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トレジャーハンター その4 紅葉狩り 1/2
・・・で,その実態はと言うと・・・
大正から昭和にかけて建造された別邸で,特に池の面積比率が大きく,庭園が素晴らしい。
この地域には同様の広大な敷地の別荘郡が隣接してはいるが,建造当初に比べ,周辺の開発は進み,コンクリート作りの高層建築も点在している。
そのような中にあっても,さすが日本を代表する庭師の作,一歩敷地内に入れば,周辺の雑然さを全く見せない,見事な造園が施されている。
とりわけ遠景の仏閣も,敷地内に存在するとしか見えない「借景」の技も驚嘆に値する。緻密な計算に基づく築山と庭木の配置により,邸外の余計な建造物の姿は,完全に視界から消し去っている。
給水は決して枯れない,一山越えた大きな池から,専用と言ってもよい長い水路を経て行っている。敷地内の小さな滝,小川,池を経た水は,隣接する他の別荘に流れ込む。数軒ある他の別荘も,同様に芋蔓式に他の別荘に水を供給している。利害が絡む現在では不可能な方策だ。何事も「むしり取った者勝ち」の現代とは異なり,共存共栄を善しとする,かつての大らかな時代で,独り占めしないというのが気持ちいい。おまけに電動ポンプにも頼らない莫大な水量がタダだ。
元々この地域は,明治時代に,水車を動力源とした工場群を誘致するために,ダムと水路の構築と共に造成された。しかし急速なエネルギー革命と共に,その用途は意味を成さなくなり,広大な敷地と水源が取り残された。
そして当時羽振りの良かった数人がこの土地を引き取り,それぞれ贅を尽くした別邸を,風情を競い合うかのように構築した。
したがって都市近郊でありながらも,一区画の面積は広大。平野部でありながらも,水量は豊富という,凝った庭園造りに必要な好条件に恵まれている。今ではとうてい実現不可能なことだ。借景に不可欠な山裾を望むも含めて。
未だ嘗て一度も人手に渡さず,常時ベスト・コンディションに保つのはやはり大変で,専属だけでも十名の庭師の方が常駐し,著名な屋号を背中に染め抜いたはっぴ姿で,毎日せっせと手入れなさっている。
邸内には予備の樹木の養生地すらあり,それだけでも半端な広さではない。
四畳半一間でいいから,隅っこに掘っ建て小屋を建てさせてもらえないかなぁ~~。あの広さなら,多分誰も気付かないと思うが・・・
完
Posted at 2010/10/16 06:57:10 | |
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