流れ流れて その1
流れ流れて その3 ロッテのガム
流れ流れて その5 終着駅と防人
それは突然だった。
激しく警笛を吹きながら凄いスピードでリーダーが先陣を切る。
それに密着して先頭集団が風を切る。時速30km以上は出ていそうだ。
一通り高速集団が通り過ぎると,徐々に速度は落ち,のどかな集団に変遷していった。
老若男女は勿論のこと,乳母車を押しながらもありだ。
日曜日の午後とは言え,この国きっての繁華街でのことだ。
一体どこまで続くのか,延々と続きしんがりは全く見えない。
運動会の行進を遙かに凌ぐ人数だ。それの優に数倍はある。
ざっと少なく見積もって3千人ってところか。
この光景がすでに10分以上は続いている。
当然ながら全ての通行車両は足止め。長い渋滞の列がすでに出来上がっている。
通行人とて道路を横断する隙すら全く見い出せない。
でも顔を顰める野暮な通行人は1人とていない。
むしろ囃し立て声援を送っている。それに応えスケーター達は,手を振り嬌声をあげ,愛嬌を振りまく。
異邦人である私は,ただただ,あっけに取られ,口をぽかんと開き眺めているだけだった。でも何だか楽しくなり,自然と笑いがこみ上げて来た。
最後は警察車両の締めくくりで終わり,それまで信じられないほど大人しく待っていた,ドライバー達は,1月1日午前0時のごとく,一斉にクラクションを鳴らし集団に対してエールを送る。警察車両もそれに応え,拍子を取りながら,おどけた調子でサイレンを鳴らす。
人間は楽しむために生まれて来たもの。どれだけ楽しめたかが,人生の価値。
そして他人の楽しみ・幸せは己の楽しみ・幸せ。
この思想が組織と個に染み渡っており,国を,企業を,そして学校を挙げて実践されている。
・・・対してかの国では・・・
人間は苦しみ耐えるために生まれて来たもの。どれだけの理不尽かつ無意味な辛酸を甘んじて受け,苦労を重ね,不幸に巡り会い,それに耐え,それを克服したかが,その人の価値を決める。不幸と迫害の数は勲章の数。
そして他人の楽しみ・幸せは断じて許さん・ケシカラン。叩きつぶしてやる。
楽しむのは来世に行ってからで十分。
この思想が組織と個に染み渡っており,国を,企業を,学校を,町内を,そして家庭を挙げて実践されている。
Posted at 2009/05/27 13:29:16 | |
流れ流れて | その他