流れ流れて その1
流れ流れて その4 オペラ座の怪集団
流れ流れて その6 D-Day
先の閉ざされた「錆びたレール」と「防人」,人生に半ば行き詰まり流浪と流転の旅を続ける私にとって,これほど相応しいものはない。
文字通り,終着駅に来てしまった。
途切れたレールの端に立った赤丸の看板が,まるで
「アンタにゃ,この先はないヨ。明るい未来も」
と私に語りかけているようだ。
辿り着いた第一印象
「・・・えらい所に来てもた・・・」
ご存知の方も多いだろうが,ちなみに「防人」とは消防署の人のことではなく,「さきもり」と読み早い話が国境警備隊。
当然ながら街からは遠く離れたうらびれた地が,必然的に防人の居場所となる。
「あの世に行けば,かくもこのような風景だろう」
と呟きながら,荒涼とした小径を進んでいると,突然張り巡らされたワイヤーに行く手を阻まれた。
「入ってみいぃ~~。撃ち殺すぞ,オドリャ~~」
の看板かと思ったが,銃口がこちらを向いているわけでもなく,看板を書いた人間の殺意が感じられない。何しろ最初は猟師のおっさんかと思ったぐらいだ。
砂地に打ち込まれた柱にワイヤーは直接固定され,電気的に絶縁する碍子もなく,通電されていないようだ。
仕事で来たとはゆえ,さっぱりこの地の言葉「にも」疎いが,看板をしげしげと眺めると,どうやら・・・
「ランプが点灯中か,球体が掲揚されている時は,千客万来じゃなくて,入っちゃダメ! 弾着のレンジ内だよ。この辺りで落ちている物に,(私の大好きな)お触りはおろか,お持ち帰りもダメ! 大変なことになるアルヨ」 (注:一部脚色有り)
と書いてあるらしい。
「入っちゃダメ」は「この先ワクワクするものがあるヨ」と同義語である。
もちろん「(肌と肌の触れ合い密着草の根)外交官特権」として,何事も「一線を越える」のを常とする私は,境界線を越えて行った。
弾頭や不発弾でも転がっているかと,多少の期待は持ったが,・・・空薬莢はおろか,何もなかった。
観光目的でなく,「この方面らしい」という情報のみで,何とか辿り着いたこの地だが,偶然,軍の射撃訓練区域にも辿り着いてしまったようだ。
やっぱり
「・・・えらい所に来てもた・・・」
Posted at 2009/02/03 04:41:12 | |
流れ流れて | 日記