過去幾多の名馬が勝ち名乗りをあげ、現役最強への階段を登っていった春の楯。「弱きものは去れ」春の楯にはそんな言葉がよく似合う。天皇賞(春)はもっとも大好きなレースなので過去11年くらい回顧してみます。
98年1着メジロブライト(ND系)2着ステイゴールド(SS)3着ローゼンカバリー(SS)
メジロブライトはクラシックは無冠に終わったものの、暮れのステイヤーズSで才能開花、前哨戦の阪神大賞典でライバルのシルクジャスティス下し差のない2番人気。超がつくスローペースのなか、名手河内洋を背に直線力強く抜け出し重賞4連勝での楯。父メジロライアンの雪辱を果たし、メジロの名を春の楯に刻むも、これが最後の「長距離のメジロ」。2着ステイゴールドはここから長い旅が始まる事になり、夏の阿寒湖特別を出世レースにしたのもこの馬。1番人気シルクジャスティスは力を出し切れず4着、スランプに入ることになる。
99年1着スペシャルウィーク(SS)2着メジロブライト(ND系)3着セイウンスカイ(異系)
ダービー馬スペシャルウィークは菊花賞をセイウンスカイ、JCを同期のエルコンドルパサーに完敗、屈辱にまみれるも年明けからAJCC・阪神大賞典を連勝し1番人気でここへ出走。道中は前に菊花賞馬セイウンスカイ、後ろに前年の王者メジロブライトの厳しい展開、4角で早くもセイウンスカイを捕らえ、ゴール前追いすがるメジロブライトを抑えて重賞3連勝での楯。4着シルクジャスティス5着ステイゴールド6着ローゼンカバリー、名実ともに現役最強へ再び名乗りを上げる。
00年1着テイエムオペラオー(ND系)2着ラスカルスズカ(ND系)3着ナリタトップロード(SB)
皐月賞馬テイエムオペラオーは前年の有馬記念の内容の濃い3着、間違いなく中心になる存在として期待通りに京都記念・阪神大賞典を連勝し1番人気。菊花賞馬ナリタトップロードが直線早めに抜け出したところへ満を持して追い出して交わし、後方から伸びてきたラスカルスズカをおさえて重賞3連勝での楯。この後重賞8連勝、年間無敗で年を終える。ナリタトップロードはこの後3年続けて3着、名ステイヤーとなれる力はあったものの、強い相手に恵まれすぎた。
01年1着テイエムオペラオー(ND系)2着メイショウドトウ(ND系)3着ナリタトップロード(SB)
前年無敗のテイエムオペラオーが前走の大阪杯でまさかの4着、メイショウドトウは日経賞、ナリタトップロードは阪神大賞典を快勝し王者に死角ありの声も1番人気。雨の中、前年に続きナリタトップロードが先にスパート、前年の再現をみるようにゴール前で差しきり、追い上げてきたメイショウドトウを振り切って2年連続の楯。これを最後にテイエムオペラオーはゴールを先頭で切る事はなく(京都大賞典は繰り上げ)、5度目のワンツーの2着メイショウドトウは宝塚記念で悲願を達成するも、そこで力を使い果たす。ナリタトップロードは雨に泣いた。
02年1着マンハッタンカフェ(SS)2着ジャングルポケット(TB)3着ナリタトップロード(SB)
前年の菊花賞馬にして有馬記念も制したマンハッタンカフェ、前走日経賞で不可解な6着から人気をさげ2番人気での出走。1番人気は阪神大賞典連覇のナリタトップロード。そのナリタトップロードが3度目のロングスパート、ほぼ同時にマンハッタンカフェが力強く伸び、前年のダービー馬ジャングルポケットを抑え先頭でゴールを駆け抜け復活の楯。ちなみに阿寒湖特別勝ち馬。この後凱旋門賞へ挑戦するも敗退後、故障で引退。ジャングルポケットは爪に不安を発症し、その後秋2戦を未勝利で引退。ナリタトップロードは天皇賞(秋)で最後のチャンスを迎えるも、シンボリクリスエスの前に4度目の涙。
03年1着ヒシミラクル(SB)2着サンライズジェガー(RS)3着ダイタクバートラム(SS系)
前年の菊花賞を10番人気で勝ったヒシミラクルはその後3戦大敗で誰もが菊花賞はフロックと思った7番人気での出走。直線抜け出した1番人気ダイタクバートラムを競り落とし、リアルシャダイの仔サンライズジェガーの強襲を凌いで復活の楯。続く宝塚記念でもシンボリクリスエスらを下し、秋の京都大賞典ではタップダンスシチーとデッドヒートを繰り広げる。蓋をあければこの馬が一番強かった。ダイヤモンドS、日経賞を連勝してきたイングランディーレは中途半端なレースで9着に沈む。刺客となりえた馬は翌年名手を背に、切符のいいレースを魅せる。
04年1着イングランディーレ(ND系)2着ゼンノロブロイ(SS)3着シルクフェイマス(SS系)
前年の天皇賞敗戦後、ダートの長距離重賞を使われ続け、前走ダイオライト記念2着からの出走は10番人気の低評価。スタートして先手を奪うとひたすら平均~スローでマイペースへ。直線も後続を寄せ付けず7馬身差の圧勝の楯。その後、欧州伝統のマラソンレース英ゴールドカップ芝4000に挑戦するも9着。その後はダートへ再び転戦んするも故障を発症し、力は戻らず。1番人気リンカーンは見せ場なく13着、最後までもだえ続けることになる。2着ゼンノロブロイは力は示すも現状パンチ不足。秋になったときにそのパンチは超ド級の破壊力。
05年1着スズカマンボ(SS)2着ビッグゴールド(BT)3着アイポッパー(SB)
3歳時に朝日CCを勝ったのがあるくらいのスズカマンボ、菊花賞は2着さほど差のない6着もここでは買えない13番人気での出走。小雨の中、ビッグゴールドが引張る展開、直線馬群を捌いて抜け出しあれよあれよと先頭でゴール。2着に人気薄のビッグゴールドが残り波乱の楯。一番リンカーンは追い上げ届かず、またもや馬群に消えた。本命不在、実力馬不在の波乱含みのレースで5着ハーツクライの覚醒は秋以降になる。
06年1着ディープインパクト(SS)2着リンカーン(SS)3着ストラタジェム(SS)
前年無敗の三冠馬となったディープインパクト、有馬記念でハーツクライに初めての敗戦をきっするも、前哨戦の阪神大賞典を楽勝し断然の一番人気。いつも通り後方から進め、三角から捲くるとあっという間に直線先頭で後続を突き放してレコードタイムで圧勝。四年ぶりに最強の証となる楯。史上最強への階段を登るかと思えたが、宝塚記念を制し挑んだ凱旋門で三着もドーピングで失格。ようやく力を発揮したリンカーンは相手が悪い。3着ストラタジェムもSS産駒で初の123フィニッシュ、SS時代の集大成となる。
07年1着メイショウサムソン(ND系)2着エリモエクスパイア(MP系)3着トウカイトリック(MP系)
前年皐月賞・ダービーを制した二冠馬メイショウサムソン、秋は惜敗続きも前走産経大阪杯をらしい競馬で勝って2番人気で出走。ハイペースから三角で一気にペースアップ、ゴール前団子状態の混戦から頭一つサムソンが抜け出したところがゴール。まさにサムソンの真骨頂、秋の雪辱を果たし飛躍へと向かう楯。2着3着ともに初めてミスプロの血をもつ馬が入り、時代の流れを思わせる結果となる。ステイヤーズS・阪神大賞典を連勝して望んだ1番人気アイポッパーは昨年に続いて4着、展開か自力かナリタトップロードにややかぶる。
08年1着アドマイヤジュピタ(ND系)2着メイショウサムソン(ND系)3着アサクサキングス(ND系)
遅れてきた大物アドマイヤジュピタ、前走阪神大賞典で距離不安を払拭し3番人気での出走。スタートでまさかの出遅れ、長距離とはいえGⅠでは致命的なミス。ホクトスルタンがよどみないペースで引っ張り、1番人気アサクサキングスが直線で抜け出しにかかる。2番人気メイショウサムソンが外から突き抜けかけたさらにその外から、後方で脚を溜めたアドマイヤジュピタが並びかけ頭抜け出したところでゴール。秘めたる才能開花の楯、鞍上岩田の腹をくくった好騎乗も印象的。レースに絡んだのは4着のホクトスルタンまで、見ごたえ十分の好レースもアドマイヤジュピタはその後調子を崩して引退、アサクサキングスは不振、メイショウサムソンも勝利を挙げることなく引退する。