
もう一つ運試しに育てていた果実がある。
我が家には小さな桃の木が2本ある。
毎年そこそこの数の花をつけ,ひな祭りの飾り付けとして目を楽しませてくれ,桜が満開になる前の繋ぎになってくれる。
一応,実も成るが,大きさも外観も梅干しそっくりで,地面に落ちてしまう。
この木自体が食用になる果実が成る品種かも判らず,全然手入れをしていなかった。そもそも地面に散らばっている種が梅干しのそれそっくりだったので,かつては梅の木だとすら思っていた。
家庭菜園に少し興味を持ち,ネットで桃の栽培法を調べてみた。
●日当たりを好むので,日陰の枝は剪定
●付いた実は小さいうちに,小枝30cm毎に1個に間引く
「ふむ,ふむ・・・なるほど・・・そうだったのか・・・」
早速,実が小さいうちに実行してみた。この桃の生長もスイカ同様に運試しとして,毎日の成長を楽しみにしていた。
結果は・・・
2本の木のうち日当たりの良い方の実は,ビー玉程度の大きさになると全て落ちた。その代り枝が凄まじい勢いで伸びて,葉の一枚一枚も比較にならない程大きくなり,生い茂ってしまった。
植物は刈られたり逆境になると,種の保存本能が働いて,凄まじく成長するそうだ。
落ち葉と木の実にほとほとうんざりして,ドングリの木を殆ど丸裸にしたことがあった。すると,まるで恨みを晴らすかのように,
「お前はバナナか?」
と思う程の大きな葉が一杯生えて,ジャングルの樹木みたいになり,逆襲されたこともあった。
放置された杉林や檜林でも,同様の理由で種の保存をすべく,思いっ切り花粉をぶちまけるそうだ。それが花粉症の蔓延の大きな根源となっているそうだ。
皮肉にも日当たりの悪い場所の,弱々しい木に成った桃の実は,すくすくと順調に育って行った。
本来は紙袋等で覆い虫害を防がないといけないが,敢えて毎日成長がみえるように覆わなかった。
目視では別に虫食いの穴も見られない。
やがてゴルフボール大にまでなった。
「新記録だ」
マニュアルどおり肥料を追加し喜んでいた。
ところが,やがてぴたりと成長が止まった。何日経っても変化がない。
中には桃色になって熟した風情のもある。
「この大きさで成熟する種類かも?」
ついにこれ以上の成長を諦めて,サンプルとして1つを取って割ってみると・・・
中身は全て茶色く変色し,虫に食い尽くされていた。
繊維質のスカスカの海綿体状で果肉は食い尽くされていた。
海綿とは海に住む生物で,体内の海綿質繊維=海綿体を,昔の人達はスポンジとして利用していた。現在ではお化粧や乳児の沐浴に使うぐらいだろう。
若い方は見たことがない方が多いと思う。まさか自分のを桃同様に割って見るわけにはいかないし・・・
これなら成長も止まる訳だ。
品種の特性もあるだろうが,考えてみれば,これだけスカスカでは,外周部にまで,栄養分を届けることはできないだろう。
「完敗」
半ば意地で皮に近い果実が残っている部分を囓ってみた。
・・・まさしく桃の味。甘みもある。
来年も生きていたら,袋をかぶせてみよう。
まぁ,大きさはともかく,食べられる実はできそうなことが判っただけでも,収穫だったことにしよう。来年は一歩前へ進められる。
・・・それにしても,うまく内緒で食い尽くしやがる。敵ながら天晴れだ。
う~~ん。当たり前だが,なかなかうまく行かない。
お百姓さんを改めて尊敬した。
Posted at 2007/08/28 20:50:58 | |
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