トレジャーハンター その2 初めてのお使い 1/7
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ここで本題に入るが,私が特に興味を持ったのは「金属球を発射」する機構。「もしや」と思って少し調べると面白いことが判明した。
平和利用のイメージを強調するためか,プレスには「火工品」とまるで花火かのようにさらりと流されているが,断片的な情報から類推するに,
もろ対戦車兵器そのものの仕組ではないかと思われる。もちろん「イトカワ」をブチ壊す必要はないので,威力は大幅に減じてはあるが構造は全く同じだ。
注: 後ほど一般的なピストル方式と判明。
軍事的には「自己鍛造弾」 (EFP: Explosively Formed Penetrator)と言い,簡単に言えば,中華鍋のような形状の銅合金板に,20ギガパスカル程度の強烈な圧力を瞬間的に加えると,金属はまるで液体であるかのようにふるまい(ユゴニオ弾性限界),非常に貫通力の高い粒に変形して飛んで行くというものだ。実際の粒の形状は「球」ではなく,座薬みたいな砲弾形になる。熱による変形ではなく冷間鍛造であるので,できあがった弾は緻密で非常に堅い。
公表資料では「金属球は秒速300m」となっており,これはピストルの初速をやや上回る。ユゴニオ弾性限界を生じさせる圧力なら,私感ではもう1桁上の速度になりそうな気がする。このあたりのことはあまり触れて欲しくないのかも知れない。
この方式のメリットとしては砲身なしで,ほぼ無反動で超高速の弾体を発射できる。
仮にピストル方式だったなら,打った瞬間にハヤブサは反動で,飛び上がりそうだし,構造的にも耐えられない筈だ。なにしろメインエンジンの推力ですら数gに過ぎないのだから。(・・・この考察はちょっと自信なし・・・)
それともコスト・構造的にはピストルを1丁固定すれば良かったのだが,「銃砲」の扱いになると,法規制の都合で不可能だったのかも知れない。
参考として次のURLは航空機から無数の「自己鍛造弾」をばらまくデモ・ビデオ。無数の対戦車砲が空から降って来るようなもので,やられたほうはホッケーのパックのような不思議な物体に,あっけに取られてポカンと空を見上げるしかなく,為す術もない。堪ったもんではない。
いつもながら新兵器のデモ・ビデオを見る度につくづく,アメリカを敵に回して戦うものではないと思う。
CBU-97 SFW BLU-108
BLU-108 Detail
Shaped Charges
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Posted at
2010/06/08 10:45:10