
潜水艦の機動の一つに,「エマージェンシー・ブロー」とか「エマージェンシー・サーフェシング」と呼ばれる行為がある。
何らかの事故が起こった緊急時に,深海で急激に重りの海水を全量排水して,一気に急角度で急速浮上する行為だ。
実際には訓練や体験試乗時のアトラクションとして行われる。
試しに空のペット・ボトルを風呂桶の底から放てば,水上に飛び出すのが分るだろう。
予め浮上前に潜水艦ははソナーで海上の様子を探る。厄介なことに帆掛け船は帆走中には,ほぼ無音になる。日本近海では「エマジェンシー・ブロー」はまずやらない筈だが,もし帆掛け船の存在を見落とされたまま,それをやられたら,運が悪かったとしか言いようがない。
質量7千トン以上の砲弾に相当する,運動エネルギーには凄まじい物がある。まともにぶち当てられたら,ほぼ全ての艦船は撃沈されてしまう。
ちなみに厚さ40cmの鋼鉄をぶち抜く戦艦大和の主砲弾ですら,1トン半に過ぎない。
厳密に言うと「運動エネルギー = 質量 X 速度の2乗」なので単純比較はできないが,とんでもない威力に変わりはない。
ちなみに米原潜で最多のロスアンジェルス級で7千トン,オハイオ級で1万9千トン弱の排水量と,第二次大戦中のに比べればとても大きい。
一応帆掛け船にも海底までの深さを測る,「ディプス・ゲージ」(測深器)というアクティブ・ソナーの同類は備えているが,潜水艦が潜んでいそうな海域では,ヘビメタ・ロックでもガンガン流しながら航行するのが安全かも知れない。
実際,海には色々な魔物が潜んでいる。海中のみならず海上にも真夜中に一切の灯火を灯していない,黒一色に塗りつぶした船に遭遇することもある。密漁船はまだ可愛いほうで,得体の知れないものに遭遇もしばしある。多いときは一晩に数隻も。
Posted at 2007/01/27 10:15:20 | |
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