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2007年10月01日 イイね!

うそつき

うそつき普段,私は殆ど乗らない車のエンジンの掛かりが,心なしか悪くなった。そこでそろそろ換え時のバッテリーを交換した。ついでに何気なくエンジン・ルームを見回すと,

「ゲゲーッ。こんな所が!」

日頃,劣化に注意している,ラジエターのアッパー・ホースは,まだまだ大丈夫なので,気を許していたのだが,些細なホースに亀裂が入り,僅かに蒸気が噴き出していた。注意しないと見落とすレベルだ。
ヘッドとサーモスタット・ハウジングを結ぶ,長さ10cm程のごく短いホースだ。
意外な盲点で,本来ならフランジ接続にすべき箇所で,エンジン設計終了後に,「あっ! 忘れていた」と,まるで後から付け足したかのようなホースだ。理解に苦しむ。

 早速,近くの販社にパーツを買いに行った。

「これって,まさかウォーター・ポンプを外して交換じゃないでしょうね? それならポンプ周りのシールも欲しいけど」

「大丈夫です。これだけも良く出ますから」

毎度おなじみのパーツ窓口の担当さん。

「手でホースを摘んで確認した感じでは,金属パイプ間が狭そうな感じだったけど,ホースを突っ込むクリアランスは本当にありますか?」

「大丈夫です」

後日の日曜日に早速カッターと最小限の工具を携え,

「10分もあれば楽勝・・・」

と,ばかりに鼻歌交じりに交換に着手。本当のところは,ここ最近,クソ暑い中,滝のように汗を流して,「アチチ!」と火傷を繰り返しながら,厭という程,別の「空冷たー坊」を弄っていたので,もう車弄りは当分したくなかった。

クランプを緩めてずらし,
「男は度胸。女は愛嬌。坊主は説教~~♪」
と,潔くカッターでホースをズバッと縦に切開した瞬間,

「やられた!」

パイプ間のクリアランスは,僅か3ミリ程度。ホースの肉厚分もない。

「どいつが設計したんじゃ~あっ!」

と,独り毒づくが後の祭り。確かに設計したのはドイツだが,洒落を言って喜んでいる場合ではない。
パイプを切断するとクランプを掛ける幅がなくなる。また徐々に切断して,クリアランスを試行錯誤で,拡げていっても,最後に「やっぱり無理だった・・・」となれば,ヘッド交換になってしまう。それに切断面のスウェージング(径を絞り込む)もできない。おまけに両端は異径なので長い汎用ホースも使えない。・・・と完全に行き詰まった。

 これは重整備になる。工具の揃った別の車庫へ移動させるにも,エンジンがこのままでは回せない。傾斜の都合で手押しでの移動はとても無理。

サーモスタットが閉じていることに,一縷の望みをかけ始動するが,案の定,予想を裏切らず盛大な噴水状態となり,即座に断念。

・・・万事窮す。

 結局は頭を捻り,粘着材なしの幅広のプラスチック・テープをグルグル巻いて,クランプで締め上げ,即席ホースを形成した。これとて周囲とのクリアランスが狭小で,張力を掛けながら巻くのに苦労した。

「当分このままにしておこうか?」

意外と出来が良く,そう思ったが,私以外が運転するが主なので,さすがにそうもできない。「ガラス・テープとエポキシで特製パイプを」とも考えたが,後で後悔よりも正攻法でと,工具の揃った車庫へと移動させた。

 余談だが,インドとかから輸入した,古いBMWやロイヤル・エンフィールド,BSA等の二輪車は,クランク・ケースやオイル・ラインの割れを,包帯とアスファルトで固めて,誤魔化していることが,しばしあった。
まさか,かの国では「生き物同様に,愛情を掛けているので,怪我には包帯」という伝統があるとも思えない。百歩譲っても行為自体は褒められないが,いざという時のサバイバル・テクニックとしては,学ぶところが多い。先進国ではとても考えつかない,とんでもない裏技だ。


・・・斯くして,悪戦苦闘が始まる。

ウォーター・ポンプを外すには,隣のベルト・タイトナーを外さなければならない。そしてタイトナーのベース金具も邪魔になるので,その金具が共締めしてあるパワステ・ポンプも外さなければならない。
・・・そしてそれらを外すには事前に,ファン,シュラウド,インジェクション周りも外して,オイル・ラインも・・・クソーッ,ISVバルブも邪魔だ,それを外すには高圧コードのダクトが邪魔している,バキューム・ラインも・・・さらに続くが以下省略

・・・と,目の前に見えている,何の変哲もないチョー短いたった1本のゴム・ホースのために,ドミノ倒し的に,おびただしい箇所をばらすはめになった。
まるでたった一発の銃弾がきっかけで,世界が戦火に巻き込まれ2千万人以上の犠牲者を出した第一次世界大戦みたいな,波及効果と,とばっちりだ。

ボルトやナットも鏡を使って緩める箇所が多く,工具も入りにくく,ストロークも殆ど取れない。エキステンションやボール・ジョイントを駆使したり,1個のナットに同サイズのスパナを,何種類も掛け替えながら,少しづつ回してバラし,組み上げた。

 これらの手間を考えると,ついでに此奴ら含め補機類も全交換したかったところだが,パーツ代だけでも夫婦でヨーロッパ旅行に匹敵しそうで,悲しいかな,私の甲斐性ではそうもできない。
些細なホース1本のために,虚しい闘いをしてしまった。なんだか生意気な小娘一人のために,周りのオッサン達がさんざん振り回されたかのような心境だ。

「ホース単品も,よく出ますよ」

・・・これは,ウォーター・ポンプ交換したさいに,

「後でこいつがパンクしたら,とんでもない作業になる」

と実態に気が付き,あわてて予防措置として,これを購入に走る修理業者さんが,きっと多いに違いない。

パーツ窓口担当氏はベテランで知識豊富で,いつも快く親切に教えてくれ,お世話になっているので心苦しいが,敢えて言わせてもらえば

「うそつき!」

まあ,誰もあんな設計だとは思わんな。
Posted at 2007/10/02 00:22:25 | コメント(1) | おか | クルマ

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好奇心の塊で物事を知れば知るほど己のアホさを知る,通りすがりのオッサン。
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