
G CUP大好きracer 公道朝練 1/3
G CUP大好きracer 公道朝練 2/3
G CUP大好きracer 公道朝練 3/3
「補助輪が外れた頃にまた勝負してやろう」
ミラーの残映に向かって呟いた。
高速巡航に移って間もなく、ミラーに小さな光の点が現れた。
新たな挑戦者だ。光の点は急速に成長し大きくなる。
「今日のバトルはお終いだ」
無用な挑発には乗らずに軽くかわすことにする。ここは公道だ。
傍らをレッド・ゾーンの排気音を残して、猛烈な速度差でオートバイが抜き去って行く。
配り忘れの新聞の再配達を急ぐカブであった。
排気量では実に12倍もの大差をつけているとは言え、決して侮れない相手だ。
その余りにも遅いペースでも、流れを乱すこともなく,早朝トレーニングを終え、ガレージに戻った。途中で出会ったのは新聞配達の原付と牛乳配達の軽トラが全てであった。
車を降りると、植物性オイルの少し焼けた香ばしい匂いを大きく吸い込む。カツ丼専門店に足を踏み入れた時と同じ感覚だ。
「そろそろ替え時か・・・」
と呟くと
「かーちゃん。今夜はえびふりゃーにしてくれ」
と台所の窓越しに,「トン・トン・トン」と軽快な音を立て,絹漉し豆腐と薄揚げを刻む妻に向かって叫んだ。
朝の味噌汁は豆腐と油揚げに限る。
「今度はエビだぞ。お前も豚は飽きただろ」
カエル目の愛らしいボンネットを撫でつつ愛車に話しかけた。
ガレージのすぐ前の道端で,幼稚園バスの到着を待つ若者の目に刻まれた,宿敵のエンブレム「
2CV」の文字が自慢げに,一瞬キラリと光った気がした。
Posted at 2012/11/04 15:06:40 | |
おか | クルマ