「愛の国から幸福へ」
このキャッチフレーズ
私と同年代なら覚えている方も多いでしょう。
縁起切符の元祖ともいえる
「愛国から幸福行」の切符で有名になった
旧国鉄広尾線の幸福駅。
広尾線廃止間近の冬のある日、訪れた。
新幹線~特急はつかり~青函連絡船~特急北斗~特急おおぞら
と乗り継ぎ広尾線へ。
ほどなく愛国そして幸福に到着した。
幸福駅
ローカル線の無人駅によくあるたたずまい。
鉄道ファンらしき姿がちらほら。
ホームの端から端を歩く。
雪かきされずに残った雪がギシギシなる。
ディーゼルカー特有の油の匂いがほのかににおう。
ローカル線ならではのにおい、私は好きだ。
静寂をもとめてホームの端に佇む。
鉄道ファンが去ると
乾いた冷たい風の音だけに駅は包まれた。
「幸福って何?」
当時彼女と別れたばかりの私は柄にもなくはしばし考えた。
「何で別れたんだろうな」
いろいろな思いが頭の中を巡る。
もう終わったこと。
何をどう考えてもしようがない。
無力感を感じる私を
幸福駅はやさしく見守っていた。
小1時間たっただろうか。
そろそろ帯広空港に行くか
そう思ってまわりを見回したが
バスどころかタクシーもいない。
ローカル線じゃあたりまえ。
歩いていくか
そう思ったときカメラを持ったおじいさんに話しかけられた。
幸福駅の写真を撮りに来た地元の方だった。
しばし話をした後、
空港まで車で送ってもらえることになった。
雪原を走る車。
空港までけっこう距離がある。
ここを歩かなくて良かった。
飛行機に間に合わないどころか
迷子になって樹氷になっていたことだろう。
空港ではおじいさんが北海道の話をたくさんしてくれた。
今度は家に遊びにおいでとも言ってくれた。
素敵な方との出会い
人のやさしさ幸福に出会えた、
今でも心に残る旅である。
その後
おじいさんとは年賀状のやりとりをしていたが
8年くらい前、亡くなられた。
再び会ってお礼を言うことはできなかったが、
また「幸福駅」を訪ね
心の中でお礼を言いたい。
Posted at 2006/11/21 20:01:41 | |
トラックバック(0) |
プラっと一人旅 | 旅行/地域