
米当局の発表では5,000万ドル押収したが,依然2,200万ドルが流通という。世界における米ドルの流通総額7,600億ドルのうち、偽ドル札は1/1万に過ぎない,また米ドルの信頼性はいささかも揺るがないと強調しているそうだ。
皮肉なことにある国では,それまでの高額取引における,実質的な決済通貨を,米ドルからユーロに急速にシフトしつつあるそうな。ヒントは真贋鑑定に最も長けた国。
ただ私感ではここまで巨費を掛けて,忠実に再現しても,たかが7,200万ドルでは,割りに合わないと思う。
機材や資材を入手にあたって,営業値引きはおろか,希望小売価格ってな筈もなく,当然,ルートも複雑で思いっ切り,吹っ掛けられていることと思う。
それも貴重な外貨での支払い。パチモンの米ドルで決済していたら,マンガにもなるが,相手もしたたか,世の中甘くはないだろう。もっとも,人件費がタダ同然は有利な条件とは言えるが。
そこで損益分岐点を勘案すると,実際の供給量は・・・と穿った見方もしたくなる。私ならプロジェクト開始の時点で,損益分岐点を大幅に上回るビジネス・ケースを弾き出す。
ちなみに調査にあたった「当局」とは財務省秘密検察局で,通称「シークレットサービス」と米連邦準備制度理事会,通称「FRB」。発表の数字には政治的配慮もあり得るかも知れない。
余談だが,最初は何故,実弾にすら生身で矢面に立つ,大統領の護衛官が調査にあたるのかと思ったが,色々な部署に「シークレットサービス」があるらしい。秘密ゆえ衆知ではないのだろう。
機会があれば友人に確認したいと思っていることだが,ユーロ以前のフランスでの通貨事情。
一般人ですら贋札に遭遇するのは日常茶飯事。真面目に警察に届けても,「早く使っちゃえ」と言われる。銀行で降ろした中にすら混じっている。始末が悪いことに真札ですら,規格外のサイズや印刷が多く,鑑別も一筋縄にはゆかない。少なからずの贋札率を前提に,いわば純度91%てな具合で,金融経済が回っていた。
これはこれで対策費用と経済効果を計りに掛けて,フランス式の合理的解決法として,何か納得できる。
バランス感覚と清濁合わせて・・・実際には「汚濁合わせて飲む」に近い・・・をモットーとする私には,好感すら持てる。
その代り当時の仏当局は,紙幣更改のインターバルを短くし,偽造グループに対して「ザマァ見やがれ」と溜飲を下げる。そしてまた新たなゲームが始まる。
もし,これが本当だったとすれば,「所詮は紙切れ・・・」と通貨の本質を見極めている,大人の解決法だったのかも知れない。また通貨印刷当局の彫り師にとっても,よほど精神衛生上健全だったのかも知れない。
かの国の彫り師は,一生涯で真札の原板を彫る暁光にありつけるのはのは,一度あるかないかだそうだ。その日を夢見て,一生,毎日9時から5時まで,決して日の目を見ない,練習用図柄の原板を彫り続ける。一生涯身分が保証された公務員とは言え,賽の河原の石積みを思わせる。
私がもし彫り師なら,その技術を高く買ってくれ,殊勲をたてれば喜び組との酒池肉林も夢ではない大陸の新天地に・・・・てなことにもなりかねない。不謹慎で失礼。
Posted at 2006/11/06 16:17:37 | |
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