
G CUP大好きracer 公道朝練 1/3
G CUP大好きracer 公道朝練 2/3
G CUP大好きracer 公道朝練 3/3
窓の外に朝靄が漂う中,そっと床から抜け出す。一般車との性能差を考えると,楽しむにはこの時間帯しか無い。
無音かつ無駄のない動きで身支度を整え,小用を済ませる。収納後に少し滲むが外から目立つほどではなく結果オーライ,無かったことにする。
昨夜のビール,正しくはその他酒類は「のどごし生」で,入る時は「キレのいいやつ」の筈だが,出る時の切れは悪い。
耳毛と共に年を感じさせる。
ガレージの扉を開け,目玉がカエルを思わせる愛車の軽量ドアを開け,片手で軽く持ち上げすら可能な超軽量シートに身を沈める。
トーションバーが捻られ航空機技術を駆使した軽量ボディーが沈む。
薄いサイド・ウィンドーを開け冷えた外気を流し込む。パワー・ウィンドーなんぞの軟弱装備はない。とりあえず走ることのみに特化した1トンを大きく割る超軽量マシーンだ。
蒼いスパルコのレーシング・グラブにさっと指を通す筈が,穴から出た指を通し直す。サーキットでは,まる1日走ればシフト回数はあっさりと数千回に達する。新品グラブですら1日しか持たない。
ただし使い込んだグラブの穴の拡大と共に,指のタコも逞しく成長するので問題ない。「なら,元々いらんやろ?」はトーシローのほざき,バトル・スーツの1アイテムとして外せない。
指を通す儀式が身を引き締めるのだ。装備の弱点は体の強化で補う,それが「漢」・・・男というものだ。
少し長いクランキングの後,一瞬詰まり「ワンッ」と瞬間的に吹き上がった。ショート・ストロークの強制空冷水平対向エンジンに火が入る。
ガスケットを使用しない,超高精度仕上げのメカニカル・サウンドが精緻なビートを刻み,冷却ファンが高周波を歌う。
比類無き心地よい響きで,無用にレーシングしたい衝動を理性で抑える。
ガレージから滑り出し道路の脇に停車する。今日のコースをイメージ・トレーニングしつつ,往年の超高回転向けエンジン・オイルの王道,植物油の温度が上がるのをしばし待つ。
Posted at 2012/11/05 17:05:19 | |
おか | クルマ