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2012年11月17日 イイね!

トレジャー・ハンター その4  楽器ではなく魂が音楽を奏でる

トレジャー・ハンター その4  楽器ではなく魂が音楽を奏でる 2012年10月に著名な日本人音楽家が、フランクフルトの空港税関でバイオリンの関税を求められ、差し押さえされた話はご存じの方も多いと思う。
結果的には著名人でもあり、日本政府関係からの力で奪還できたが、俗世間の決まりごとにはあまりご関心が無かったのかも知れない。
本来はカルネ=日本に持ち帰り前提の一時輸出手続きをするのがベターだったのではと思う。驚くのはそのブツが評価額6億円のストラデイバリウスで、しかも日本の音楽財団からの借り物だったとのこと。つくづく女性は度胸があると思う。

 20%の関税を求めた税関職員は、日本のメデイアや民衆から叩かれているが、彼らにしてみれば規定通りの職務を遂行したに過ぎない。それに彼女はドイツ在住でもある。外交官特権というものはあるが、芸術家特権というのは多分なかったと思う。

 確かにドイツのお役人は、生真面目で杓子定規でネチネチとしつこく、私も痛くもない腹を探られて、不愉快な経験をしたことがしばしあった。
ある地方国際空港にて、乗客全員が別室に連れて行かれ、手荷物を爆薬検出器で入念に調べられたこともある。
 考えようによっては、そのクソ真面目さと熱心さで、安全性や公平性が担保されているともとれる。むしろ美点として褒めてあげるべきかも知れない。

 ドイツ入国時には現在では430ユーロ(現時点。ただし規定はコロコロ変わる)を超える物品には、必ず申告が必要となる。短期間でドイツ国外に持ち帰る物は、カルネの手続きを、予め出発国にて済ましていれば免税となる。ビジネスマンで最新型のパソコンやデジカメを持ち込む方は要注意だ。転売価値が高いので、無申告だと密輸と見なされ、揉める要因になる。
カルネは自分の車やバイクで海外旅行する人にとっては、当たり前の前準備だが、楽器という手軽さが失念させたのだろう。

 今回のバイオリンの件ではカルネ発行の保証料と手数料合わせて、総額20万円前後だろう。日本で発行したカルネの書類を携え、申告レーンを通れば問題にならなかった筈だ。
もし私なら、超高額な借り物なら、ビビッて慎重すぎるほどの下調べと手続きをすると思う。その前に怖くて借りないとは思うが。

 その2ヶ月前の2012年8月にも同様のケースで、日本音楽家のガルネリが没収され、国を動かして取り戻したばっかりだったのも、ご存じだった筈だと思うが。貸し出した財団も、貸し出し条件に手続きも含めるのが安全かと思う。保険も重大な過失時には無効になる。


 余談だが、以前ある腕の良いバイオリン職人のお話しを聞いたことがある。勿論その方の作品は素晴らしく、評判も良い。

「失礼だがストラディバリやガルネリを越せると思うか?」

「絶対無理。私が作ったバイオリンも、やっと本当に良い音を出せるようになるのは、150年経ってから。最低そのぐらいの月日が必要だ」

とのこと。ルネッサンスの名画と同じで、名声と価値が上がるのは作者の没後。金銭的な恩恵に浴せるのは、都心に立派な店を構える楽器商と画廊というのも、なんだか少し虚しく悲しい。


・・・で、ここで本題に入る。

打って変わって安価な楽器で、最近鳥肌が立った例。



偶然見かけたのだが、ダイナミックな演奏に鳥肌が立った。荒削りな面もあるが、そんなことを吹き飛ばすだけの魅力がある。
キーボードのブランドが「CASIO」なので、
「ん? 最近またプロ用に手を出始めたか?」
と一瞬思ったが、そうではなさそうだ。ハード的な音自体はショボイ。それを魂の演奏で吹き飛ばしている。

少し調べたところ、ヤフオクで5千円で買った中古のキーボードとのこと。もちろんプロ用ではない。
不遇な少年時代を過ごし、家族が住むところを無くし、野宿生活の経験もあるとのこと。
 上辺ではなく哀愁に満ちあふれた演奏も、そういった今までの辛い万感の思いが、聞く者にも実感として伝わって来るのかも知れない。



ピアノは独学で憶え、もちろん楽譜なんぞ買える余裕はない。全て耳コピで体で憶えていらっしゃる。
できることなら篤志家が付いて、角を矯めて牛を殺さない音楽教育が受けられたら、きっと日本の宝になると思う。


 次のは友人の結婚式に招かれて、その場で出会ったバイオリン奏者と、即興で演奏したと思われる例。これもコンサート用のキーボードではないと思われる。
演奏者と参列者の祝う気持ちが、何とも言えない暖かさを醸し出している。予期せずして途中から入ったオッサンのコーラスが、これまた実に良い。



もちろん楽器は良い物に越したことはないが、ショボイ楽器でも演奏者の人柄と魂が籠もってさえいれば、時には音源が何ビットやへったくれ等々、道具なんぞどうでもよくなるほどの、揺さぶりと感動を与えてくれる。
 このピアノのオッサンが世に知られるようになったきっかけは、ほんの偶然だった。小さな田舎町にあるたまたま通りかかったピアノ店に入り、「少しだけピアノの練習をさせて欲しい」と、店主に頼んだことによる。
演奏を聴いてぞっこん惚れ込んでしまった店主が、音楽ビデオの作成を勧め、それがようつべで注目されるようになった。

前出のニーチャンを含め、お二人とも「友達がスタインウェイを買ったので、自分専用のを、ボストンにするかスタインウェイにするかで、深刻に悩む8才女児」とはかけ離れた生い立ちで、「世界XXコンテスト グランプリ」とか言った勲章の類とは無縁で、陽の当たる音楽家街道を歩んで来た人達ではないが、奏でる調べは心の襞に染み渡り、細胞の一粒一粒を震わせてくれる。

「楽器ではなく、魂が音楽を奏でる」

と思う。

そんな時、全身に鳥肌が立ち、なぜだか目から汗がこぼれる。


All of Me written and played by Jon Schmidt

補足:
写真にあるストロー奏者は、神谷徹氏。縁有って、私も生で聴かせて戴いたこともあるが、この方も聴衆の涙をそそる達人だ。もっとも感動ではなく笑いすぎてだが。
「町の発明おじさん」と思われがちだが、ちなみに本業はプロのリコーダー奏者で、音大の先生でもある。自称本業と他称本業との境界線が滲んではいる。

スタインウェイ(グランド)の価格は最廉価モデルでケイマンぐらい、上でGT2ぐらい。私も8才の頃、ヤマハにするかカワイにするかで悩んだことがある。結果は有無を言わさず廉価なカワイ・ハーモニカだった。

例として、
「ラフマニノフ練習曲作品39の1 10小節目の高音のフォルテ」や
「ラフマニノフ練習曲作品39の1:44小節目や、作品39の9:18~21小節目の不気味な低音」
はスタインウェイのB以上もしくは、5年以上弾き込んだボストンでないと、容易には出せない。他メーカーや他モデルでは実質不可能。・・・だそうです。

ということで、ボストンなら音が出る前に下取りなので、ケイマンスタインウェイのBに決定。一般的には音大の院を出るまでに2台弾き潰すので、次期戦闘車両はGT2スタインウェイのDに決定。車と違いこのクラスになると下取り価格は高い。

 半ばやっかみとも取られかねない、勿体ないという意見もあるが、私はそれが許される環境なら、幼少の頃より一流の道具に慣れることは、やりようによっては強みにすら成り得ると思う。スタインウェイは下手さもスケベ心も邪心も全てさらけ出してくれる。・・・だそうだ。
将来、演奏会場のはスタインウェイとは限らないとの意見もあるが、ホロビッツのように、自前のピアノを担いで世界中を飛び回る生業を目指せば良い。
 恵まれた環境なら、それを最大限に生かして、その中でベストを尽くせば良いだけの話しだ。もちろん自分が別格で偉いと勘違いして、他を見下すといった下品な真似は身に付けずに。

それにしても8才にしてこの見識。大人顔負けの論理構成と文章力。将来が楽しみだ。

・・・で、
「そういうオマエは?」
当然ながら、昔々秋葉で値切って買った、庶民の味方、世界に誇るそろばんブランド、CASIO。

ボリュームの抵抗膜が腐って、音量が最小か最大かの二択という、潔い漢らしさ。
フォルテはキーが下にネチョッとへばりついて、しばらく上がって来ない「オート・サステイン300ms」機能装備。ラフマニノフは弾かないので痛痒は感じない。ぞうさんを弾くのには何らの問題もない。
Posted at 2012/11/17 19:10:34 | コメント(0) | トレジャー・ハンター | 音楽/映画/テレビ

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好奇心の塊で物事を知れば知るほど己のアホさを知る,通りすがりのオッサン。
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