2012年・静岡県警察 年頭視閲式 (1)

2012年1月10日に静岡市の駿府公園で行われた、静岡県警察の年頭視閲式。快晴に恵まれた当日は、警察官およそ600人と車両40台ほど、さらに航空隊のヘリコプター2機が参加しました。

視閲官は昨年10月付けで着任した繁田誠・県警本部長(警視監)。福井県警本部長などのほか、内閣情報調査室で国際テロの情報分析などにも携わってきたキャリアの持ち主です。

部隊視閲ではW124型のメルセデス・ベンツ320CEカブリオレに搭乗。車両そのものは一般市販されていたオープンモデルですが、フロントバンパーにオートカバー式の赤色警光灯を一対装備しています。

さらに部隊視閲では、静岡県警察ならではの一台ともいえる、いすゞミューが例年通りに登場。2代目モデルの恐らく最終型、年式では2000年頃の車体であろうと推測されます。

こちらはキャビン後部が幌式のオープントップというもので、このボディ形状もカタログモデルとして一般市販されていたものです。カラーリングは白ベースに青ラインの機動隊色とされ、位置づけとしては機動隊の指揮官車となっている模様。
他の警察本部には無いユニークな車種ですが、さらにルーフの赤色警光灯にストロボタイプを採用している点も、大きな特徴です。

自動車警ら隊から、まずはちょっと懐かしさも感じるようになった2世代前となる170系トヨタ・クラウンをご紹介。
デビューした当初は一般市販車と変わらないボディで仕立てられただけあって、高級感や存在感がそれまでのクラウン・パトロールカーよりも格段にアップしていたことが印象的でした。

このモデルでは無線警ら車については、昇降式の赤色警光灯がデフォルトとなりましたが、さらにミッションはオートマチックとなり、乗務員の負担軽減に大きく寄与したと思われます。もっともエンジンは排気量2,000ccだったので、ややアンダーパワー感が否めないところでしょうが。

今や全国的にパトロールカーと言えばこの車、通称“ゼロ・クラウン”こと180系トヨタ・クラウンです。それまでのクラウンから一気に若返りを果たしつつも、精悍さの中にしっかりとクラウンらしい高級感や佇まいを持ったスタイリングは市販モデルも大人気となりましたが、パトロールカーとしても非常に完成度の高い一台と言えるでしょう。

なお、静岡県警察の自動車警ら隊は静岡市の直轄隊に加えて、沼津市に東部支隊、磐田市の西部支隊という3隊構成。県内全域をくまなく網羅して、犯罪の予防や事件・事故の初動対応などにあたっています。

交通機動隊の白バイは、部隊受閲後に展示走行を行い、卓越したライディングテクニックを披露してくれました。
会場は敷地の広い駿府公園でしたが、路面は完全な舗装ではないために滑りやすいと思われます。しかし、全く破綻の無い走りで演技的な走行を男性隊員のみならず女性隊員も混じって行いました。

写真は2001年から導入が始まったホンダVFR800。鷹の目のようなヘッドライトが精悍なフロントマスクを際立たせていますが、バックミラーの中にはあまり見たくない顔つきでもあります。

VFR800の事実上後継とも言えるのが、写真のホンダCB1300P。着実に代替わりは進んでいるという話ですが、今回の年頭視閲式ではまだこちらは少数派に留まっていました。

排気量はその名の通り1,300(正確には1,284)ccの水冷4ストロークDOHCエンジンを搭載。詳細を記した本によると車両重量がVFR800よりもかなり増えているそうで、より高いライディング・テクニックが隊員には求められることになりそうです。

静岡県警察は、以前から珍しい県費導入車が多いことでも知られてきました。高速道路交通警察隊の初代日産シーマやトヨタアリスト。交通機動隊のGTO覆面仕様やマークIIツアラー、ローレル・クラブSなどが有名なところですが、街中で活躍する警らパトロールカーにも“珍車”は存在しています。

そんな一台が写真の日産ブルーバードシルフィ。現行型の制服仕様は、静岡にしか存在しないのではないかと思いますが、2台が年頭視閲式には参加しました。
ルーフは昇降装置を持たないブーメラン型の赤色警光灯、前面警光灯にはLED式を装備しています。このLED式、きちんと点灯している状態を撮影するのは、少々面倒な代物でもあります。

このハイラックスサーフは、交通取締りに従事している覆面パトロールカーでもお馴染みの、反転式赤色警光灯とオートカバー式の前面警光灯を装着した車両。

名称は遊撃警護車と紹介されており、VIPの身辺を守る警護任務に就いています。ただし、移動中の車列などでVIPのすぐ脇で身を守るのではなく、少し離れたところで周辺を警戒したり、先行して移動先の安全を確保するといった役割を持たされているようです。