流れ流れて その1
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レンタカーという素材かつ,ジャーナリストの過度とも思える美辞麗句に対しての疑問の念で評価したため,いささか辛口な表現になったが,私の場合,晩年を伴侶とのんびり地方道を温泉巡りなんぞには,ボルボのメタル・トップが合うような気がする。
あいにく私の腕では,試乗記にあった「911に勝る」面白さは見いだせなかった。反面,911等では車のほうが「もっと踏んでくれ」という要求をしてきて,快適速度域が尋常ではない高みに至る。
ボルボの場合にはそんなこともなく,日本の道路事情では,踏めなくて悶々とした欲求不満を覚えずに,精神衛生上好ましく,優雅に流せるかも知れない。
ボタン一つで開くメタル・トップの意外なメリットとしては,2X4材や物干し竿などの長尺物や,かさ高い電化製品もOK。いざという時には活躍してくれる。雨ざらしで保管しようが耐候性も問題ない。
ちなみにヨーロッパの各レンタカー会社の品揃えには,メルセデス・SL等の高価格車もある。価格的にそう需要があるとは思えないが,特別な使命を担っているようだ。
利用頻度が高い上得意客には,コンパクト・カーと同じ価格で,トップ・モデルを貸し出すというプログラムがある。利用履歴が溜まると恩恵に浴せる。例えるならマイレージを使った,航空券のアップグレード・サービスみたいなものである。
実際にドイツ人の友人は,その恩恵でコンパクト・カー料金でSLを借り出していた。携帯電話の写真を見せてくれながら,「良い思い出になった」と,たいそう喜んでいた。
出張の移動手段では,車が第一の選択肢となる大陸では,この制度は顧客の囲い込みに貢献する。道路事情も良く,原則無料のせいもあるが,なにしろ連中は平気で気軽に,大陸の端から端まで車で移動する。騎馬民族のDNAの名残だろう。
囲い込みの威力は,一部のサラリーマンが,出張計画で,割高,深夜早朝,遠回り,やたら多い経由地でも,特定の航空機会社に固執する現象にて伺い知れる。せっせと溜め込んだマイレージで毎夏休み,家族と海外旅行。もしマイレージが不足なら,無理矢理に出張案件をでっち上げる,自称「国際ビジネスマン」の豪傑もいれば,何もしないでトンボ帰りだけする,俗に言う「修行僧」もいる。
奇遇にも馬のメタルトップに乗せてやるという,お誘いが郵便受けに迷い込んでいた。こちらは「距離料金」はおろか基本料金すら不要だ。 「California "Driving"」という封筒の表書きに,「ん!? カリフォルニアにタダで連れて行ってくれるのか。行っちゃる!!」と大ボケの勘違いをかまし,糠喜びした自分が可愛い。
一時,ベントレーがやたら増えた頃があり,「何であの人も?」という不可解な現象があった。聞くところによると,馬がすぐに欲しければ,RRやベントレーと一緒に注文すると効くというおまじないだそうだ。単独ならばウェイティング・リストの末尾で,その後も抱き合せ発注の客に追い越され,納期は忘れる頃だったそうな。
何を血迷ったか,それとも宛名間違いか,私なんぞを誘うとは,「相応しい人に売ってやる」から「誰でもいいから買って」に変化しつつある兆しなのかも知れない。若い頃ならホイホイと喜んで馳せ参じるところだが,自分の身の丈を十分に思い知った今では,その後に訪れる悶々たる日々を想像すれば,そうもいかない。長い目で見れば,終わったオッサンより,もっと希望に燃えた若い人たちに,招待状はバラ撒くべきだろう。
おいそれとこんな有り難い物に,私ごとき者が触れては,祟りがあるかも知れぬ。
「さわらぬ神に祟りなし」
見なかったことにしよう。
余談であるが一途に拡幅路線だった車体が,少し戻ったのには好感が持てる。
蛇足:
写真の船を買えば,もれなくブーブーが付いて来る。船を馬鹿でっかい箱に入れて,グリコみたいにオマケの箱を開けると,これが出て来たらもっと感動するだろう。何が出てくるかは分からないほうがもっと良い。好きなのが出てくるまで,洒落で大人買いする御仁がいるかも知れない。
まぁこれを買う連中は,それなりの好みの車は持っていて当然,「余計な物はいらんから値引け」が順当だろう。それとも福利厚生費で買って,車は自分のポケットにか・・・
完