
以前から気になっていたジャガーのDセグメントセダン"XE"にようやく試乗する機会を得ました(^o^)
TV番組の「カーグラフィックTV」や「岡崎五朗のクルマで行こう」でも、XEは高評価のスポーツセダンでしたので、Cクラスや3シリーズ、A4と比べてどんな仕上がりなのかとても楽しみでした。

訪れたのはジャガー・ランドローバー(JLR)名古屋中央で、栄エリアの中心地にあるので大須からも栄のデパート街からも歩いて5〜10分程度の場所にあります。ディーラーの入居しているビルはかつてヤマダ電気だった建物とのこと。
でも、クルマのディーラーは幹線道路に面した郊外にあった方が良いですね。なぜって、都心にあるこのJLRディーラーには来店客用の駐車場が店舗敷地内になく、少し離れたところのコインパーキング(名鉄協商)を専用Pとして急ごしらえしているし、週末にもなれば、周辺の若宮大通と大津通は大渋滞するから、専用Pへクルマを駐めるのに相当な時間がかかりそうですからσ^_^;
また、サービス工場がクルマで5分程かかる場所(高辻)に離れていることはNGですね。
ショウルームは、それ程ゆったりはしてないけれど、ジャガーが5台、ランドローバーが4台が所狭しと展示されてました。そこそこラグジャリーで上品な雰囲気はあるけれど、予想以上に気軽に入れるディーラーでした。オープンしてからまだ1年くらいと新しさもあります^o^

ショウルームの一番目立つ場所に、新型SUVのF-PACEが展示されていました。
まさにジャガー顔のSUVですね〜〜フルLEDヘッドライトは文句無しにカッコいいです!
さて、本題のXEですが車両本体価格が477万円〜769万円という価格レンジで、最もベーシックなグレード"Pure"が2.0ℓガソリン仕様、最も高価なグレード"S"が3.0ℓ V6ガソリン仕様です。スタートプライスはライバルのCクラスや3シリーズをかなり意識して、挑戦的ですよね!?でも、まあオプションをいろいろ付けていくと、2.0ℓガソリン仕様では600万円近くにはなりそうですが(*^^*)

手前がXEで、奥がXFです。外観はよく似ていますが、真横から見るとリア周りのデザインが大きく違うことが分かります。XEはオーソドックスな4ライトキャビン、XFはリアサイドウィンドウにピラーがなくリアクォーターウィンドウを配した6ライトキャビンです。
XEの最大の注目は、ジャガーが独自に新開発したディーゼルエンジンのINGENIUMでしょう!

今回試乗をしたのは、2.0ℓディーゼル仕様の"Pure(497万円)"と2.0ℓガソリン仕様の"Prestage(515万円)"の2台でした。XEのディーゼルとガソリンエンジン仕様を乗り比べしたわけです。
ディーゼル仕様の180ps/430Nmに対して、ガソリン仕様が200ps/320Nmです。どちらも街乗り中心なら必要十分なパワースペックですが、試乗して感心したのはディーゼルエンジン仕様の方でした。アイドリング時からディーゼル特有の振動やカラカラ音がほとんど聞こえてきません。

タコメーターのレッドゾーンが5000rpmからなので、実用上エンジンは4000rpmくらいまでしか回せませんが、低回転域から十分以上にトルクフルだからアクセルペダルを大きく踏み込むシーンは街乗りではほぼないでしょう。以前、試乗したボルボのD4ディーゼルエンジンも好印象で、Cセグハッチバックの軽量なV40のボディーには過剰な程のパワー感とトルクで力強い走りが気持ち良かったですが、ディーゼル特有のカラカラ音や振動を感じることがありました。その点、ジャガーのINGENIUMディーゼルはかなり静粛性が高く、クルマにあまり関心の無い人にはガソリンエンジンとの違いは全く分からないかもしれません。
一方の2.0ℓガソリンエンジンはというと、良い意味でも悪い意味でも平凡でした。数値上のスペックは200馬力あるので街乗りは十分だと思いますが、XEの車重は1,600kgと重いので、軽快感のある走りは出来ませんね。だから試乗の際、交差点を左折した後はいつもアクセルペダルを多めに踏んでしまいましたよσ^_^;
ちなみに、このガソリンエンジンはフォード製でジャガーのオリジナルではない様です。最近の平均的な2.0ℓターボチャージド・ガソリンエンジンのスペックですが、同じ2.0ℓガソリンエンジンならBMW320iの方が、断然軽快でレッドゾーン近くまで気持ち良く回せるエンジンでしたよ。
というわけで、現時点のラインアップでXEを検討するなら、ジャガー・オリジナルINGENIUMディーゼルエンジンを搭載した仕様を選ぶべきですね!
その他、XEの良かった点、悪かった点を項目別に整理してみました(*^^*)
◉エクステリア
メルセデスともBMWとも違うデザインテイストです。見れば見るほど味の出る美しいルーフラインが特徴のフォルムは、ロングノーズと相まってどこか古典的な雰囲気を感じさせるデザインです。

デザインのためだけの無駄なプレスラインがなく、洗練されたカッコ良さがありますね!
フロントライトとテールライトのデザインは、最新ジャガーのアイデンティティを反映しています。
尚、フロントウィンカーが今時電球だったことには正直がっかりしましたよ〜〜LEDのポジションライトはJ字型シェイプでかっこいいだけに残念です。ロービームはキセノンライトで実用的なのですが、できれば上級車種のXFのようなフルLEDヘッドライトをオプションで設定して欲しいです。
✔︎XEのヘッドライトユニット(内側の丸型ライトがウィンカー)

✔︎XFのヘッドライトユニット(フルLED)
◉インテリア
グレード次第で豪華にもできるみたいですが、ジャガーに乗るならレザーシートは必須でしょう。最廉価グレード以外は、ハーフレザーもしくはフルレザーシードが装備される様です。

ダッシュボードやドアトリムの造形は凝ったデザインになっており、好みが別れるかもしれませんが無駄がなく機能的で悪くないと思います。
でも、樹脂性ソフトパッドとハードパッドの使い分けはあまり上手とはいえず、手触りを含めて素材はチープに感じました。上級グレードを選べば、ダッシュボードには合成皮革が貼られ、パーツの継ぎ目にはステッチラインが入る様なので、チープ感はなくなると思います。残念ながら、試乗したガソリン及びディーゼルエンジンのグレードは両方ともダッシュボードやドアトリムはチープ感が否めませんでした。

一方、センターコンソールはピアノブラック塗装された樹脂パーツが使われており、ぱっと見は上質感はありますね。ジャガー独特のシフトダイアルは、エンジンONとともに浮き上がってくるタイプで素材・デザインともかっこいいです。
ただし、ナビ周りやエアコンのボタン・スイッチ類がゴチャゴチャしており、プラスチック丸出しの国産大衆車レベルの質感はマイナス点です。さらに、エンジンスタートボタンの素材が非常に安っぽくて、ピアノブラックのセンターコンソールの雰囲気を台無しにしています。

そうそう、全グレードに標準装備されているナビゲーションはなんと時代錯誤的なDVDなんですよ〜〜これは完全にNGです。
でも、MY2017モデルからは、XFや新型SUVのF-PACEと同じSSDナビになる様です。
◉乗り心地
何といっても、しなやかな足回りで乗り心地は良かったです。試乗した2台は、ガソリン、ディーゼル仕様とも特段スポーティーなグレードではないのでサスペンションの設定は標準だと思いますが、路面の凹凸を滑らかにいなしてくれました。猫足という表現は適切ではないかもしれませんが、17インチ55扁平タイヤとの組み合わせも功を奏していて、柔らかめで上品な乗り心地は、プレミアムセダンに相応しいです。

個人的にはもう少し引き締まったドイツ車的な足回りが好みなので、オプションで18インチタイヤと組み合わせるのがベストでしょう。
◉トランスミッション
8速トルコン式ATは、変速ショックがなくとてもスムーズです。ディーゼルエンジンともガソリンエンジンとも相性は抜群でした。
やはり、プレミアムセダンにはDCT(デュアルクラッチ式)ではなくトルコンATの方が相応しいと思いましたよ。
ちなみに、この8速ATはドイツZF社製ですので信頼性は高いですね!
◉ハンドリング
やや小径なレザー製ステアリングはスポーティーな雰囲気があり、電子制御パワステは軽めであるがクイックなステアフィールでコーナリング時のノーズの回頭性は悪くありませんね。
高速走行をする際は、もう少しドッシリと重めのステアリングの方が安心できるかもしれません。走行モードをスポーツモード(ダイナミックモード?)へ変えるとちょうど良い感じでした。
◉総評
ドイツ御三家のDセグ・セダンは街中で多く見かけるので、とにかく他のクルマとかぶらないプレミアムゼタンに乗りたいなら、ジャガーXEは有力な選択肢になると思います。
ジャガーといえば、どうしてもメルセデスSクラスに相当する超高級セダンのXJや、スポーツカーのFタイプをイメージしてしまいますが、世界マーケットで競争が激しいDセグメントのXEが投入されたことは喜ばしいことです。ベースグレードの価格を下げるため、コストダウンをしている箇所は散見されるものの、外観デザインや乗り心地だけで選んでも後悔しないプレミアムセダンだと思います。
フォード傘下からインド・タタモーターズ傘下になってからのジャガーは、新車開発の資金にもゆとりができたのでしょう。
同様なケースで、フォード傘下から中国・吉利控股集団の傘下に入ったボルボも近年は勢いがありますからね。
試乗した後に、ディーゼル仕様の「XE 2.0D INGENIUM Rスポーツ」の見積書を作成してもらいました。もともと装備は充実していますが、いくつかオプションを追加しています。

このブルーファイヤーというカラーは、XEアンバサダーを務める錦織圭のイメージカラーですね!
メタリックペイント・ブラインドスポットモニター・プライバシーガラス・ボディーコーティング等のOPと諸費用込みの総支払金額は620万円です。ディーゼル仕様なので取得税と重量税がゼロとなりますが結構な価格になりますね。