トレジャー・ハンター その5 でかっ! 1/4
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トレジャー・ハンター その5 でかっ! 4/4
これも意図せず偶然出会った。
1本マストの帆船のことを「スループ」と言うのだが,スループとしてはほぼ世界最大級。
全長:54m(177フィート),排水量:305トン。乗客10名,乗組員7名。
甲板や上屋の外壁はチーク張りやマホガニーなどで,意図して古風なデザインだが,建造は2009年と新しい。船体はアルミ製で,装備や快適設備も最新鋭のものとなっている。帆船なら老舗のオランダ製で,昨今では無機質なグラスファイバー船が多い中,やはり味がある。
今後も当分,厳しい節電を強いられる日本だが,このヨットには90kwの発電機が2機あり,日本の一般家庭のざっと40軒以上の電力を賄える。
これだけのサイズでも,たった7人で操船できるのは,各所が電動・油圧化され,省力化されている恩恵だ。実際には7人と言っても,24時間航行なので,シフト勤務のため,航行中は2,3人で動かせるようになっている筈だ。帆の上げ下ろしも全て電動化されている。
羨ましいのは前後に「スラスター」という油圧駆動の別スクリューが設けられており,水流の方向を自由に変えられる。つまり通常なら人手を要する出港時と着岸時にも,船体を横方向に移動できるし,強風時には厄介な風に流される現象も防げる。
極めつけはマストに登る,かご付きの電動リフトまである。帆船ではトラブル時にマストに登る機会が結構多い。
一般的にはブランコのような板きれ1枚かオムツみたいな布きれ1枚に座って,マストの頂点に付いた滑車から垂れたロープに結び,下にいる数人に引っ張ってもらって上がるのだが,これが凄まじく怖い。
この数人というのが曲者で,「誰かが引っ張っているだろう」と,全員が力を抜くと,落ちてしまう。余程慎重で信用できる人間でないと任せられない。
しかもそういうトラブルは,往々にして海が荒れている夜中に起こることが多い。
洋上で激しく揺れる中,上から見ると船体は箸ぐらいにしか見えない。
船体に落ちれば全身打撲,海に落ちればそのままバイバイか,ロープに引きずられたり絡まったりして溺れる。
ステンレス・パイプでがっちりと組んだ,「かご付きの電動リフト」なら安心感と楽珍さは全然違うだろう。
写真のニーチャンは若き日のロバート・レッドフォードを彷彿させる容姿で,メチャクチャかっこ良かった。やはり悔しいけどヨットにはアングロ・サクソン系が似合う。どうしてもアジアンは「セーラー」より「ボート・ピープル」と言った風情になってしまう。
ハリウッド・スターの風情でリッチに見えたが,私の問いかけ
「今日はこの後何するの?」に,
「船体にワックスかける」
「そらえらい大変やな」
「ほんまや」
だったので,客ではなくクルー(乗組員)だった。勿論,クルーでも好きで乗っているリッチな方も多いが。
船籍は毎度のごとくカリブ海のバーミューダ諸島で,ニュージーランド・日本経由でアラスカまで行くとのこと。
このヨットも,ネットで予約画面に希望日と行き先をパチパチ打ち込むだけで,誰でもチャーターできる。
私にも今世のうちに「パチパチ」できる日が訪れれば嬉しいのだが・・・
Posted at 2011/05/30 23:15:47 | |
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