流れ流れて その11 何でもありチュウカ,何でもやっチャイナ 1
流れ流れて その11 何でもありチュウカ,何でもやっチャイナ 2
流れ流れて その11 何でもありチュウカ,何でもやっチャイナ 3
ご存知のように,この国は共産党のみの一党独裁主義国家。そして共産党は人民解放軍を掌握し,国民選挙制度すらない。
共産主義: goo辞書より
財産の私有を否定し、生産手段・生産物などすべての財産を共有することによって貧富の差のない社会を実現しようとする思想・運動。
マルクス主義で、プロレタリア革命によって実現される人類史の発展の最終段階としての社会体制。そこでは階級は消滅し、生産力が高度に発達して、各人は能力に応じて働き、必要に応じて分配を受けるとされる。
そのような前提知識と共に,この国に一歩足を踏み入れたら,
・・・思わず
「どこがーっ!?」
と,突っ込みを入れたくなるほど,都市部には商店が建ち並び,贅沢品が溢れ,ネーちゃんたちはお洒落を楽しんでいる。
やたら美容院も多く,真夜中まで客で賑わっている。
建築ラッシュで1分歩けば,次の高層ビルの建築現場に出くわす感覚だ。「どれだけ作れば気が済むんだ」と言いたくなる。
思うに
「建前はXXだけど,野暮な堅いことはひとまず置いといて,みんなうまく儲けまひょ」
という思想が,生まれながらにして,この国の人々のDNAに染み込んでいる気がする。
全ての局面において「Negotiable」・・・「交渉次第」なのだ。
この国の人と係わるさいに,これを「ケシカラン」と取るか「話が分かる」と取るかは,その人のしたたかさ次第かと思う。勿論私は後者のほう。
例えば街でカッコイイ装いの見知らぬオネータンに会ったとする。
「洒落てるね。どこで買ったの。教えて」
日本では「ケッ!」と一瞥されシカトされて,足早に逃げられるのがオチだろう。
ところがこの国では,
「気に入ったのなら,売ってあげる。XX元でどう?」
と,早速その場でビジネスが始まる。
もっと凄い例について話そう。
貴方は非常に重要な案件のキーパーソンだったとしよう。ある夜,豪勢な晩餐会に招待されることになった。
接待主から
「ちょっと食事の前にデパートに寄って行こう」
と誘われる。
中心街にある巨大で豪華なデパートに入って行く。そこには若い店員や,センスの良い客のオネータンがいっぱいいる。
その中をそぞろ歩きしていると,おもむろに接待主が
「誰でもいいから,好きなのを選んでください。気に入ったのがいれば遠慮せずに教えてください」
と貴方の耳元で囁く。
貴方は細くすらりと長く伸びた足の綺麗なオネータンの,思いのほかの多さに,きっと驚くであろう。
さて満漢全席ばりのご馳走で満腹,乾杯責めでヘロヘロになって,ホテルのスイート・ルームに戻る。
「あーっ。食った食った。呑んだ呑んだ」
ズボンのベルトを緩め,大きなソファーで一服した頃,ドアが控え目な音でノックされる。
「誰だろう? 今頃」
大きな一枚板のテーブルの上には,財布も携帯電話もある。名刺入れもある。酔った頭で持ち物の記憶を辿るが,忘れ物はない。
不可解な思いと,少しばかりの警戒心を抱きながら,
「なんやねん・・・」
と呟きながら覗き穴に目を当てたしかめっ面が,一瞬にして変る。
ドアを開けると,そこにはデパートで見かけた,モデルばりのオネータンが,少し恥じらいながら笑みを浮かべ立っている。
貴方はただ「ニイ ハオ」と微笑みながら開けたドアを保持するだけで良い。オッサン独りには余りにも勿体ないスイート・ルームが,文字通り「甘い部屋」に様変わりする。これが設計者の意図する本来の使い方だろう。
勿論,「その筋の専門職」のオネータンではなく,見栄えこそ素人離れしてはいるが,ごく普通の生活をしている「小姐」だ。
残念ながら私の体験談ではないが,体験者の一次情報に基づく。
もしこの項をお読みになって感動された,奇特な方がいらしたら,是非遠慮無く私までお申し付けください。
謹んでご接待申し受けます。勿論どんな条件でも呑みます。
今では絶滅危惧種に近くなった「共産主義国家」だが,ロシアも同様。バービー人形のようなオネータンがいっぱい。キューバはもっと凄い。ナンパし放題で商売気は皆無。無償で恩恵に浴することができる。
「共産主義」の定義を見直す時期に来ているようだ。
ここまで考えていたのなら,「マルクス。あんたは偉い」
・・・とここまでは,私以外の「前世で善行に勤しみ,天からそのご褒美を授かった人々」の話。
私のホテルに話を移すと・・・
ロビーは豪華。吹き抜けには椰子の木がそびえ立っている。イブニング・ドレスを着た,綺麗なオネータンがグランド・ピアノを若干詰まりながらも奏でている。
部屋の調度も趣味が良い。
スタンドはイームズの本物。椅子はハーマン・ミラー。
腰痛持ちにはありがたい配慮だ。サイド・テーブルの天板の下にはFAXまで隠されている。
私が泊まれるホテルはたかが知れており,別に馬鹿高い部屋ではないが,ここまでの配慮は他国ではなかなか見かけない。
ここでも
「本当に共産主義国家?」
と訝りたくなる。
御影石の内装に囲まれた風呂に入りながら,湯を注ぎ3分間辛抱したちらし寿司をメイン・ディシュに,イカの揚げ物をつまみに「その他雑酒」ではない「本物のビール」を,ライト・アップされた高層ビル群を眺めながら,流し込めば,小市民の桃源郷がそこには出現する。
対岸には,少し前までは高さ世界一を誇った栓抜き型のビルと,でっかい球が宙に浮いた電波塔が闇に浮かんでいる。
実は少し奮発して本場の中華を味わいたかった所だが,一歩ホテルを出ると,
「オネータンはいらんかえ」
と,しつこく付きまとうニーチャン達が一斉に寄ってくる。
香港は例外として,この国一番のメイン・ストリートを歩けば
「格安ロレックスあるよ。ヴィトンも」
「カラオケ行こうよ」
「彼女いっぱいいるよ」
・・・いくら断ろうが無視しようが,次から次へとまとわりつかれ,うるさくてまともに歩けず,閉口した次第であった。それも数百メートルはしぶとく付いて来る。
Posted at 2011/06/19 23:22:13 | |
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