
G CUP大好きracer 公道朝練 1/3
G CUP大好きracer 公道朝練 2/3
G CUP大好きracer 公道朝練 3/3
そろそろ良い頃だ。ルーム・ミラーを直しざまに目をやると,いつの間にやらアルミ・フィンとタービンの如き独特のエンジン音を聞きつけ,スクランブル出撃した二輪車がミラーに映る。
血の気の多い近所の若者が跨っている。
「性懲りもなく。またあいつか」
幾度の挑発にも勝利してきたが,日を追う毎にパワー・アップし,テクも向上し差は詰まって来ている。油断はできない。
ウィリーを押さえるべく,ハンドルに覆い被さるように体重を前に掛け,一瞬のスタートの遅れも辞さない態勢だ。
1速に入れ,2度レーシングし,高回転で神経質なクラッチを繋ぐ。
ミシュランの大径ラジアル・タイヤが一瞬スリップするや否や地面を蹴る。タイヤのトレッド幅も、国内では入手困難な常識外れのサイズだ。
間髪入れず後続の二輪車も,さらに前屈みになり前輪荷重を増やすと共に鮮やかなスタートを切った。ライダーの目は大きく見開き,闘志に燃えている。
強制空冷独特のタービン音と共に一瞬で吹け切った1速から,ストロークの短いシフト・レバーを2速に叩き込む。
僅差で後続する二輪車。必死の形相がミラー越しに映る。
フル・スロットルをくれてやると2速も一瞬で吹け切る。3速に叩き込んだ頃には,二輪車はじりじりと離される。
4速に入れた頃にはミラーの中の追尾を断念した二輪車は点となった。さすが欧州の道路で鍛えられた車だ。
これ以上の速度は公道では危険だ。スロットルを緩めると共に心地よい水平対向のビートを刻み定速走行に移る。
勝利の喜びに身をゆだね,値上げに伴い最後の一本となった煙草に火を移した。
「この俺様に勝負を挑むとは十年早いわ」
「まだまだおまえ如き鼻垂れには」
Posted at 2012/11/04 14:34:48 | |
おか | クルマ