■Motor Fan illustrated vol.88 ~パワートレーン NEXT MOVE~
出版: 三栄書房(2014/03)
ブログエントリ:「
【書籍】Motor Fan illustrated vol.88 ~パワートレーン NEXT MOVE~ Part.1」の続き。
■HONDA DOWNSIZING DI TURBO
1.5L直4、1L直3の直噴ターボは、いわゆるエコのためのダウンサイジング過給だが、2L直4のは、最近話題の
「次期シビック・タイプR」のもの。
他誌やWEBソースでは
「280ps」、
「ニュルのルノー・メガーヌがもつFF最速記録を塗り替える」とか騒がれているヤツだ。
赤いヘッドカバーを見るだけでワクワクするな。
インタークーラが前置きで、でもタービンが前にあるので、パイピングが長くないのが好ましいな。
(スバルEJ20は前置きじゃないことがノッキングマージンを稼げない大きな理由となっていたが、タービン位置が後ろなので、サードパーティー製のインタークーラで前置きにすると、配管長が長くなり、パワーアップはできてもレスポンスが低下する・・・という問題があった。最近のFA・FB系のDITはタービンが前なので、サードパーティー製のものは配管長は短くできているのかな??)
ボア×ストロークの具体的な数値については本誌には書かれていないが、
"ホンダのエンジンは伝統的にロングストロークが多い。「それを高回転まで回す変な会社」(足立氏)"
"「熱効率を高く考えればボア/ストローク比を大きくとりたいところですが、搭載性も含めバランスを考えると1.1から1.2に落ち着きます"
皆が思ってるとおりのことが書かれているな。
高回転型エンジンの代表格のK20Aは86×86のスクエアだし、ビートのE07AだってオーバースクエアではあってもEJ20のような極端なものじゃないし。
"「弊社の場合はほぼFFです。2サイズダウンのダウンサイジング過給を導入することでエンジン重量が25kgから30kg軽くなります」
「車両デザインの自由度が上がるし、前車軸より前にエンジンが搭載されているため、操安性にも寄与するでしょう。ボディ全体で20kg軽くするより、前車軸の前にある20kgを軽くする意味は小さくないと思います」"
全くだ。
ダウンサイジング過給=エンジン軽い=燃費が良くなる
・・・・の図式はいろんなところでさんざん報じられてきたが、「重量バランス」に着目すると、普通はエンジン側に偏るため、エンジンの軽量化が重量バランスに大きく寄与することは間違いない。
燃費だけに着目した車両の場合、軽量化の重量だけが重要となるのだろうが、
運動性に大きく関係するこのことが、ホンダの発言として報じられているのがウレシイ。
(もちろん、欧州勢のダウンサイジング過給に関しても得られるメリットは同じなのだが・・・)
Type Rの2L直4直噴ターボはハイオク仕様だが、1.5L直4と1L直3はターボだがレギュラーにするそうだ。
"「(前略)自然吸気エンジンの場合、1RONで点火時期が1度くらい違います。日本で売っているガソリンは100RON(ハイオク)と91RON(レギュラー)ですから、9RONの差がある。NAなら100RONあればMBT(最適点火進角)がとれるのですが、過給エンジンの場合は100RONあってもMBTをとるのはなかなか難しい」
ノック限界が来るのでリタードするなどの対応が必要になり、そのぶん熱効率は落ちる。
「過給エンジンは1RONに対する感度がNAの3倍以上あります。(後略)」"
なるほど、勉強になるなあ・・・・
レガシィB4(BL5A)でも純正ECUのROMチューンで点火時期はイジっていたし、
ビートの純正ECUのROMも点火時期はイジっているのだが、ROMチューニングでは、どこがMBTかを探ることは困難なのもあり、
「ノッキングが生じないギリギリのところまで進角した方が良い」
「ただし、ターボの場合はブーストアップの効果の方が大きいので、トレードオフとなる点火時期とどちらを取るかは検討」
「進角し過ぎてMBTを超えてしまうことってないのか?(※ターボ時代→)たぶんないと思うが・・・」
みたいな感じでセッティングしていた。
オクタン価が高い=ノッキングマージンが広がる=点火時期を進めることができる
・・・のは常識だが、
具体的にオクタン価と点火時期の関係を読んだのはハジメテな気がする。
直噴ターボの次期シビック・タイプR、楽しみだなあ。
■HONDA 8SPEED DCT with Torque Converter
これもリリースが楽しみだなあ。
DCTなのにトルコン付なの?
・・・というのが私も素朴な疑問だったのだが、
トルコンは「発進用のデバイス」とのこと。
ブログエントリ「
【試乗】Audi A1 Sportback 1.4 TFSI (8XCAX) 」でレビューしているように、
VW(DSG)=Audi(Sトロニック)は、坂道や段差など負荷のある状態での発進に問題がある。
アクセルペダルを少し踏んでも無反応で、あるスレッショルドを越えると急に「ドン」と発進してしまう。このとき、スロットル開度は結構開いているワケで、結構危険だ。
DBWとTCUの協調制御でもう少しなんとかなるだろう・・・と思うのだが、長年DCTをやってきて、そんなところサボるVW、Audiでもないだろうから、協調制御で解決できないメカ的な問題もあるんだろう。
で、発進時のトルコン。
負荷のある状態でのDCTでの発進時の問題が解消されるワケだ。
私個人的には「そんなもの欲しくない」が、ニーズはあるだろうし、目の付け所は良いと思う。
トルコン好きなアメリカのユーザをターゲットとして、CVTよりスポーツ性を高めた8速DCTと発進時用トルコンの組み合わせ・・・とのこと。
「8速」はDCTとしては世界最多段だそうな。
"(ホンダ)「7速DCTが世の中にあるので、半分は意地」だが、残りの半分は効率を考えてのこと"
とのこと。「意地」での「最多段」狙いは元気があって微笑ましいと思う。
Fit3ハイブリッドのDCT「i-DCD」はLukのデュアルクラッチを採用しているが、この
"トルコン付8速DCTはすべて自社製"とのこと。
最近、ホンダ元気だな♪
全て内製にこだわる必要はないと思うが、
海外サプライヤー頼りになってしまわないことがとても好ましい。
■SUBARU NEW GENERATION BOXER ENGINE
次期WRX STIは、結局FAやFBは諦めて、EJ25を使うことに決定された。
FA、FBの登場以来、スポーツエンジンとしての資質をずっと私も疑問視してきたし、半年前=昨夏発売の「
【書籍】Motor Fan illustrated vol.82~ニッポンの実力 JAPANESE ENGINE 01~」のスバルの技術本部長のインタビューでは、スバル自身も悩んでいた問題だったが、結論としてEJの存続。
やっぱりスバルはホンダとは違い、極端なオーバースクエアじゃないとスポーツエンジンは造れないワケだ。
スバルの技術力と未来を考えると残念な、
でもEJファンとしてはウレシイような、複雑な気持ち。
■Supercar Chronicle BMW Z1(1989)
中学生のとき、「名古屋デザイン博」(正確には「世界デザイン博覧会」)というのがあった。
名古屋市民だった私は、学校から遠足のような形でデザイン博に行く機会があった。
今行ったらどうかわからないが、当時は出展物がかなりショボく退屈に感じられ、また、モノレールの事故とか、エスカレータの事故とかあったりして、
中坊の私は、名古屋市民として、この「デザイン博」が世界に名古屋のクオリティの低さと恥をさらしているイベントにしか思えず、とても不満だった。
(当時の関係者の方々、ゴメンナサイ。。。)
で、その「デザイン博」に、地味にこのZ1が展示されていた。
たぶん
深緑の個体だっと思う。
本当に地味にひっそりと展示されていたのだが、クルマヲタだった私はハジメテ見るZ1に結構「イイモノ見れた!」的な興奮をしたのを覚えている。
本誌を読むまで知らなかったんだケド、
Z1ってトランスアクスルなんだな。
しかも、↑こんな感じで
FRPの軽量なボディパネルが全部外せるらしい。
剛性確保のための高いサイドシル(※ドア開時、ドアはこのサイドシル内に電動で落とし込まれる!)といい、ポスト924、944的な
本格的なスポーツカーなのだな。
てっきり、ファッションで乗るためのモデルだとばかり思っていた。。
なんで、もっとブレイクしたり、現在に至るまで「名車」としてメディアやファンにもてはやされたりしていないんだろうか?
本誌には
"発売前に5000台以上を受注する人気ぶりだった。" と書かれているが(最終、8000台で生産終了とのこと)、Z1をナマで見かけることなんて全くないし、他のBMW(2002、635CSi、E30、E36、M1、Z3、Z4とか)と較べてWEBでも雑誌媒体でもZ1って本当に見ない気がするのだが・・・。
●自動車 書籍レビュー関連目次はこちら
Posted at 2014/02/07 18:06:03 | |
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