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イイね!
2015年12月19日

ルマン優勝 〜影の功労者

ルマン優勝 〜影の功労者 過去、テレビのレース中継を見て涙したことが、2回あります。

今回は、初めて涙したレースの話です。



1991年 ルマン24時間レース


もう既に語り尽くされいる感も否めません。

ロータリー参戦最後の年に、劇的な優勝を飾りました。

ですが、もしかするとこの人がいなければ優勝出来なかったかもしれません。



それは、ジャッキー・イクスです。


ルマンは、翌年の1992年よりレギュレーションが変更されることになりました。

エンジンが3500ccのNAのみとなり、ロータリーでの参戦は出来なくなったのです。

マツダにとっては、1991年は最後のチャンスとなったのでした。


大方の予想では、優勝争いはこの2車。



ジャガー XJR-12

7400cc V12 NA

予選タイム:3分31秒912



前年1990年の覇者です。

エンジンを7000ccから7400ccに拡大し、連勝を期します。

ただ、それが裏目に出て、燃費悪化が心配なところ。

予選では、わずか0.64秒差でメルセデスの後塵を拝しています。



メルセデス C11

5000cc V8ターボ

予選タイム:3分31秒270



1989年の覇者です。

1990年のルマンはノンタイトル戦だったので、不出場。

2年ぶりの勝利を目論んでいます。

パワー、燃費でバランスが良く、1991年の最有力候補です。



マツダ787B

2600cc 4ローターNA

予選タイム:3分43秒503



マツダスピードとしての参戦から12年。

当時の2ローターから4ローターとなり、パワーも2.5倍になりました。

それでも、トップ2車から遅れること12秒。

マツダの予選タイムは、メルセデスの燃費走行時より遅い、と言われていました。

この時点では、誰もマツダが優勝するとは思っていなかったのです。


圧倒的なパワーの差は、如何ともしがたいところです。

そこでマツダが採った作戦は、こうでした。

24時間連続全開走行

果たしてこれが作戦と言えるのかどうか。

無謀としか思えないところもあります。

しかし、他の選択肢はありません。

やれるかどうかではなく、やるんです。



そして決勝スタート。

予想通り、序盤はメルセデスの1-2-3体制。

それをジャガー、マツダが追う展開です。

4時間後の順位は以下の通りです。

1〜3位 メルセデス
4位   ジャガー
7位   マツダ

マツダは作戦通り、4ローターを絶叫させながらの全開走行。

あらかたの予想では、優勝どころか完走も出来ない。

夜明けまでもてばいいところ、そんなところでした。



そして夜を迎えた頃、マツダは視界にジャガーを捉えます。

ジャガーもマツダを引き離そうとするも、燃費の悪化が心配で、思うようにペースアップ出来ません。

その頃、メルセデスも予定調和に狂いが出始めます。

午前2時頃、1台にマシントラブルが発生しリタイヤ。

迎えた午前3時頃、マツダはなんとかジャガーを抜き去り3位に浮上。

夜明け前、メルセデスの1台にミッショントラブル発生。

マツダは2位までポジションを上げてきました。

それでも、トップのメルセデスまではまだ4周差。

ここでジャッキー・イクスから、アドバイスがありました。


ラップあたり1秒ペースアップしなさい。


残り時間は13時間ほど。

ラップ1秒のアップでは、4周差は挽回出来ません。

そんなリスクを負うなら、ペースキープのままで2位狙いの方が得策では?

イクスは続きます。


私にはポルシェで数多くの優勝経験があるので、ドイツ人気質がわかります。

彼等はこちらが1秒上げれば、例え4周のリードがあっても、3秒くらいは上げてきます。

ドイツ人は僅差の勝利は望んでいません。

相手の気力を失わせる程、徹底的に叩きのめす。

それが彼等の勝ち方です。



マツダも長時間全開走行を続けてきました。

耐久力に自信はあれど、更なるペースアップにはリスクが伴います。


それはメルセデスでも同じこと。

現に3台中2台にトラブルが発生しています。

彼等の方が多くペースアップする分、リスクは高くなります。

今こそ勝負の時です。




マツダがペースアップして追撃してくるだと?

メルセデスは、予想もしていないマツダの走りに、余裕が焦りに変わり始めました。

そしてマツダ以上にペースアップをして、引き離しにかかります。


レース開始から21時間後の午後1時。

コース上で白煙を上げる車が・・・。

それは・・・・メルセデス。

オーバーペースによりオーバーヒートでした。


そして、遂にマツダが初めてトップに!

しかしマツダに同じことが起きないとは言い切れません。

大橋監督は緊張感を保つ為、ペースキープを指示します。


そして迎えた午後4時。

最初に帰ってきたのは、マツダ787Bでした。


挑戦から12年。

ロータリー参戦最後の年に、念願の優勝!


マツダの24時間全開走行に耐えられた車作りも偉大です。

ですが、非力な車を優勝に導いたジャッキー・イクスの功績も見逃せません。

これに対して、マツダはイクスにボーナスの支払いを申し出ました。

それに対してイクスは・・・。


私はマツダを優勝させる為に、アドバイザー契約をしました。

今回は、その約束を果たしただけです。



と言って、受取辞退されました。


マツダの優勝から、24年。

未だに日本メーカーで、一番高いところに日の丸を揚げられたのはマツダだけです。

しかもそのエンジンは、多くのメーカーが開発するも実用化を諦めたもの。

世界中で唯一広島でしか量産されなかった、ロータリーエンジンでの勝利です。


このブログを書くにあたり、当時のレース映像を見直しました。

今見ても、感動しますねぇ。
ブログ一覧 | モータースポーツ | 日記
Posted at 2015/12/19 20:49:13

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この記事へのコメント

2015年12月19日 21:01
初コメいたします。
この後だと思いますが、栄光の奇跡を
ドラマ化して放送されたのを記憶しております。
録画したビデオどこにいったかな?
コメントへの返答
2015年12月19日 21:11
こんばんは。
コメントありがとうございます。

テレビといえば、プロジェクトXは見ましたが、ドラマ化は知りませんでした。

どんな出来映えだったのでしょう?
非常に気になります。
2015年12月19日 21:31
787Bの排気音 
一度直に聞きましたが
忘れられませんねぇ~

PHVでも何でもイイから
復活して欲しいですね。。。
コメントへの返答
2015年12月19日 22:21
こんばんは。
コメントありがとうございます。

ロータリーは、1ローターで3気筒相当と言われていますね。
ということは、4ローターで12気筒相当。
音がいいのも納得です。

RX-VISIONでは、SKYACTIVE-Rを採用とのこと。
どんな技術なんですかね。
2015年12月19日 23:44
初めましてこんばんは。

C11は速さはあったみたいですが前年のル・マン不参加による耐久性に対する問題が洗い出されてなかったみたいですね~。

Cカーの中ではあまり聞かないデロデロのエキゾーストノート、デザインと個人的には大好きです。
ですが、やはりこの4ローターの音色には敵いませんね(^^)
コメントへの返答
2015年12月20日 10:48
おはようございます。
コメントありがとうございます。

ルマンには魔物が潜んでいるって言われますよね。
数千キロにも及ぶテストをしていても、「なぜ、決勝日に初めて壊れるの?」という様な部品もあったりで。

C11のエンジンは、ずっと水平対向だと思っていました。
今回ブログ化するにあたり、改めて調べると「V型180度」なんですね。
V型なのにあの音、そんな理由だったのでしょう。
2015年12月20日 7:32
おはようございます!

J.イクスのアドバイスの件は知らなかったなあ。そこまで考えてレースを組み立てているとは恐るべし!F-1レーサーだった時代は、決して恵まれた境遇じゃなかった気がするけど、いぶし銀の印象がありました。ここでその能力を生かしたんですね。
うーん、感動です!
コメントへの返答
2015年12月20日 11:02
おはようございます。
コメントありがとうございます。

マツダって、対等な性能の車で戦っていたのではないのですね。

ベストラップが、相手の燃費走行より遅いのでは、その時点で入賞目標にしていても、何ら不思議ではありません。

ルマンで優勝するには、速くて壊れない車を作るものだと思ってました。
おそらく、トヨタ、日産はこうしていたのでしょう。

今回のイクスの話を聞いて、現在チャレンジ中のトヨタに足りないものは、これなんじゃないかと。

最後のイクス発言、かっこいなぁ。
2016年2月6日 21:33
初めまして、こんばんは。
ブログ内容に大変感動しました。

最後の最後に追撃してくる787B。
優勝のビジョンが揺らぐほどメルセデス勢は脅威と認識したんでしょうね。
ここで叩き潰しておかなければ、と。

ラストドライバーのジョニー・ハーバートは夏バテによる体調不良で、表彰台に登れないほど衰弱していたと聞いておりますが、そんな中でイクスの指示を守り、全開走行のラップ1秒ペースアップを維持していたとは…とんでもない精神力ですね。

長年共に戦ったロータリーエンジンを信じて最後の決戦に挑むマツダ。
ルマン優勝に向かって突き進む彼らが眩しすぎます。
コメントへの返答
2016年2月7日 11:20
おはようございます。
いらっしゃいませ。
コメントありがとうございます。

実はこの年のマツダは、メルセデス、ジャガーからライバル視すらされていないんです。
前年、787は2台リタイアと惨敗。
グループC勢に課せられた重量ハンデも、IMSAのマツダは免除。
それでも優勝出来ない、そう予想されていました。

いざ、レーススタートしたら、まさかの連続全開走行。
ジャガーを駆逐したあたりから、脅威に思えてきた様です。
それでもペースアップしなければ、おそらく優勝出来たのでしょうけど、そこはドイツ人気質。
マツダを叩きのめす、そちらを選択しました。

ハーバートも実はフィニッシュドライバーではありません。
急遽、2スティント連続ドライブとなり、最後は脱水症状を起こしています。
これは、チーム(イクスだったかも?)の方針です。
ここ一発の勝負時!は、絶大な信頼があるハーバートなんです。

深夜のジャガー追撃でも、連続2スティントやってます。
最後、優勝が掛かった場面でも、例え疲労困憊していてもハーバート、となった訳です。

マツダも前回のTMSで、ロータリーは死んでいないアピールをしています。
その反響がどうだったか、マツダ自身も理解しているはずです。

もうそろそろ、いいんじゃないの?
業績も悪くないんだし。
なんて思ってしまうのですがね。

プロフィール

「スバル360のブレーキシューを組み上げ、シュークリアランスも調整終了。
なのにエアが抜けない・・・。
そういえば、以前も結局4輪やらないとダメだった様な。」
何シテル?   04/17 18:01
クルマ、バイク、自転車と、自分でコントロール出来る乗り物が好きです。 それも日本製が好きです。 (自分で買えそうもないものには、興味が持てなくて) ...

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