日産、出荷前の完成検査を未認定者に任せる…影響は6万台+過去3年間の全車種に
29日、週末金曜日の19時、開催予告から開始までわずか1時間足らずというあわただしい中で、日産自動車の会見は始まった。
「販売会社の在庫車の登録手続きを停止する決断をしました。これは国土交通省の立入調査があり、車両製造の最終である完成検査工程で一部不備があったことによるもの」(広報担当・濱口貞行部長)
公道を走るためには車検を受けなければならない。完成検査は、その“ゼロ回目の車検”に当たる。組み上がった完成車に対して、検査員が規定の検査をして完成検査終了証を発行することで、初めて販売会社に卸すことができる。ユーザーが新車を手にするのは、その後に運輸支局や検査登録事務所で新規登録をしてナンバーを付けた後だ。
日産はこの“ゼロ回目の車検”でミスをした。完成検査を補助検査員に任せていたのだ。この検査は社内で経験と研修を通った検査員が行わなければならず、日産では完成検査員と呼び、認定されたことを示すバッジを身に付けている。完成検査員はそれぞれの自動車会社が自社で認定すればよいが、公道を走るための基準に適合しているかどうかを検査するわけだから「検査に必要な知識及び技能を有する者のうち、あらかじめ指名された者」と、国交省が通達で定めていた。
9月18日、生産拠点の1つである日産車体湘南工場に立ち入った国交省職員の指摘で、日産は「初めて知り」確認を行ったところ、追浜工場、栃木工場、日産自動車九州の同社3事業所と、日産車体、日産車体九州の関連会社で、認定を受けていない補助検査員が検査を行っていたことが分かった。
「検査自体は行っている。補助検査員も検査員として働いているし、安全性は問題ない。ただ、登録前の車両は(制度上)その確認ができていないということになるので、それを確かめて再出荷する」(トータルカスタマーサティスファクション本部・杠直樹エキスパートリーダー)とするが、国交省が指摘した18日までに前記5つの生産拠点にある出荷前のすべての未登録車両は約6万台。そのすべてを正規の完成検査員で再検査することになった。登録を止めたというより、「完成検査の確実な実施を確保するように業務体制を改善すること」という国交省の指摘を前に、登録できなくなったというに等しい。
補助検査員が検査を行っていた可能性のある車両は、軽自動車を除く、日産が国内販売するすべての車両に及ぶ。
影響は今後、すでにナンバーを取得して走っている日産車でも及ぶ可能性がある。まだ1回目の車検時期が到来してない新車、つまり2014年9月以降に新規登録を行った車両についても再検査を行う必要性が出てくるかもしれないのだ。同社では補助検査員が完成検査員の肩代わりをしていた実態をつかみ切れていないからだ。現在、同社が過去にさかのぼって完成検査票に残された検査員を確認中で、今回の会見では明らかにされなかった。
「リコールのルールに基づいて、可能性のある車両はすべて行う」(杠氏)と話すが、全容も見えず、その具体策は未定だ。
日産、完成車の登録を取り消す---検査工程で不備
日産自動車(西川廣人社長)は29日19時、国土交通省で会見し、完成車の登録を取り消すと発表した。軽自動車を除き、販売会社にある日産車の在庫の登録手続きを一時停止する。
製造の最終段階である完成検査工程で、一部の項目に不備があったため。生産工場である追浜工場、栃木工場、日産自動車九州と日産車体、日産車体九州で、同社が認定する検査委員が検査を実施していなかった。検査は実施していたという。
「きちんと検査されていなかった車両が登録され続けるということは不適切と判断した」(同社担当者)
日産の検査不備…再検査を行う生産拠点と、リコールの可能性がある車種
日産自動車は29日、出荷前の車両の完成検査を未認定者が行っていたことを発表した。同社と立入検査した国土交通省によると、その拠点は以下のとおりだ。
・日産自動車(追浜工場、栃木工場、日産自動車九州)
・日産車体(湘南工場、京都工場、日産車体九州)
出荷前の検査は、自動車会社が自主的に決めた検査経験や知識を持つ検査員が行わなければ、検査を完了したことにはならない。国交省はこれを通達で定めてはいるが、保安基準に適合しない車両が検査不備で生み出されなければ、直ちに法令違反には問われないため、同社はリコール制度などを使って、再度、完成検査をやり直す必要に迫られる。
生産時期や担当した検査員を調べることで今後、対象となる車両は絞り込まれていくが、対象となる車種は以下の21車種だ。
シルフィ、ノート、ジューク、キューブ、リーフ(新旧)、マーチ、GT-R、シーマ、フーガ、フェアレディZ、スカイライン、セレナ、ティアナ、エクストレイル、NV200バネット、ウィングロード、シビリアン、パラメディック(救急車)、アトラス、エルグランド、キャラバン。
国交省の指摘後、同社は9月19日と20日の2日間で正規検査員に確実に検査を行わせる体制を整えたため、それ以降に生産された車両については、再検査の必要はないため販売店には影響はない。対象車両については車体番号を特定して販売店に通知、登録をすることなく差し戻すことを求めた。
検査済みと言えない検査が、どの時期からどの車両で行われたかは特定できていない。ただ、ユーザーが車検を実施した車両については、車検で不備が指摘されていなければ、さかのぼって完成検査でも同等の基準は満たされているとみなして、問題はないという考え方だ。
一度もユーザーが車検を受けたことのない新車についても、国交省は「既に販売・登録された自動車についての市場措置等の対応を、速やかに検討し報告すること」と指示した。日産は車体番号の特定を始め、今後ユーザーに通知する方法を公表する予定だ。
今はグループになるからこっちにも悪影響出そうだね(お互いに)
【リコール】三菱 デリカ ディーゼル車4万台、NOx排出量増加のおそれ
三菱自動車は9月28日、『デリカ』ディーゼルエンジン車の排気ガス再循環(EGR)クーラーバイパスバルブを制御するソレノイドバルブに不具合があるとして、国土交通省にリコールを届け出た。対象となるのは2012年12月18日~2017年6月23日に製造された4万0390台。
ソレノイドバルブの使用環境に対する外装樹脂材の選定が不適切なため、内部のコイル線との熱膨張差が大きく、コイル線に繰り返し過大な応力がかかることがある。そのため、そのまま使用を続けると、コイル線が断線し、エンジン警告灯が点灯するとともに、フェールセーフによりEGR制御が停止し、最悪の場合、窒素酸化物の排出量が増加するおそれがある。
改善措置として、全車両、当該ソレノイドバルブを対策品と交換する。
不具合は44件発生、事故は起きていない。市場からの情報により発見した。
【リコール】三菱 デリカ など4万1000台、エンスト再始動不能となるおそれ
三菱自動車は9月28日、『デリカ』などのエンジンコントロールユニットの電源制御等に使用されるリレーに不具合があるとして、国土交通省にリコールを届け出た。
対象となるのは三菱『デリカ』『アウトランダー』『アウトランダーPHEV』『RVR』『ギャラン』『ランサーエボリューション』の6車種で、2014年12月5日~2016年7月4日に製造された4万1697台。交換修理用部品として出荷したが、組付けられた車両が特定できない94個についても対象となる。
リレー内部の溶接が不適切なため、溶接部が異常発熱して溶接が外れ、導通不良となることがある。そのため、走行中にエンストして再始動不能となるおそれがある。また、アイドリングストップ付車両は、エンジン警告灯が点灯してエンジン出力が制限されるおそれがある。
改善措置として、全車両、当該リレーを良品と交換する。
不具合は28件発生、事故は起きていない。市場からの情報により発見した。
Posted at 2017/09/30 22:37:45 | |
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