
友人にモテてモテて困るのがいる。俳優の織田裕二から,少し灰汁を抜いた容姿で,長身でスポーツ万能,私のようにギトギトもしていない。
だが,皮肉なことに彼の好みのタイプは寄って来ず,そうでない女性達の熱心さに困っていた。
以前,家で少し遅い夕食を取りながら,何気なくテレビをつけた時のこと。たまたま「千人切り」特集という番組をやっていた。20人ほどの偉業を成し遂げた視聴者がゲスト出演し,その方達のアンケートやコメントを紹介していた。
「そんな奴,そうそういる訳がない」
「どうせヤラセだろう」
・・・半信半疑で見ていた。色々と面白いエピソードが披露される。
「そりゃ嘘だろ」
・・・心の中で呟いていた。
カメラがパンされた時,私の視線は画面に釘付けになった。映っているのは紛れもない知人だ。声も完全に一致する。
「こいつら本物だ」
そう確信した。その30才そこそこの知人は,数々の事業を展開し,美男子というタイプではないが,センスも良くカッコイイ。
その常日頃の人当たりの柔らかさ故,若年から中年に至る広い年齢層からも支持されている。確かに良くモテる。彼なら十二分にあり得る。なお文頭の友人とは別人。
巷では「出会い」の場を提供するサイトなるものが流行っているという。社会人としての一般常識を重んじる私としては,やはり食わず嫌いで無視する訳には行かない。遅ればせながら,どのような物かを勉強することにした。
出来れば,そのあどけなさの残る顔を,まるであざ笑うかのように発達したダイナマイト・ボディのご婦人と,天下国家を論じたり,絵画や小説に共感を持ったり,あんなことしたり,こんなことしたり,えぇ~~そこまでするか!?・・・と夢と希望と,そして毎度の妄想が膨らむ。
そこで,まず準備段階としてフリー・メールの捨てアドレスを得た。
●無料サイトA:
「すべて完全無料」「架空請求一切無し」とのこと。
掲示板で近隣を検索。「メル友募集」の相手を選ぶ。
画面上にある,「この人にメールを送る」の枠に,先ずは当たり障りのない挨拶文を書き,送信。
・・・できない。別の画面に移り,無料登録が要求される。
簡単なプロフィールと捨てアドを登録する。すると画面の左端に250ポイントという数字が表示されるようになった。
「・・・ん? 最初に無料でポイントをくれるという意味か」
何とか1人にメールを送信。送信ではポイントは減らないようだ。
すぐに着信の表示。ただし私のメアド宛には発信者と表題しか届かない。内容を見るにはメール内のリンク先・・・つまりそのサイト内の画面を開かないといけない。
送信したのは1通だが,すでに20通ばかりのメールが来ている。内容を見ると,ポイントがどんどん見る間に減ってゆく。1通読むと40ポイント減るようだ。相手のプロフィールを見ると10ポイント減る。
「・・・う~~ん。これはボヤボヤしていられない」
目星を付けた2人に,メールを書く。一刻も早くこのサイトから抜け出して,直メールアドレス同士のメル友にならなければ。
そこで本文にこちらのメアドを書き送信。
・・・できない。
ただ「送信エラー」というメッセージのみでエラーになる。本文を縮めて試すが「送信エラー」
「もしかして本文中にメアドがあるとエラーになるのか?」
アドレスを全角英数に変える。
「送信エラー」
アドレスをカタカナで書いて2人に送る。送れた。
ほどなくして返事が来た。依然送ってもいない相手からもジャンジャン着信しているが,それらはポイントが減るので無視。
一人の返事は「おのれ,おちょくっとんのか!」に近い返事。とりあえず事情を説明し詫びるが,いかんせん,それ以後の返事は,こちらの送信内容とは話が噛み合わない。脈絡のない当たり障りのない返事。どんどんポイントが減る。やり取りを引き延ばす意図を察知。
もう一人からは説教。「本文でメール・アドレスを送るのは規約違反」とのこと。規約を読み直すが,そんなことはどこにも書いていない。
・・・相手は桜か運営者の成りすましか?
確かに画面には「メール・アドレスを知らせる」というラジオ・ボタンが,あることにはあった。ただし残ポイントが1000以上でないとオンにならないとのこと。元より無料付加ポイントの250では無効だ。
ちなみに無料登録後に見ると規約内容が変わっている。1ポイント10円で購入は5千円単位。つまりメアドを知らせるには1万円以上の残高が必要だ。
返信メールの本文を読むには40ポイント=400円必要。話はなかなか噛み合わない・・・というか,昨今の民放番組の如く,小出しで引き延ばされるので,悪戯にポイントを浪費するばかりだ。ちなみに本文は150文字まで。
恐らく満開の桜の中から可憐なヒナゲシの花を見つけ出し,オフ会に至るには万単位の投資が必要であろう。当然蹴られる率も高い。
「完全無料」「当サイトは健全な交友を広めるべく,広告費のみで運営」が謳い文句だが。
「優良無料サイトA」なかなか手強い。
だが,「優良無料サイトA」は期せずして,虎の尾を踏んでしまったようだ。
「意地でも無料でネーちゃんをゲットしてやる」
私の闘争本能に火が点いた。
ついでに,別の本能にも。
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Posted at
2006/11/25 01:02:06