とコンディションにより,32bpsとか8bpsにまで落ちるので,ちょっとしたことでも徹夜いや数日の作業になる。ディレー(電波到達時間)も16分とかのオーダーだ。時刻によってはNASAの立派なアンテナを間借りする必要があり,これも遠慮がちとなる。もし全て自前でやるなら南米とアフリカに巨大アンテナの建設が必要になる。練砲さんは許してくれないだろう。
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トレジャー・ハンター | ニュース
Posted at
2010/06/08 10:40:19