流れ流れて その11 何でもありチュウカ,何でもやっチャイナ 1
流れ流れて その11 何でもありチュウカ,何でもやっチャイナ 2
「親亀の上に小亀を載せて。子亀の上に孫亀載せてぇ~~」
で始まる古い歌があるが,
「親亀の上に小亀,小亀,小亀,小亀~~」
いったい何匹? 数えれば実に9匹いる。
人間,やればできるものだ。その気になれば何でもできる。
積車なんかに乗せるのはトーシロー。
バイクの後輪を外して,代りに客席を取付けた3輪タクシー。
3人掛けの座席が背中合わせに2つで,客が6人,運チャンも含めれば7人も乗れる。
さすがに上海,北京とかでは無理だが,地方なら高速道路にもこんなのが走っている。実際,この写真は高速道路の入り口で撮った。
エンジンはたったの125ccなので,7で割ると1人分は18ccしかない。凄いエネルギー効率だ。
ある地方都市で私の連れが,この3輪タクシーを拾った。
行き先は近くのホテルだが,なぜか反対方向に走り,高速道路に入ろうとする。
あわてて制止して確認すると,ある都市名と聞き違えていた。
その都市は600km先にある。金さえ貰えれば何処までも行く根性が凄い。まぁ,途中の山中で捨てられる可能性もあるが・・・
昨今
「XXではYY年に抜かれ世界X位に転落しました」
「このままではZZ年には抜かれる予定です」
と,日本の興亡を嘆くニュースも例年の行事だが,そもそも同じ土俵でこの国と張り合うには無理があると思う。
人口比で10倍,面積比で25倍。天然・鉱物資源も世界有数の埋蔵量。特にハイテク製品の必須ビタミンであるレアメタル,レアアースを牛耳っているのが強みだ。
恐ろしいのはそれに留まらず,鉱物資源の宝庫アフリカにも,世界最大規模の投資をしている。
欧米や日本企業は短期利益優先の植民地化的な投資に対して,この国のは現地に根付いた投資で,アフリカにおける将来の市場や顧客の創造をも考慮している。
ファンドの世界でも「チャイナ・マネー」は「オイル・マネー」に迫る勢いで,巨大ファンドのバックを辿っていくと,この国が資金源であることが多い。
1970年前後の文化革命時代に農村回帰・労働集約国家を謳ったのと,同じ国だとは俄に信じられない。
「日本の財産は優秀な頭脳」
よく聞く言葉だが,その国の将来の技術レベルを占う一つの指標・・・米大学への留学生数は,中国が日本の5倍に達している。
ちなみに日本は1997年までは4.7万人で1位,2010年には半減の2.5万人で4位。1位の中国は13万人。3位の韓国ですら日本の3倍となる。この差は将来ジワジワと長期に渡って確実に効いてくる。
数の差だけでなく,中国のキーマンには米国帰りが多いが,不思議なことに日本企業では,自ら派遣した留学生を帰国後に冷遇するのを習わしとすることが極めて多い。
帰国後に企業内での居場所を見つけられず,外資系企業か海外に活躍の場を移すケースが,お決まりのパターンとなっている。
こういった人的資源を生かすか殺すかの差は根が深く,数の差をさらに増幅させている。
近未来的なことに話を移すと,中国に進出した日本企業も現地法人の資本金の過半数は必ず中国であることが法律で義務づけられている。中国側も単なる工場誘致ではなく,技術移転が真の目的で,立ち上げ時には日本人の世話になるが,次回からは自前で競合商品を打ち出す。新幹線車両が良い例だろう。
年齢のみの理由で,居場所を無くした日本人熟練技術者や熟練工も,多数がこの国で技術指導=技術移転に携わっている。彼等は真面目なので,己の持てる全てを継承しようと職人魂で奮闘する。
皮肉なことにT自動車でさえも,こういったシニア層が海外工場に出払ってしまい,国内工場の新設やライン更新がままならないといった問題が顕在化している。
日本の経営者は,シニア層の財産である無形の知識・経験や技術蓄積には無頓着なので,短期利益狙いのコスト削減で厄介者払いしたつもりが,技術的優位を自ら捨て去る結果を招き,墓穴を掘っているようだ。
無から有を生み出して,現在の日本を築いて来たオッサンの資産価値は,年齢や給与といったマイナス要因を差し引いても余りある。
それを目先の利益に目が眩んで放り出すのは,年代物の古酒をドブに捨てるようなものだ。
マニュアルに従うだけでは,進化やブレーク・スルーはできない。
その古酒を有り難く活用し,新酒に反映させているこの国は,日本より一枚上手な気がする。