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QLのブログ一覧

2012年11月27日 イイね!

さらば青春の兎

さらば青春の兎先月の26日に最後の旅行をした後、同30日に我が白兎とお別れをしました。納車されたのが2007年の1月でしたから、5年と10カ月近く(そのうち3カ月は免停で乗れなかった)を共に過ごしてきたことになります。振り返れば納車翌日に早速ロングドライブをこなしたのですが、あの時に感じた「この車を選んで良かった」という嬉しさは、結局最後まで失われませんでした。何故ゴルフが世界中から評価され続けているのか、その理由を日々の生活の中で学べたような気がします。というわけで今回は、良き相棒として頑張ってくれた我が白兎ことV GTI について、最後の感想を書き連ねてみたいと思います。

■エクステリア
ゴルフ史上最も曲線を多用した外観は、最初はあまり好みでなかったものの、フロントグリルの良い意味での「下品さ」がいつ見ても強烈だったせいで、今やノスタルジックなものとして心に残っています。VI やVII の端正なマスクとは真逆の、造り手の気合と情熱をそのまま表したかのような奇抜なモデルに乗れたことは、優等生と評されることが多い歴代ゴルフの中にあって貴重な経験だったのかもしれません。本国オプションのLEDテールランプは、LEDが広く普及し始めた今の基準で見ても格好良かったし、後付け感が顕著なサイドスポイラーやブルマと呼ばれた商用車チックなリヤバンパーも、いつの間にか愛着を持つようになっていました。キャンディホワイトの塗装も耐久性に優れており、適当に洗車をしていただけでワックス掛けなど一度もしなかったのに、5年後でも柔らかな艶を保っていたのは驚きでした。また、ボディ剛性の高さを誇示するかのようなあの異様に太いCピラーも、他社のハッチバックと差別化されていて良かったですね。惚れ惚れするような色気などは絶無でしたが、さりとて堅苦しさとは無縁の面白いデザインのモデルだったと思います。

■インテリア
そもそもゴルフは大衆車であるため、内装に華美な部分など見当たらないのですが、機能主義的な割り切りの良さ・簡素さが、ある種の清々しい雰囲気を醸し出しているのは事実です。スイッチ類の使い勝手で不満を抱いたことは無いですし、各パーツの退色や経年劣化も目立ったものはありませんでした。個人的にはチェック柄のGTI 専用シートが最高でしたね。適度に張りがある(しかもこれが最後まで失われなかった)ため長時間運転し続けても背中や腰が全く疲れず、同乗者からも確実に好評を得ていました。色々な車に試乗しましたが、ことシートに関しては現在もこれを上回る物には出会えていません。人気車種だけあってアフターパーツがたくさん販売されていることも楽しめた要素の一つです。至極当然の話ですが、我が白兎のインテリアは他の誰のゴルフよりも私好みに仕上がっていました。

■動力・駆動系
あるときディーラーのメカさんと話をしていた際に、興味深い質問を受けたことがありました。それは「QLさんはエンジンとトランスミッションのどちらが気に入ってGTI に決めましたか?」という内容でした。確かに2ℓターボエンジンもパワフルで良かったのですが、改めて考えてみると私はDSGの方に強く惹かれていたのだと思います。バトルギアやグランツーリスモの中でしか速く走ることができなかった私にとって、ATのように簡単に運転できて且つMTのようなダイレクトな加速感も味わえるDSGは、ゲームと現実をリンクさせる魔法のツールでもありました。発進時にアクセルを少し雑に踏んだだけでもホイールスピンを誘発するような過敏さには気を使いましたが、VI GTI を試乗してその洗練された制御プログラムを体験した後では、逆にV GTI のやんちゃさが好ましく思えてきました。買い替えを検討しているときも、DSGの存在は大きな要素の一つでした。国産車でいえば現行アクセラのATのスポーツモードもなかなか良いのですが、やはりDSGのSモードの方がスムーズさでも活きの良さでも一枚上手のような気がします。あのブリッピング時の「ブフォッ!」という音は、演出が過剰で可笑しかったのですが、でもずっと忘れないでしょうね。

■ボディ・ハンドリング
シャシーに関しては、4ドアのハッチバック車としては最高レベルの剛性であり、5年後でもヤレた感じは全くありませんでした。逆に足回りに関しては、乗り心地にも配慮がなされているためか、俊敏な切り替えしが要求される場面においては明らかに柔すぎて追いついていけないことが多々ありました(その分、高速道路をひたすら突き進むときなどは快適で助かりました)。またブレーキも、ペダルの踏み幅に対する効き方が不自然で、しかも制動力自体が不足気味だったことは最後までしっくりこない部分でした。ビルシュタインのBTSとCOXの4ポッドキャリパーを装着するのが最終目標だったのですが、それを実現できなかったことが唯一の心残りでしたね。ドライブフィールに関しては、ファミリーカーをチューニングしてスポーティに仕立てたモデルとしては非常によく出来ていたと言えるでしょう。しかし、設計上は室内空間を優先したコテコテのFF車であり、前後の重量バランスが同クラスのライバル達に比べてもあまりよろしくないので、爽快感には欠けていました。旋回時に遠心力がフロントタイヤの接地面よりも前に掛かる感じが強いので、アクセルやブレーキで如何にそれを補正するかが、この車を操るうえでの醍醐味だったと思います。エンジンの力強さとDSGの活発さに心打たれて、このモデルをスポーツカー的に評価するライターが当時は大勢いましたが、ハンドルに伝わってくる重量感やコーナリング時の穏当な挙動を考えれば、実際はグランドツーリングカー的な性格が強かったと思います。

■総評
ごくシンプルに表現するなら、ゴルフV GTI はまさに万能のモデルだったということになります。自動車に求められる要素を一つ一つピックアップした場合、それぞれの項目においてこれを上回る車は多く存在するでしょう。しかし、すべての項目をハイレベルで満たした完成度の高いモデルとなれば、他を探すのに相当苦労するのではないでしょうか。初代GTI が伝説的であるために、その系譜に連なるV 型もVI 型も(そしておそらくはVII 型も)ホットハッチという括りで語られがちです。それに当てはめるなら、車格や重量から見ても確かに最近のGTI は退屈と評されても仕方ないかもしれません。ただ、私のように仕事もプライベートも1台で全てを熟すことを条件とすれば、これほど「刺激的な実用車」も無いわけです。同じCセグメントのライバルたちだけでなく、Dセグメントのエントリーグレードのセダンたちと比較しても、あらゆる要素をバランスよく内包した最もコストパフォーマンスの良いモデル…。それが我が白兎に対する私の最終的な評価になります。

車選びに迷われている方がいましたら、何型であれ一度はゴルフGTI に試乗してみることをお薦めしますね。一般大衆の希望を最大公約数的に詰め込んだこの車は、自分にとって本当は何が必要で何が不要なのか、その答えを明らかにしてくれますよ。
Posted at 2012/11/27 02:01:40 | コメント(0) | トラックバック(0) | | 日記
2012年10月12日 イイね!

好感度 up ?

好感度 up ?先日、別件でディーラーを訪れた際にVW ・up ! (4ドア)を試乗してきました。本当は先月の末にも試乗が可能だったのですが、その時点で既に二組のお客さんに先を越されていたので、あえて今月に延期したというわけです。周辺地域で私が最初ということであったなら、嬉々としてブログをアップしたのですけどね…。それはともかく試乗後の感想として、率直に言ってup ! は欧州で評価されているほど素晴らしいモデルではないと思いました。

まずエクステリアについては、VW らしくシンプルかつクリーンに纏められていて、なかなか格好良く見えます。特に上級モデルのhigh up ! はアルミホイールも装着しており、フロントバンパーやリヤゲートの個性的なデザインと相俟って、未来的という観さえあります。曲線を多用した有機的なデザインに関しては国産車も悪くないのですが、直線を組み合わせた幾何学的なデザインに関しては、やはり欧州車の方が一枚上手ですね。
次にインテリアについてですが、さすがにポロほどではないにしても、ビートル並には良い質感を表現できています。少し前に知人がフィアットのチンクエチェント(ラウンジ)を購入したので試乗させてもらったのですが、その時に感じたことと同様で、同じプラスチックのパーツでも造形や塗装に拘ることで、ある程度質感を高めることができるのだなと強く認識させられました。運転席の頭上空間は、ポロよりも余裕があります。逆に後部座席と荷室が狭いのは、このサイズの車としては仕方のないことです。よく評論家などが「大人4人が乗車するのに充分な空間」などと書いていますが、ポロの後部座席ですら30分以上は御免被りたいのに、それより狭いup ! が「充分」なわけがありません。リヤは子供用か荷物置きと割り切る方が正解ですね。リヤウィンドーがはめ込み式なのは、あまり気にしなくてもよいかと思います。換気性能では通常の上下にスライドするタイプよりも、こちらの方が優秀なはずです。一つ難点を挙げるなら、エアコンのセンターベントがダッシュボードの上に付けられていることです。これだと、PNDの設置箇所次第では風の流れを完全に遮ることになってしまいます。何か設計上の避けられない理由があったのか、それともデザイナー間の連絡がうまくいってなかったのか、この点だけは謎ですね。
最後に走りについてですが、ここは賛否両論に別れるところだと思います。乗り心地やステアリングの感覚などは同価格帯の国産車よりしっかりしていて、たとえ安くともドイツ車であることを実感させてくれます。問題は、新型のトランスミッションであるASGの変速ショックが大きいことです。MTをコンピューターに制御させているだけのASGは、スマート・フォーフォー(チンクを購入した知人がその前に所有していた)のトランスミッションとフィーリングが非常に似ていて、特に1速から2速に入る時に大きな揺れが発生します。変速する瞬間に軽くアクセルを抜くとか、あるいはマニュアルモードで走るとかすれば、ある程度ショックを打ち消すこともできるでしょう。しかし、そもそも日本においてこの手のコンパクトカーを買う人々が望んでいることは、如何に安楽に運転できるかであって、あれこれテクニックが要求される時点で、このモデルは日本のユーザーに受け入れらにくいと言えます。多少価格が上がっても7速DSGにするか、せめて普通のATでも載せておけば、国産車からの乗り換え客をより多く獲得できるのでしょうが…。他の部分の造りが良いだけに、とても残念でなりません。

結論として、VW ・up ! は基本的に上質でありながら、あまり他人に薦められないモデルだということになります。過去のブログを読んでいただければわかるように、私はup ! に対してあまり良いイメージを抱いてなかったのですが、それが覆されたのは内外装の質感やステアフィールに関する部分だけで、トータルで判断すればやはり国産のコンパクトカーや軽自動車の方がお買い得であると言えます。将来的に完全EV化されカーシェアリング型のシティコミューターとしての役割が与えられたとき、つまり自動車という乗り物に対する概念を変革する任務が達成されたときに、up ! は初めて真の評価を獲得することでしょう。こんな「未完成」な状態で販売を開始するくらいなら、bulli の市販化を実現してくれた方がまだ面白いし、実際に売れるのではないかと思います。
Posted at 2012/10/12 10:30:21 | コメント(0) | トラックバック(0) | | 日記
2012年09月14日 イイね!

Cセグメントの新基準

Cセグメントの新基準先日、ベルリンでVW によるメディア向けのプレゼンテーションが行われ、そこで新型ゴルフ(通称ゴルフVII )が公開されました。
新型はボディサイズが全長4,255mm(先代比+56mm)、全幅1,799mm(+13mm)、全高1,452mm(-28mm)となっており、若干のワイド&ロー化を果たしています。また、ホイールベースも2,637mm(+59mm)に延長され、主に後席と荷室のスペースが拡大しています。注目すべきは車両重量で、明らかにサイズアップしたにも係わらず先代比で100kg近くも軽量化されています。これは事前に発表されていた新型アウディ・A3のスペックからも予測できたことではありますが、改めてVWグループの技術力というか、基本性能の向上に対する執念に驚かされます。
新型では安全装備の充実も図られており、衝突や追突の後でブレーキを自動的に作動させる「マルチコリジョン・ブレーキ」、「ACCアダプティブ・クルーズコントロール」、レーダーを使った前方危険感知システムである「フロント・アシスト」、車線から逸脱しそうになるとステアリングを修正してくれるレーン・アシスト、駐車時にセンサーで障害物を感知し車両の周囲360度をモニターに映し出すパーキング・システム、さらには交通標識認識システムなど、様々なデバイスが選べるようになっています。しかも、今まではGTI のみに装備されていたXDS(電子制御式ディファレンシャルロック、という名の内輪強制ブレーキシステム)が、新型では全グレードに搭載されるそうで、走行性能の底上げにも余念がありません。
搭載されるエンジンの種類に関しては、私自身200ps以下の物に興味がないので、ここでは省略させていただきます。ただ、唯一目を惹かれたのが2.0 ℓ のTDI で、最大出力150ps、最大トルク32.6kgm(1,750〜3,000rpm)、燃費24.3km/ℓ というスペックは、「速さはいらないけど余裕は欲しい」という贅沢な街乗り派や、もしくは高速道路を多用するロングツーリング派にピッタリではないかと思います。国産車・輸入車に係わらず、消費者の選択肢を増やすという意味でディーゼルモデルの増加は歓迎すべきことですし、VGJ には国内導入に本気で取り組んでほしいところです。
エクステリアのデザインについては、かつてのゴルフIV と同様に、大量生産の実用車として満点に近い完成度を具えていると言えます。最近のVW らしく直線を基調としていますが、垂直水平に近い線が多いポロやパサートに比べ、新型ゴルフは斜線の組み合わせが多いため、よりシャープでスポーティに見えます。個人的な意見を挙げるなら、テールランプの内側を鋭角風にしたのは失敗でしょう。元来塊感の強いリヤセクションの中に尖った形のテールランプを配置することで、少しでも軽快感をアップさせたいというデザイナーの狙いはわかるのですが、実用車の鑑たるべきゴルフに求められるのは安定感や質実剛健さであり、そこだけは水平に近いラインで纏めた方がスッキリして良かったのではないかと思います。インテリアに関してはセンターコンソールがドライバーの方に向いているなど、実用性を損なわない範囲で個性が与えられていて良い感じです。特にシルバーのパネルを装着しているタイプは室内の雰囲気がパサートに似ていて、一クラス上の高級感を醸し出しています。はっきり言って、「これじゃアウディ・A3は必要ないな」というのが私の本音であり、クワトロ以外のモデルは現時点ですでに検討対象外となってしまいました。今はそれよりも、次期GTI がどういうデザインになるのか、ということの方に興味がありますね。

以上のように、新型ゴルフに対してかなり好意的な私ですが、どうしても気になる点が一つだけあります。それは、トレッドの拡大(フロントが+8mmで1549mm、リアが+6mmで1520mm)によって、コーナリング時のスタビリティが改善されたか否か、ということです。数年前にオーバーフェンダーを付けたゴルフVI のテスト車両がスクープされて以来、新型のトレッドが拡大されることは公然の秘密とされていましたし、私としてはシロッコのようにリヤの方がワイドになることまで期待していました。しかし、実際は全体的に一回り大きくなっただけで、挙動に変化をもたらすような要素は見当たりません。ホイールベースが延長されたことで高速時の直進安定性が増したことは想像に容易いので、あとはそれが旋回時にも好影響を及ぼしていることを祈るばかりです。
Posted at 2012/09/14 20:23:36 | コメント(0) | トラックバック(0) | | 日記
2012年05月15日 イイね!

実は玄人向け?

実は玄人向け?半年以上も当ブログを放置しておいて誠に申し訳ございません。突然の復帰ではありますが、先月にスバル・BRZの試乗に行ってきたので、今回はその感想を述べてみたいと思います。

まずエクステリアについてですが、事前の情報通りボンネットの位置が低く、ルーフ高も想像以上に低いものでした。また、写真ではモッサリしている感じのリヤセクションも、実物は割とシンプルに見えたりします。下手な喩をするなら、かつてのトヨタ・サイノスβを、全高を変えずに前後左右に引き伸ばしたような感じでしょうか。マツダ・ロードスターを除けば、現在の国産車としては外観上の無駄が少ない、かなりシャープなデザインのモデルであると言えます。トヨタ・86とはフロントフェンダー上端のパーツと、バンパーの形状において差異があるのですが、私としてはBRZの方がスッキリしていて好きですね。ちなみにボンネットを開けてみたところ、エンジンルーム内にはまだ若干の余裕が残されており、何かしらのパーツを追加で搭載することは可能なようでした。しかし、噂になっているターボ化については、補機類の配置的に難しいのではないかと思われます。エンジンルーム内でもう一つ目につくのはハの字に取り付けられた補強バーで、営業さん曰く、これが無いとフロントの剛性がかなり落ちるそうです。あと面白いのが、エンジンカバーに「D-4S」というオーナメントがデカデカと、それも「BOXER」のバッジより上部に貼られていることです。「おいおい、お前さんのところは今回そんなに偉そうにできるほど頑張ってないだろう」と、初めは私も思いました。しかし、そういうシニカルな気分は後に良い意味で裏切られることになります。この辺についてはドライブフィールの段で触れることにしましょう。

次に車内についてですが、運転席は頭上も足元も特に窮屈ということはなく、適度にタイトで心地良いです。意外だったのは着座位置で、外観から予想されるほど低くありません。それというのも、イメージキャラクターに黒木メイサを採用しているように、スバルとしては割と本気で女性客の獲得を考えているらしく、その座高に合わせて(つまり男からしてみたら若干高いアイポイントで)着座位置を設定しているからです。ボンネットが低いせいもあって見晴らしが良いのは助かるとしても、コスモのような「尻で路面をなぞる感覚」が希薄なのは少し残念でした。もっとも、それ以上に気になったのがインテリアの質感です。同日の夕刻に訳あってダイハツ・ムーヴカスタムのターボ版に試乗したのですが、メーターパネルに関しては間違いなくあちらの方が上質でした。BRZはダッシュボードのパネルやエアコンダイヤルなどのパーツも、メッキ処理もクリアコーティングもされていないので、露骨にチープに見えてしまいます。本当のスポーツカー乗りからすれば、内装など重要でないのかもしれません。ただ、アウディ・TTのようなスポーティクーペが好きな身としては、多少価格が上がってもインテリアにもコストをかけてほしかったというのが正直なところです。いずれ各社からアフターパーツが数多く出るでしょうから、そこに期待するしかないですね。

次は実際に運転してみた感触についてです。高速域での限界性能については評論家や他のみんカラユーザーさんにお任せするとして、ここでは街中を流したりワインディングを楽しんだりする程度の観点から語ることにします。BRZの特徴として最も気に入ったのは、FR車らしからぬ安定性の高さでした。重心高を下げることに拘ったという開発陣の弁に偽りはなく、直進時でも旋回時でもこの車はまさしく路面に吸い付くように走ってくれます。足回りのセッティングに関して、86が前柔後硬、BRZが前硬後柔であることは周知の通り(営業さん曰く、そういう味付けの違いを指示したのはトヨタの章男社長であるらしい)ですが、それを差し引いてもBRZのスマートな身のこなしには純粋な驚きがありました。この「安定性」という点については、もう少し説明を加えたいと思います。実は去年の秋頃、デビュー直後のBMW ・1シリーズの試乗に行ってきたのですが、これがあまりにも期待にそぐわない代物であったため、当ブログに試乗記をアップするのをやめました。それというのも、新型1シリーズは普通に走行している状態ではリヤを引きずっていると表現できるほど挙動が落ち着いているため、何の面白味も感じられなかったからです。電子制御の介入によって強制的に滑らなくしているようなフィーリングが顕著過ぎるのです。超フロントヘビーで強アンダーなコテコテのFF車に毎日乗っていると、たまに乗るFR車に対してニュートラルで軽妙なハンドリングを期待してしまうのですが、新型1シリーズからその喜びを得ることは困難であると言えます。それに対し、BRZが示す安定性とは重心の低さや足回りのセッティングを含めたシャシーのキャパシティに由来するものであり、「もっと前に進める」「もっとアクセルを踏んでも良い」とドライバーのヤル気を喚起してくれます。同時に、車を自在に振り回す技術が無い私としては、皮肉にも「これは限界を追及するのが厳しそうだ」と痛感した次第でもありました。接地感についても、インプレッサやレガシィのようにタイヤ4本で路面を掴む、もしくは路面を引っ掻くという感じではなく、ボディとエンジンの重量が4輪に綺麗に分散されて、その自重のみで路面に貼り付いているといった感じなので、スバル製のスポーツカーにしてはステアフィールが爽やかであるだけでなく、乗り心地も意外に良かったりします。BRZがポルシェ・ケイマンを一つの指標として開発されたらしいのですが、仮にポルシェが300万で買えるスポーツカーを造ったとしても、やはり同じような物が出来上がるのではないかと思えるほど、BRZの基本的な走りの質感は高いと言えます。街乗りやワインディングを楽しむ分には、もうこれで充分でしょう。あとは限界走行時のポテンシャルが如何なるものなのか、各雑誌やユーザーさんの情報・評価に注目したいところですね。

次はエンジンとトランスミッションについてです。先にトランスミッションについて述べると、スポーツカーに載せる6段ATとしては可もなく不可もなくといった感じでしょうか。マニュアルミッションの旨味を再現してくれるAT(シフトチェンジがスムーズかつ一瞬というだけなく、それなりにダイレクト感が味わえる)という意味では、VWグループのDSGがベストであると私は考えているので、この辺については最初から他社の車に期待していません。それでも運転していて特別痛痒を感じることはなかったので、BRZのATもなかなか出来が良いのかな、と思います。マニュアルモード時のシフト操作が「引いてアップ、押してダウン」であるなら、もう少し評価が上がります。が、そもそもマニュアルで乗るべき車なので、そういう部分はどうでもいいような気もします。とりあえずAT派の人でも走りを楽しめることは間違いないですね。それより大事なのは、エンジンの性能に関することです。我が白兎の直4ターボが同じ200psながら最大トルク28.6kgmを1800~5000rpmの間で発揮するのに対し、BRZの水平対向NAはトルクの盛り上がりが3000rpm辺りで一回(およそ20kgm)、6000rpm辺りでもう一回(ここで最大20.9kgmに達する)というふうにM字曲線になっており、少々中弛みする傾向があります。つまり、BRZはGTI ほどの中間加速が得られないのです。私はマイカー選びの条件として、いつでも前車を抜き去れるくらいのダッシュ力を求めるのですが、BRZでそれを試してみたところ、やはりイメージ通りに加速しないもどかしさを覚えました。ちなみに、先に挙げたトヨタの「D-4S」はエンジンの全回転域でレスポンスを良くするための燃料噴射システムであり、トルクの中弛みを抑える働きもしています。この技術がなければもっとダルイ加速しかしないのだということを考えると、今回ばかりはトヨタも的確に貢献していると言えます。もしこの点を改善するなら、排気量を上げるかターボ化するしかありません。個人的にはターボ化にもスーチャ装着にも抵抗はないのですが、エンジンルームの制約とコンセプト的な問題により、実現する可能性はかなり低いのではないかと予想されます。やはり、シフトをマニュアルで操作してエンジンの美味しいところを使うというのが、この車の正しい乗り方なのかもしれませんね。

最後に明らかに不満な点を一つ挙げます。それは、サウンドクリエーターというエンジンの音をドライバーに聞かせる装置です。マツダ・ロードスターにもサウンドエンハンサーというものがありますが、あちらは前から後ろへ音が流れていくのに対し、BRZの場合はほぼ真横からドライバーの顔めがけて音がぶつかってくるような感じになります。しかも、ボクサーエンジン自体が低い音しか出さないため、どれだけ回しても高揚感が得られません。インプレッサのようにタービンの回る音が混じっていればまた違う雰囲気にもなるのかもしれませんが、基本的には不要な装置であると言えるでしょう。こういう下らないことにコストをかけずに、もっと真面目に内装の質感向上に取り組んでもらいたいものです。

総合的な結論を述べると、スバル・BRZは「買い」なモデルだと思います。車に興味の無い若者や女性を振り向かせるほどの魅力はありませんが、車好きな中年男性が再び走り屋を始めるためのベース車両としては優れた資質を備えています。お金をかけてチューニングすることを厭わないのであれば、この車はかなり高いレベルでの「リターン」をもたらしてくれるはずです。周囲でスポーツカーに乗りたいという人がいたら、積極的に勧めてみても良い一台ですね。今後しばらくの間、日本のスポーツカーに関する話題はBRZと86を中心として展開されることになるでしょう。そして、その流れで他社からも新たなモデルが続々と出てくるのだとしたら、BRZと86は日本スポーツカー史上の中興の祖として歴史に刻まれるかもしれません。両車にそれだけのポテンシャルがあるのは事実ですし、そういった意味では今回はトヨタとスバルの仕事ぶりを素直に称賛したいと思います。

ただし個人的な意見を述べると、現行のBRZが購入対象の第一候補に上ることはありません。この先STI が250ps/30kgmくらいの出力で低速域からトルクが沸いてくるモデルを造ってくれるなら話が別ですが、内装にそれなりの質感を求めつつ楽に速く走りたいという本物のスポーツカー乗りではない私としては、依然として次期ゴルフGTI や次期A3、まだ見ぬビートルRやポロR、あるいはBMWの新型3シリーズやTAKERI をデザインベースとしたマツダの次期アテンザの方が魅力的に思えるのです。以前から予測していたとおり、今年は面白そうな新型車が数多く発表されそうなので、それらを楽しみに待ちたいですね。
Posted at 2012/05/15 21:31:34 | コメント(0) | トラックバック(0) | | 日記
2011年09月29日 イイね!

エコよりエゴ

エコよりエゴ先日、フランクフルトモーターショーが開幕しました。内容的には今年度の他のモーターショーに比べてそれほど華やかでもないのですが、個人的にはこのフランクフルトが一番興味深かったりします。それというのも、最も身近なメーカーであるVW から面白そうなモデルが二つも発表されたからです。以下はそれらについてと、もう一車種について、感じたことを書き連ねてみたいと思います。

■ビートルRコンセプト
端的に言えば、次期愛車候補の大本命です。シロッコに裏切られた私にとって、新型ビートルのRバージョンの生産は一縷の希望であったのですが、それが今回のモーターショーでほぼ確約されたことになります。正直なところ、私はビートルという車種にそれほど関心を持っていたわけではありません。私が好きなのは「2ドアのクーペ」であり、そういった意味ではアウディ・TTでもホンダ・CR-Zでもトヨタ・FT-86でも良いのです。しかし、コストパフォーマンスの点でVW 車に勝るのはなかなか難しく、そんな折に発表された新型ビートルのデザインがやけにクラシカルかつシンプルで格好良かったことから、俄かに興味を持ち始めたというわけです。FT-86(もしくはスバル・BRZ)はまだ詳細なスペックが明らかにされていないですし、BMW の新型1シリーズにもかなり惹かれるのですが、とりあえず今後の乗り換え計画はこのモデルを軸として進めていくことになるでしょう。
エクステリアやインテリアのデザインについては、このままでもOKかと思います。さすがに20インチのホイールは頂けないですが、いざ販売となれば18か19インチに下げてくるはずです。全幅がノーマルモデルに比べて30mm 拡大されている点は少々気になりますね。トレッドを拡大した結果であるのなら良いのですが、リム幅の大きなホイールを履かせるためにフェンダーを広げているのなら納得できません。4モーション搭載ならば8J (なんなら7.5J )でも充分だと思います。タイヤの幅でグリップを稼ぐという方法はやめて、ハルデックスとXDSの能力をフル活用した前後左右のトルク配分の妙技でコーナリングスピードを高めて欲しいところです。エンジンはまず間違いなくゴルフRやシロッコRと同じものが積まれるでしょう。客層もゴルフRのそれより若くスポーツ志向が強いことが予想されるので、ROMチューンで簡単に300psオーバー → サーキット走行、というのがトレンドになりそうです。実際のところ、具体的な情報は何も出ていないのですが、このモデルに関しては大いに期待したいですね。

■ポロR WRC
以前から登場が噂されていたポロRが、遂にその姿を見せました。エンジンは1.6L直4ターボで300ps / 35.7kgmを発揮し、駆動方式はフルタイム4WD、車重はWRCの規定により1200kgとなるそうです。このまま市販されることはまず無いでしょうが、エンジンを200~250psくらいにデチューンしたモデルが必ず登場するはずです。車格と車重を考えれば、こと峠においてはインプやランエボと互角に戦えるでしょう。逆に、サーキットや高速道路などのハイスピードなステージおいては、スタビリティやサス・ブレーキのキャパの面で不利を被ることになると思います。もちろん法定速度内で走行する限りは何の問題も無いのですが、ここまでスペックが良いとどうしても「そっち方面」での性能に期待してしまいます。
シトロエンやフォードがC4やフォーカスRSのWRCモデルをレプリカとして限定販売しただけなのに対し、VW はポロRを量産前提で開発しています。企業としての体力が違うとはいえ、このような姿勢はもっと評価されても良いのではないでしょうか。現在、スズキからはスイフトスポーツの新型が発表され、MINI からは小さくも凛々しいクーペが登場し、アウディもA1のクワトロモデルをテストしている状況です。今後は世界規模でホットハッチというジャンルが再び隆盛を迎えるのかもしれませんね。
ポロRの3ドアが国内に導入されるのであれば、これは私にとってビートルRの強力な対抗馬となります。今はあれこれ夢想して楽しんでいるだけですが、来年の今頃には切実な悩みになっているかもしれないし、むしろそうなっていてほしいなと思います。

■up !
フランクフルトショーではVWに関してもう一つ大きなトピックがありました。それは数年前から開発が公にされていた次世代型コンパクトカー「up !」の登場です。むしろ今回のショーにおいては、このモデルをお披露目することがVWの最大の目的であったと言えるでしょう。かつてショーカーの「IROC」が「SCIROCCO」の原型として発表されたことから、「up !」も販売時には「LUPO」と名乗るのではないかと噂されていましたが、実際はそのままになるようです。up !という名前の格好悪さと、旧ルポの知名度の高さを比較すれば、VW の首脳部には今からでも遅くないから是非とも考え直してほしいところですね。
このモデルの詳細については各サイトで確認して頂けるかと思います。率直に言うと、私は何も魅力を感じませんでした。強いて挙げるなら、バギーup !が面白そうかなと思ったくらいです。何故魅力を感じないかというと、それはパッケージングの面で革新的と呼べる部分が全く見当たらないからでした。もっと簡単に表現すれば、「これなら軽でいいじゃん」ということになります。
コンパクトカーが商品として成立するためには、まず何よりも安価であることが優先されます。up !は一般的な軽自動車よりもお手頃なのでしょうか?次にコンパクトカーにとって大事なのは、日常生活における利便性です。up !は一般的な軽自動車よりも広くて乗り降りがし易いのでしょうか?また、現在ではコンパクトカーといえども多少の趣味性(多様性)は必要です。複数のメーカーから把握しきれないほどの種類が販売されている日本の軽自動車群の中に置いてもなお、このup !にはキラリと光る何かがあるのでしょうか?プレス向けのリリースでは盛んに技術面での先進性をアピールしているようですが、それらは全てup !以外のVW 車にも搭載すべき技術であり、このモデルの個性と呼べる要素とはなりえません。そのおかげで価格がポロに近づくのであれば、本末転倒ですからね。どちらかといえば、それらの新技術は満を持して登場するであろうゴルフVII にまとめて搭載するほうが、世間に対して強烈にアピールできるのではないかと思われます。
結論を述べるなら、このup !というモデルは軽自動車の文化を持たない欧州のメーカーが初めて造った軽自動車であり、欧州市場での新たなジャンルの始祖とはなりえても、初代ビートルや初代ゴルフのような自動車業界全体での革新を起こしうる存在とはなりえないと言えます。初代ビートルや初代ゴルフが絶賛されたのは、当時の基準としてそれ一台で充分だと思わせるくらいにパッケージングが優れていたからでした。史上初の「安価に販売される電気自動車」、あるいは史上初の「カーシェアリング用シティコミューター」としてup !がデビューするのであれば、まだ一応の評価もできる(私はそれを期待していた)のですが、残念ながら現状では単なる小型車という以外に何もエポックメイキングな部分は見当たりません。2013年に電気モーターのモデルを追加するというなら、それまで発売を延期しても良かったのではないか…。それが、私の偽らざる感想です。


今回のフランクフルトショーでは、VW 以外のメーカーに関して、個人的にはさしたる感慨を抱くことがありませんでした。いや、より正確には、またしてもトヨタとスバルが確定的な情報を何も出さなかったせいで他に書くことがなかった、というべきでしょうか。スポーツカー好きの日本人にとって今年最大のイベントは、やはり東京モーターショーまで持ち越されることになりそうです。果たして、その時展開されるのは拍手喝采の絢爛絵巻か、はたまた阿鼻叫喚の地獄絵図か。あともう暫く期待をして(あるいは手薬煉を引いて)待っていたいと思います。
Posted at 2011/09/29 01:39:06 | コメント(0) | トラックバック(0) | | 日記

プロフィール

「時代の転換期 http://cvw.jp/b/241312/40684922/
何シテル?   11/08 19:33
QLと申します。 初めてなのに、初めてじゃない気がする、そんなメンタルです。 久しぶりに自分のプロフィール画像を見ると、頭部のボリューム感に懐かしさを覚えま...
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デザインに一目惚れして購入しました。 向かい風がとても心地良いです。

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